個人型確定拠出年金(iDeCo)やってますか??
え、まだやってないんですか?
はっきり言いましょう。やらなきゃ損。絶対やりましょう。それくらい自分年金作りにオススメの制度です。特にあなたが非正規雇用者だったり自営業を営んでいるならば尚更です。厚生年金や企業年金、退職金など正規雇用には手厚い老後資金準備システムがあります。ウチの父親なんて正にその典型です。東証一部上場企業に30年以上勤めて退職を迎えたお陰で、これらの手厚い老後資金で何不自由ない悠々自適な老後を送っています。その額は月あたりの収入に換算すると僕の給与を優に超えるような金額です。なんと羨ましいことか。
筆者のプロフィールを。
名前はモッティー。33歳、2016年に結婚して、子供はまだいません。昨年の給与収入は約370万円+副収入が約165万円、加えて妻の収入が170万円で世帯としては約700万円の収入があります。結婚したことでようやく金銭的余裕が出てきましたが、実は31歳まで非正規雇用で働いていました。
大学卒業後、新卒で大手飲食チェーンへ就職しましたがあまりの激務に3年で退職。それが26歳の時。そこから31歳までの約5年間あまりを非正規雇用者として過ごしました。若さゆえなのか、いわゆるマネーリテラシーは皆無でその日その時が楽しければ良し。という自堕落な生活を送っていました。それはそれでまあ楽しく、好きなことしかやらない生活は今となってはいい思い出ですが、ふと自分の将来、未来を考えた時に漠然とした大きな不安に襲われました。
「おれの老後、金なし貧乏老後なんじゃ・・・」
そうして出会ったのが個人型確定拠出年金(iDeCo)でした。
個人型確定拠出年金(iDeCo)とは?
ざっくり簡単に言うと公的な年金と私的な年金の中間にあるような国の個人年金制度です。
決められた上限額の範囲内で資金を毎月積立て、定期預金等の元本保障型商品や投資信託等の元本変動型商品に預けかえてコツコツと自分年金を創っていくシステム。
原則60歳まで資金を引き出す事は出来ず、それゆえに確実に資金を形成できる老後資金に特化した制度です。前述した様に、公的年金の他にも企業年金や退職金等で二重三重の老後資金準備システムを持つ大企業に勤めているならともかく。それらの全くない非正規雇用や自営業者は自らで老後の資金準備を始めなければならず、前者よりも意識高く老後の資金を考えなければいけません。それを怠った人間が最近よく聞くようになった「老後破産」に陥る訳です。
準備です。全ては準備することで解決出来るのです。そして可能な限り早く準備を開始しましょう。若いということはそれだけ老後まで時間がある、と言う事。お金を運用する上で「時間」は最大の武器です。少額でもコツコツと時間をかけて資金を積み上げ、何不自由しない老後を手に入れましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリット
個人型確定拠出年金(iDeCo)には大きく分けて3つのメリットがあります。
- 掛金全額が所得控除の対象
- 運用益は非課税
- 60歳まで引き出し不可
3つ目は「え?デメリットでは?」と思うかもしれませんがまあ聞いて下さい。
メリット1:掛金全額が所得控除の対象
毎月の掛金上限はいくつかのパターンによってその金額が決められますがいずれも掛金の全てが所得控除の対象となります。所得控除とは簡単に言うと「税金の割引券」。下図のように我々が稼いだ給料には税金が掛かります。もちろん給料の全てが税金の対象ではなく例えば年金・健康保険料に代表される社会保険料等は必要不可欠な支出ですからその分を割り引いた分に対して税金がかかる=課税される事になります。
この「割引される」ことを控除と言いますが、個人型確定拠出年金(iDeCo)の一年間の掛金全額も控除の対象となります。そして各年金種別ごとの月額拠出上限額と年間トータル額をまとめたものが以下の表になります。
- 第1号被保険者は主に国民年金にのみ加入している非正規雇用者や自営業・フリーランス等。
- 第2号被保険者は主に厚生年金等社会保険に加入している一般的な会社員等。
- 第3号被保険者は主に専業主婦(夫)等。
詳しくは国民年金基金連合会の公式HP上のチャートがわかり易く便利です。
一般的な会社員等、厚生年金に加入する被保険者で企業年金が無い場合は年間276,000円の控除枠を得ることになりますが、注目すべきは第1号被保険者のそれ。毎月の掛金上限の68,000円を拠出するとすると年間トータルで816,000円もの割引=控除を手にいれることになります。
控除される分が大きくなるとどうなるか。単純に言うと「税金が安くなる」と言うことです。話を簡単にするために簡略化して概算しますが、課税所得195万円まで(年収にすると400万円位まで)は所得税率5%+住民税率10%の合わせて15%が稼いだ給料に対して課税されています。例えば毎月68,000円、年間816,000円を個人型確定拠出年金(iDeCo)に拠出したとすると、単純計算になりますがこの概ね15%=約122,400円もの金額を節税することが出来ます。具体的には所得税が年末調整後に還付金として戻って来、翌年収める住民税額が減る。という事になります。
メリット2:運用益が非課税
そして非課税メリット。特定口座などの課税口座での運用では、投資利益に対して一律約20%の税金が課せられます。これを個人型確定拠出年金口座内では全て非課税、つまり0%になるのです。
図のように例えば10万円の含み益がある商品を売却したとします。一般口座ならばその約20%の2万円が税金として引かれ残りの8万円が手元に残ることになります。これが個人型確定拠出年金(iDeCo)の口座であった場合は非課税=税率0%になるので売却益の10万円がまるまる手元に残ることになります。
10万円、20万円の20%ならばたかだか2万円、4万円ですが例えば長期運用の結果、売却益が100万円、200万円になった場合は自分の月給に相当するような額を節税することが可能となります。他にも例えば運用の途中で今まで積立をしていた商品Aよりも魅力的な商品Bが登場して預け替えを実行するとしましょう。もしこれが一般口座で商品Aに含み益がある場合は例外なく約20%の税金を課されてしまいせっかく魅力的な商品Bに買い換えを行っても投資効率が落ちてしまいます。ところが非課税である個人型確定拠出年金(iDeCo)口座内ならば課税が無いので商品Aで抱えた利益もまるまるそのまま商品Bへ買い換えることも可能になります。(スイッチング)
いかがでしょうか。これが個人型確定拠出年金(iDeCo)の非課税メリットです。
メリット3:60歳まで引き出せない
これは一見デメリットに感じる方もいるかもしれません。いや、正確にはデメリットに「してしまう」人もいるかもしれません。
60歳まで資金を引き出すことが出来ないということは=他の用途に使うことが出来ない。ことであり、それゆえ確実に老後資金が積み上がる「メリット」だと考えます。しかし「他の用途に使うことが出来ない」訳ですから「他の用途に使えるお金」を同時に準備しておかないとこのメリットは人によっては一瞬でデメリットに変貌します。つまり、60歳以降にしか引き出せない個人型確定拠出年金(iDeCo)へ自分のお金のほとんどを注入すると、60歳までの生活で使うお金が一気に枯渇することになります。この辺りは家計のバランスを取ったり、出し入れが自由に出来る口座で別の積立を行ったりすることでこの「枯渇リスク」は取り除くことが充分できます。
僕も積立を始めた当初は高い節税メリットを享受しようと毎月手元に残る現金のほとんどを個人型確定拠出年金(iDeCo)へ投入していました。どうなったかと言うと、1年経って数字上の資産残高は増えているけれど自由に使えるお金が手元に殆ど無い。という状態に陥りました。これでは60歳までの人生を楽しむことは出来ませんので本末転倒です。修正し現在は改善されました。このように「60歳まで引き出せない」メリットは上手くやらないと一気にデメリットに転落しますのでご承知を。
まずは元本確保型商品からでも始めること
2017年に個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入対象が拡大され公務員や専業主婦もその対象となりました。もちろん万人にとって有益な制度だと思いますが、一番加入すべきは老後の備えを持たない非正規雇用やフリーランス・自営業の方々。前述した様に毎月の拠出上限額も高く設定されていますし、運用益が出ないことがあっても節税メリットは毎年必ず享受できます。
「そうは言っても元本変動型商品は怖い」という印象もあるかもしれません。それならそれでまずは元本確保型の定期預金を全額買い付ける設定にして始めればいい。どこの運営管理機関で個人型確定拠出年金(iDeCo)の口座を開いても必ず元本確保型商品は用意されています。そういう決まりになっています。メリット2の非課税メリットは置いておいて、まずはメリット1の節税メリットだけをもらいにいく。もし街の普通の銀行で積立定期預金なんかを契約しているなら、それを個人型確定拠出年金(iDeCo)口座内で同じようにやればいい。それだけで毎年約15%の節税メリットを得られるのだから。そうして残高が大きくなったところで「いざ元本変動型商品へ!」と一部、もしくは全額を預けかえてもいい。とにかく若い内に、早く初めることが大事なのだから。もしまだ始めていないのであれば是非この期にスタートして欲しい。
(記:モッティー)