日本は食品の廃棄大国!?「食品ロス」の現状とは?
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2013年、農林水産省食料産業局は「食品ロス削減に向けて ~もったいないを取り戻そう!」を発表しました。日本では年間1700万トンの食品廃棄物が排出されており、そのうち本来食べられるのに廃棄される「食品ロス」は、年間約500~800万トンになる(2010年度推計)、と警鐘を鳴らしたのです。

世界では約8億人もの人たちが栄養不足状態にあり、その国際的な食料援助量は約400万トン。つまり、その2倍近くの食品がわが国で捨てられている計算になります。
このニュースがきっかけとなって食料廃棄の問題は国民的な感心を集め、官民一体でさまざまな取り組みが行われてきました。
現在、食品ロスの状況はどうなっているのでしょうか。

世界的な食料危機の原因は? 食糧は本当に足りない?

農林水産省が食品ロスの削減を国民に投げかけた背景には、世界的な食料危機の問題があります。
国連食糧農業機関(FAO)の報告書(2015年)によれば、1日に4万人が餓死し、その多くが発展途上国の子どもたちです。原因は、増加の一途をたどる人口に対して食料の生産が追いつかないことのように思えますが、調べてみると意外なことがわかってきました。

2016年9月の世界の総人口は、約73億5000万人です。
一方、2016年の世界の穀物生産量は約24億6511万トンに達する見込み(合衆国農務省)です。
厚生労働省によると、人間が生きるために必要なカロリーは「1日平均約1200Kcal」ですから、これを穀物に換算すると約340gとなり、年間に1人124kgです。地球上の人々すべてが生きていくためには9億1140万トンあれば十分なわけですが、世界の穀物生産量はその約2.7倍にも達しているという計算になります。

では、なぜ食料が足りないのでしょうか。下記に上げた原因によって世界的な食料危機がもたらされていると考えられます。

1) 肉食による穀物の飼料化(牛肉1キロを作るために穀物11キロが必要)
2) 先進国におけるカロリーの過剰摂取
3) 穀類のバイオ燃料化など食料以外への転用
4) 食品ロス(世界全体で年間13億トンの食品を廃棄)

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日本の食品廃棄率は、世界トップクラス!?

世界的な食料危機の大きな原因ともなっている食品ロス。日本は食品廃棄大国の汚名を着せられていますが、その実態はどうなのでしょう。
2012年度の日本の食糧廃棄量は、食品関連事業者から出たものが800万トン、一般家庭から出たものが1000万トンでした。
この年の日本の総人口は1億2751万人ですから、1人あたりに換算すると、

●食糧廃棄量は総量で141㎏
●食品関連業者から出たものが約63kg
●一般家庭から出たものが約78㎏…

…ということになります。

農林水産省の資料では、途上国で必要な食糧や世界の食糧援助総量と比較して、この数字がいかに大きいかが強調されています。日本が年間に消費する食料品約6600万トンの27%が破棄されていることは事実です。
これが世界の中でトップクラスの廃棄率かについては、集計方法によって結果が異なるため、単純に比較はできません。試みに、FAOが世界各地域における「一人あたりの年間食糧廃棄量」を表したグラフに、政府発表の日本の数字を書き加えてみました【図参照】。

マネセツ118(山本)食料ロスを考える/図表①

食品貿易は、ほぼ輸入だけのわが国に対して、輸出と輸入を合わせた流通量から廃棄量を求める国とでは単純に比較できないため、流通過程における廃棄量については一概に日本が少ないとは言いきれないのです。
しかし、比較的実態をとらえていると考えられる消費段階(農林水産省の表記では「一般家庭」)についてみた場合、日本の食糧廃棄率は北米や、ヨーロッパよりは少なく、世界トップクラスとまではいえないかもしれません。
とはいえ、食料品の4分の1強がムダ!になっていることは、まぎれもない事実なのです。

食品ロスを減らすための取り組み

食品ロス削減に向けて、官民をあげて始められた取り組みは次の通りです。

1) 【食品メーカー、卸・小売店での食品ロス対策】
多めの在庫、規格外品の発生、販売期限切れなどにより、小売店からの返品、廃棄される食品が多いことを受けた対策。
賞味期限が近づいた食品を寄付し、生活困窮者などに無償で提供する「フードバンク」や、では、セブン-イレブンでは、販売期限切れとなった食品由来の飼料を使った鶏卵の生産・活用の試みをスタート。さまざまな取り組みが話題となっています。

2) 【飲食店における食品ロス対策】
製造・調理段階での仕込み過ぎなど、キッチンにおける食材ロスを減らす飲食店の努力に加え、消費者サイドからもアイデアが出ています。
2015年秋頃から、アメリカではあたりまえの習慣になっている「ドギーバッグ(残した食品を持ち帰る容器)」の普及が叫ばれ始めました。もとは「犬のエサにする」という口実で持ち帰ったことが「ドギーバッグの語源ですが、食べきれないものは持ち帰って消費する習慣こそ「もったいない」に通じるもの。日本でももっと定着してほしいものです。

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食品ロスを減らすため、できることから始めよう

では、消費者である私たちができることは何でしょうか。
家庭から出される生ごみの22.2%が手つかずの食品であることをご存じですか。しかもそのうち24%が賞味期限前のもの。冷蔵庫や倉庫の食品を把握して、ロスを減らす努力が必要だと言えるでしょう。

ここで今さらながら、「消費期限」と「賞味期限」の違いを整理してみましょう。

「消費期限」 ➡ 期限を過ぎると、品質劣化により安全性が欠ける恐れを促す表示
「賞味期限」 ➡ 最も美味しく食べることができる期限の表示

賞味期限を過ぎたらすぐに腐敗するわけではなく、風味を損なう程度ですから、「すぐにゴミ箱行き」ではなく、五感で食べられるかどうかを判断することが大切に。
また、買い物の際に、当日食べてしまう食品であれば、賞味期限の長いものを選ばないようにしたいもの。棚の奥に手を突っ込んで、奥の商品をとる習慣がある人は、小売店が賞味期限の近い品物から棚の手前に置いている努力にぜひ応えたいものです。

── 食品に対し感謝の心を持って大切に食べること……はすなわち「いただきます」の心。「もったいない」という気持ちもそこから生まれれば、家庭の食品ロスも減っていくのではないでしょうか。

≪記事作成ライター:山本義彦≫
東京在住。航空会社を定年退職後、学校に通って介護資格を取得。現在は介護福祉士として勤務する日々。オペラをこよなく愛し、航空会社在職中より始めた音楽評論の執筆も継続している。

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