株や為替の売買でショート、つまり売りのポジションが溜まりすぎて大口投資家が一抜けすることになると、いきなり相場が反対方向に上昇してしまうことがありますがこの動きのことをショートカバーと呼んでいます。

多くの個人投資家は「ショートカバー」の概念を知らず、相場が下落に転じたと見るやエントリーするも、すぐさま損切りに合い、コツコツと身銭を吸い取られるのです。

本記事ではショートカバーについて具体例を交え、なぜあなたが大口の狩りに合うのか?個人投資家の9割が負けると言われる本質に迫ってみたいと思います。

ショートカバーは売りポジションが溜まりすぎると逆方向に跳ね上げる動き

ショートカバーとは、相場で売りポジションに対する買い戻しが起きることです。
これは為替相場のみならず株式相場や債券市場などでも同様に使われています。

ショートとは売り持ちのポジションの状態のことを言います。この売りポジションが第三者の動きで買い戻さざるを得なくなった場合ショートカバーと呼びますが、ポジションをもっている本人が単純に買い戻しをしても、それはショートカバーとは呼びません。

このショートカバーが入る時というのは、相場全体が下落傾向にある中で、売りポジションを保有している投資家が、大口の売りポジションの買戻しによる上昇で踏み上げられるときにおきるということが言えます。

つまり、

  • 売り一色の相場状況の中で、それ以上相場が下がらない膠着状態になる

  • 大口投資家がいち早く大量の買戻しを行う

  • 相場が反転し上昇する

  • その上昇に個人投資家のポジションのストップがつく

  • 相場は逆方向にどんどん上昇していく

というわけです。

これを踏み上げにあうなどとも言いますが、まさにこうした状況がショートカバーということになるわけです。

一般的にショートカバーがでますと非常に早い勢いで相場が上昇することになり、多くのショートを保有していた投資家が巻き込まれて損切りを余儀なくされ損失を喰らうことになります。

ユーロドルなどでショートカバーがでると100PIPS以上短期間に動いてしまうことがありますし、ポンド円などでもかなり荒い値動きを示現するもとになってしまいます。

相場がじり高になる動きも典型的なショートカバー

このショートカバーというのは勢いよく吹き上げるケースもありますしジリジリと上げて全く下げないときもショートカバーが起きているのが殆どです。

たとえば、2017年5月4日、日本はゴールデンウィーク真っ只中でしたがドル円は午後4時前から上昇しはじめて延々と夜の7時すぎまでほとんど下げるなくじわじわと上昇することになりました。

これもショートカバーの典型的な状況で少しずつ上昇しては売りポジションのストップを次々とつけてさらにその勢いで上昇していくという流れを繰り返すことになるのです。

※ドル円5月4日ショートカバー事例

ドル円の場合には特にこうしたじり高傾向に水を差すことになるのが本邦の個人投資家の存在です。

こうしたじり高傾向になるとそろそろ売り場ではないかと売りで市場に参戦してくる個人投資家が多く、しかもそのほとんどが相場が上昇するとまた売りでついていくという、いわゆる売り上がりを行ってしまうことから売ったポジションが次々ストップロスをつけてまた上げってしまうという余分な動きを助長させてしまうのです。

こうなるとこの4日の夕方からのドル円相場のように一切下げずに延々と相場が上昇し続けることになってしまうのです。

一部の個人投資家は誰が延々と買っているのかと不思議に思うこともあるようですが、実は売りで参入した投資家のポジションが相場を持ち上げることに協力してしまっているのです。

高止まりしたまま落ちてこないのもショートカバーならではの動き

また2017年5月9日の夜、やはりショートカバーから上昇したドル円は114円台に乗せた動きとなり、その後は一切下がることなくNYタイムの最後まで一切崩れないまま高止まりするといった動きを見せました。

※5月10日NYタイムドル円高止まり

このケースでは朝の5時過ぎに北朝鮮が核実験をするという報道が流れて一斉にドル円が売られることとなり、はじめてロングのポジションに大きく投げが入って下落を見ることになりますが、上昇したまま下がらないというのは、下にまだ損切りのできていないポジションが多く残されており、下げるに下がらなくる状況に陥ると見られる現象です。

高止まりにもやはりそれなりの理由が存在することになるわけです。

またドル円のように本邦の個人投資家が多く売買している中で高止まりが起きているときにはこの個人投資家の動きがかなり影響を与えていることが多いといわれます。

ご存知のとおり、日本の個人投資家はほとんどがストップロスを置かないことから相場がショートカバーをしてもポジションをもったままの状態で相場が下がってくることをみんなで待っているのが通例となります。

そのため少しでも相場が緩んで価格が下落しはじめようとすると反対売買する投資家が増えることから相場はまったく下がらない状態になってしまうのです。

とにかく日本の個人投資家は異常とも思えるほど逆張りが好きですから、上昇すると売りを入れますが下がらないと少し下がったところですぐにリカクしますからこちらも下落を妨げる要因になってしまうというわけです。

ショートカバーが出やすい時間帯

ショートカバーは最近では東京タイムでもよく見かけるようになっていますのでこの時間が決定的に多いとは言いがたくなっていますが、たとえば東京タイムでいいますと朝から大きくドル円が売り込まれ、早い時間から下落したままの状態で昼過ぎ、午後2時過ぎぐらいまで膠着するとその後の時間帯に一気にショートカバーが出ることが多くなります。

これは欧州勢が参入してくることにも微妙に関係があるようですが、1日の中で一旦下値を確認するような動きを東京タイムでしてしまいますと、ロンドン勢は同じ方向に攻めずに一回相場を上に持ち上げてショートの損切りを誘発させるといった意地の悪い動きをすることが多いことも絡んでいるようです。

また雇用統計やFOMC,ECB理事会といった中央銀行の政策決定会合の結果待ちで、市場がもともと相場の下落を広範に想定していたといった場合に、結果が逆の内容になったような場合には猛烈な勢いでショートカバーがでることがありますので注意が必要です。

欧州勢が仕掛けるショートカバーの場合には激しい動きになりますが一定の動きをしてしまうとあとには何もポジションが残らないことから、比較的あっさりとして動きで相場がリセットすることになりますが、本邦勢の個人投資家が多数を占めるドル円はほかの通貨ペアのショートカバーとは異なる、しつこい動きを示現することが多くなるので十分な注意が必要となります。

逆張りでのエントリーというのは、時と場合によっては非常に大きな利益をもたらしてくれる有効な手段となりますが、市場参加者のほとんどが逆張りでエントリーするような特殊な通貨ペアの場合には後をひきずるような動きになることが多いので、事前によくプライスアクションを見て、どのぐらい市場がショートに傾いているのかといったことを十分に類推する力が必要になります。

ほかの個人投資家のみんなと同じような動きをしてしまうと結局巻き込まれて損をすることになりかねないという点は常に意識しておく必要があります。

特にドル円にはこうした独特の状況が頻繁に現れることになりますから、より一層の注意が必要になります。

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