6月2日午前の東京市場では、約1年半ぶりに日経平均は2万円を回復し、前日の海外株高などの流れを引き継ぎ、株高が一段と進みました。
4月のフランス大統領選挙の1回目投票で、マクロン候補とルペン候補が残り、中道派のマクロン大統領誕生の思惑が強まったことを契機に今回の上昇相場は始まりました。足下の上昇相場でも、どこまでで継続するかどうか難しい判断を迫られます。
1.相場は上昇中、大事なのは何を見て判断しておくのか事前に決めておくこと。
FXなどでは、新規ポジション取る前に予めロスカットポイントを決めておくことが重要ですが、これはいざ動いた時になってからの判断は遅れることが多く ロスカットが遅れ損失を大きくしてしまうからです。
理想的には相場がピークをつける前に売り逃げたいですが、今回の相場の転換点を何を見て判断するのか事前に決めておきましょう。
2.現在の相場の位置は、楽観ゾーンへ
「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」というジョン・テンプルトンの有名な相場です。
6月2日現在の相場がどの悲観・懐疑・楽観・幸福感のどの位置にあるかですが、楽観ゾーン直前にある考えてます。その根拠ですが、5月31日現在では信用取引の売り残が上昇中で金額が最高圏に近づいて来ました。相場が上がると思えば信用売りはしないので、相場が下がると懐疑的な人がまだまだ多いからだと判断出来ます。
現物株を保有している人の「つなぎ売り」も売り残を増やします。
相場が楽観から幸福に転換する時には売り残が減少して買い残は増えて行くことになります。
3.信用取引残の確認の仕方
東京・名古屋の二市場の信用取引残高は前週末分が火曜日の夕方に発表となり、日本経済新聞の水曜日の朝刊で確認出来ます。さらに松井証券は自社の顧客の信用取引残高を毎日公表しております。
まさにビックデーターで毎日判断出来るので有効なデーター ですが「松井証券 評価損益率」と検索するだけで見ることが可能です。信用取引の売り残は、買い方と売り方の買い残・評価損益率を見ることにより判断できます。
松井証券の2013年1月4日からのデーターを見ると評価損益率は買い方は-27.67%~9.49%で推移し、売り方は、1.84%~-25.92%で推移します。
買い方が上昇すれば売りからが下落し、買い方が下落すれば売り方が上昇する逆相関の関係です。買い方のピークは、2013年5月14日で日銀の異次元緩和の後で、9日後の5月23日には急落したバーナンキショックの少し前でした。売り方のピークは、2016年2月12日で、中国の経済に対する懸念と原油価格の下落でチャイルショックを呼ばれましたが、まだこの時の強烈な下げは記憶に新しいです。
買い残と売り残の合計が25日前の合計より、+10%以上が過熱圏で、-10%以下が底値圏です。
過去データーから判断すると、5月31日の評価損益率の買い方の-5.18%と売り方の-11.52%はまだ相場に上値の余地があることを示しています。
買い残のピークは2013年12月30日で第一次アベノミクス相場が終わりました。
売り残のピークは、2015年5月29日で、ITバブルの高値を抜けた相場はその後下落に転じて行きました。この時は高原状態が何日が続いたあとの減少だったので判断しやすかったのではないでしょうか。買い残のピークは相場のピークを付けた後におとづれる傾向があり、売り残のピークは相場のピークを付ける前におとづれる傾向があります。買い残は相場のピークを付けた後にナンピンで買い下がってしまうの増え、売り残は売り方が投げ始めると減少し、その時に相場がピーク付けるからです。
4.楽観から幸福への転換は、売り残の減少で判断
相場から売り逃げたいと考えるのであれば相場のピークの前で確認の取れる売り残の推移を見ておくことが有効です。売り残の25日前のとの差を横軸に、買い残の25日前のとの差を縦軸においてみると反時計回りに推移します。
5月31日現在の売り残はプラス圏で、買い残もプラス圏になる直前で、相場は「楽観の中で成熟」への楽観領域の直前まで来ています。しかしながら楽観の期間はあまり長続きしないので、売り残の動向を見ておくことをお勧めします。大きな上ヒゲを付けた日に、売り残が減少していたりするれば要警戒です。加えて売り残の5日連続減少なども、要警戒かと思います。
売り残のチェックは毎日「松井証券 評価損益率」と検索するだけで、簡単ですので是非お試し下さい。