従来の銀行からの融資に加え多様な資金調達ができるローンとして、企業でも活用され、また投資の世界でもソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)市場の活性化につながる、と注目度大の「メザニンローン(Mezzanine Loan)」をご存じでしょうか。

欧米ではすでに一般的となっていますが、日本ではまだ認知度の低いメザニンローン。
今後、金融マーケットのキーワードとなっていくメザニンローンについて、今回はご紹介していきましょう。

従来型のシニアローンとの相違点は?

不動産会社や企業などが、不動産投資や事業拡大などを考えたとき、自己資本だけでは足りない分の資金調達方法として、大きく二つの方法があります。それが「シニアローン」と「メザニンローン」です。

シニアローンとは、社債や銀行からの融資のこと。従来からある一般的な借り入れです。
これに対してメザニンローンは、シニアローンでは賄えない分を調達してくれる貸し手からのローンを言います。貸し手となるのは銀行、保険会社、信販会社、投資家などになります。

簡素化して説明すると、たとえば1億円の投資用物件を購入したいと考える事業者がいたとします。自己資金が2000万円あり、銀行から7000万円を借りられた。しかし1000万円足りないので、あきらめざるを得ない……と普通は考えますが、その1000万円の不足分をメザニンローンで調達すれば、物件購入が可能となる、というわけです。
事業者はメザニンローンを活用することで資金負担が軽くなり、タイミングを逃さず投資ができるというメリットがあります。また全体を見ると、資金調達の手段が増えることで、市場は活性化されていきます。
先に紹介した不動産購入の場合、(後述しますが)一般投資家がメザニンローンの貸し手になれるという点でも、注目すべきローンなのです。

メザニンローンは、ミドルリスク

メザニン(Mezzanine)は中二階という意味です。ローン回収のリスクの低いものから高いものまで階層化すると、中間に位置することから、メザニンローンと呼ばれています。

では、気になるリスクとリターンについて、説明しましょう。
まず、シニアローンは厳しい銀行の審査により融資額が決定するので、相対的にローリスク・ローリターンになります。
対してメザニンローンの審査は、シニアローンに比べると緩やかであり、貸し手からするとシニアローンに比べてリスクは高くなります。しかし金利は、シニアローンより高く設定できるので、相対的に高利回りとなります。

返済設定については当事者間で行われるため、アレンジの自由度が高い点が特徴です。ちなみにハイリスク・ハイリターンになるのは、エクイティ(株式資本)の増加による資金調達です。
もし返済が滞った場合、シニアローンの債権者から先に、不動産等の資産が回収されていき、メザニンローンの債権者は、その後の残った資金から回収します。さまざまな形が想定されますが、いずれも返済順位がシニアローンより劣後する(順番が後になる融資である)という点に変わりはなく、「劣後ローン」とも言われています。
これがメザニン = 中二階、つまりミドルリスク・ミドルリターンと言われる所以なのです。

ソーシャルレンディング投資でも注目

メザニンローンは、中小企業だけでなく大手企業でも活用する事例が見られるものです。メザニンローンの貸し手となるのはシニアローン(銀行)からの紹介という場面が多く、事業の健全性については調査されており、無理な融資はしないのが一般的。こうした点からもミドルリスク・ミドルリターンのローンと言えます。

また、一般投資家向けのソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)という新しい金融マーケットでも、メザニンローンは取り扱われています。ソーシャルレンディングにおけるメザニンローンの貸し手は一般投資家。ソーシャルレンディング運用会社がメザニンローンのファンドを発行しており、少額からの投資で高利回りが期待できる商品であることが注目されています。
この場合、ソーシャルレンディング運用会社の信頼性を見極めることや、ファンドの特徴を調べることがまずは大事になるでしょう。

日本より投資家層の厚い欧米では、メザニンローンは広く普及しており、メザニン投資に特化した専門のファンドも多く、専門の投資銀行も存在しているのですね。
もちろんリスクはありますが、今後の金融マーケットや市場経済を見ていくうえで、メザニンローンの市場拡大は不可欠なものとなっていくでしょう。

≪記事作成ライター:ナカムラミユキ≫
千葉出身。金沢在住。広告制作会社にて、新聞広告を手がける。映画、舞台からメーカー、金融まで幅広い記事広告を担当。著名人インタビューや住宅関連、街歩きコラム、生活情報まで興味の赴くまま執筆しています。

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