日銀短観(にちぎんたんかん)とは、正式名称を「全国企業短期経済観測調査」といい、統計法に基づいて日本銀行が行う統計調査であり、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することが目的とされています。全国の約1万社の企業を対象に、四半期ごとに実施されています。

短観では、企業が自社の業況や経済環境の現状・先行きについてどうみているか、といった項目に加え、売上高や収益、設備投資額といった事業計画の実績・予測値など、企業活動全般にわたる項目について調査された内容が公開されています。

年4回公開される日銀の短観から為替・業況・価格・設備雇用・資金調達の5つのグラフを作成して株価との関係を分析します。

為替

短観(概要)の一番上に大企業・製造業の事業計画の前提となるドル円の想定為替レートが提示されています。
1998年の12月調査からの想定為替レートと実際の為替レートの比較をすると想定為替レートより実際の為替レートが円安で推移した時は株価も堅調であることが分かります。
2016年は3月・6月・9月調査まで想定為替レートより実際のレートが円高で推移しており株価も低迷しました。
12月調査では想定為替レートと実勢レートの差が縮小しました。
業績上方修正の余地が少なくなりました。

 

ドル円レートと相関が高いのは日米の実質金利差と言われています。
実質金利は名目金利から物価の上昇率を引くことにより求めます。
現在は米国の物価上昇率のアップのスピードが日本の物価上昇率の少しアップして来て実質金利差も開いて来ています。アメリカのFRBの資産縮小を見極めなければなりません。

業況

業況判断DIは「良い」から「悪い」を引いて算出されます。大企業・中堅企業・中小企業の製造業と非製造業、さらに実績と予測で計12通りのDIが算出されています。
業況判断DIより株価の方が先行する傾向がありますが株価の転換点の確認に使えます。
直近では2016年9月調査を底にして反転中でしたが、12月調査は9月調査より横ばいです。

 

販売価格

販売価格は国内需給と連動します。販売価格より仕入価格の上昇が早い局面では、企業がコストUP分を転嫁できず吸収することになるので収益が低下し株価も低迷します。
反対に販売価格が優位に推移する局面では株価も堅調となります。直近では2016年9月調査を底にして販売価格優位になってましたが、12月調査では仕入れ価格と販売価格の差は続落しています。

 

 

設備・雇用

設備と雇用に関しては「過剰」から「不足」を引いて算出するので「不足」になるとマイナスになり、株価とは逆相関です。雇用は2013年より「過剰」から「不足」に転じてマイナスのピッチを早めて25年ぶりの水準となっています。設備の「過剰」もなくなって来ているので、これからは省人化投資がより重要になってくるかと思われますが9月調査では人手不足が進行しました。

 

資金調達

資金調達は良好は環境です。2016年度は26年ぶりに上場企業の倒産がなかった裏づけとなります。金融機関もゼロ金利で収益源がなくなって来ている中で、企業からの返済猶予要請であるリスケに応じていることが分かります。横ばいになっております。

 

まとめ

為替・業況・価格・設備雇用・資金調達の5つの要因からすると、2018年6月調査では5つのグラフの内1つが上昇・1つが下落・2つが横ばい1つで状況は良くありません。株式相場は失望しているようです。

 

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