今回はJリーグの試合結果で当選が決まるサッカーくじ「toto BIG」にまつわる話です。

toto BIGのCMは間違っている!

toto BIGは試合の勝敗を自分で予想するのではなく、コンピューターがランダムに予想した勝敗が当たるかどうかというくじタイプのtotoです。1等の当選金は3億円(売上や当選数により変動あり)ですが、キャリーオーバーすると最高6億円になります。

テレビCMの「6億あったら年収2,000万の暮らしが30年できる」というフレーズを耳にしたことある方も多いのではないでしょうか?
堤真一さん、真木よう子さんや西島秀俊さんが出ているCMで「6億あったら・・・」と言っています。

6億円とは夢がふくらむ金額ですが、皆さん、「6億で年収2,000万円の暮らしが30年できる」というのは正しいと思いますか?

「おいおい、6億÷2,000万=30年に決まってるだろ!」と突っ込まれそうですが、ファイナンシャル・プランナー目線でみると、「コレ違うよな」と思ってしまいます。

何が違うのか?
「年収2,000万円の暮らし」と「年間2,000万円使える暮らし」は違うということです。

なぜなら、年収2,000万円の人はそこから税金や社会保険料が引かれて実際に手元に入ってくる金額は2,000万円よりも大分少なくなるからです。年に2,000万円も使うことはできません。

年収2,000万円の人の手取りはいくら?

それでは、年収2,000万円の手取り金額がいくらになるか概算を計算してみましょう。

計算をシンプルにするために、2,000万円すべてが給与所得で社会保険料控除と基礎控除以外の所得控除等はないものと考えます。
※計算の都合上40代男性(独身)を想定

すると、社会保険料は、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料のトータルで約307万円となります。
税金については、所得税が約312万円、住民税が約142万円となります。
したがって、手取り金額は2,000万円から上記社会保険料、税金を引いて約1,239万円となります。
つまり年収2,000万円の生活とは、言い換えると年間約1,239万円使える生活ということです。

6億円で年収2,000万円の暮らしは何年できる?

それでは、いよいよ6億円で年収2,000万円の暮らしが何年できるのかを計算してみましょう。

まずtotoの当選金は非課税なので、手元には丸々6億円ある状態です。それから、6億円当たったので当選後は仕事も辞めて当選金だけで悠々自適に暮らすと考えます。つまり無職なので所得税等はかかりません。厳密には初年度は当選前に働いていたときの所得への税金がかかりますが、これは計算上考えないものとします。

ただし、無職とはいえ社会保険料は忘れずに毎年納めてくださいね。まあ無職ですから、そんなに高額にはなりません。国民健康保険料と国民年金保険料で年間約25万円です。(ただし初年度は、前年の所得に応じた保険料となります)

ということで、年収2,000万円相当の生活を実現するために1年間に必要な金額は、先程計算した年収2,000万円の手取り額にこの社会保険料を足した額となります。

すると、6億円で生活できる期間は・・・

6億円÷(1,239万円+25万円)=47.5年

もし6億円あったら、なんとCMで言っている30年どころか47年も年収2,000万の暮らしを続けることができるのです! 30年ではなく47年というのはものすごく大きな差だと思いませんか? もし40歳なら、ほぼ死ぬまでその生活が続けられます。これはますます夢が広がりますね。

なんだか重箱の隅をつつくような話ではありますが、「年収2,000万円の暮らし」と「年間2,000万円使える暮らし」は全然意味が違うということがおわかりいただけたのではないでしょうか?

CMの話なら聞き流せばいいのですが、実際の生活でお金が関わってきたときには、このような違いを見逃してしまったり勘違いしてしまうことで、お金の失敗をしてしまうこともあります。普段からお金についての感度を高めたり、専門的な知識のある人に相談できるような環境があるといいのではないでしょうか?

※本稿で行った試算は、あくまでも概算であり厳密な計算をした訳ではありません。
※社会保険料、住民税は東京都港区在住として計算しています。
※2015年6月23日時点の試算となります。

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