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損益計算書(PL)、貸借対照表貸借対照表(BS)という言葉を社会人になってから、あるいは投資に取り組むようになってから初めて聞いたという方は少なくないかと思います。損益計算書や貸借対照表が読めるようになれば、その企業の経営状態をより深く理解できるようになり、適切な投資先がより見つけやすくなります。

初めてだから不安、という方でも特に問題はありません。足し算と引き算さえできれば誰でも理解できます。この記事を10分かけて読んでいただければ、大まなか企業分析はできるようになります。

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損益計算書(PL)はその企業の1年の損益がわかる決算書

まずはわかりやすい損益計算書の方から説明していきたいと思います。損益計算書は非常に大雑把に言えば、一定の期間(通常の株式会社の場合はある年の4月から翌年の3月まで)の期間にどれくらい利益、もしくは損失を出したかを示す表です。

収益(入ってきたお金)から費用(出ていったお金)を差し引いた金額がプラスならば利益があがったということになりますし、逆の場合は損失が出たということになります。いずれの概念も簡単なものなので、身構える必要はありません。

損益計算書(PL)

損益計算書(PL)

損益計算書を理解する上では、5つの利益について理解する必要があります。

売上総利益

売上総利益=売上高-売上原価

売上総利益は、その商品を仕入れ、売った事によって得られた利益で、粗利と呼ばれることもあります。例えば、ある企業が商品を100万円で仕入れ、それを150万円で売った場合、売上総利益は150万円-100万円≒50万円となります。つまり、あるものを仕入れて売ることによって、50万円の利益を上げているわけです。

営業利益

営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費

当然のことならば、企業の売上総利益がまるまる利益となるわけではありません。企業は売上総利益を上げるために人件費を払ったりオフィスを借りたり広告宣伝をしたり事務用品を買ったりしているからです。

このような費用をまとめて販売費及び一般管理費と言い、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたものを営業利益と言います。営業利益はその企業が本業でどれだけ稼ぐ力があるのかを示す指標になります。営業利益が大きいほど、本業が好調であるといえます。

経常利益

経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

会社は本業とは別に副業で収益を得たり、費用を払ったりしています。例えば、お金を他の企業に貸している場合は、毎年利息を得ることになります。このような、本業とは別に得られる毎年の収益を営業外収益と言います。一方、お金を借りている場合は毎年利息を支払うことになります。このような費用を営業外費用と言います。営業外収益と営業外費用まで考慮した利益を経常利益と言います。

経常利益はその会社の一期あたりの利益を示す指標になります。経常利益が大きいほど、毎年の財務力が優秀であるといえます。

税引前当期純利益

税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失

利益や損失の中には、単年でしか発生しないものもあります。例えば、不動産などの固定資産を購入時よりも高く売ったことによって得られる利益は経常的に発生するものではなく、一度しか発生しません。このような利益を特別利益と言います。

逆に、災害による損失なども一度しか発生しません。このような損失を特別損失と言います。これらの利益と収益まで考慮した利益と損失まで含めた利益税引前当期純利益と言います。税引前当期純利益はある一期の、税金を考慮しない純粋な利益を示す指標です。

当期純利益

当期純利益=税引前当期利益-法人税・住民税及び事業税+法人税等調整額

企業は法人であり、法人は法人税や都道府県税などを支払わなければなりません。税引前当期純利益から支払った税金を引いた額を当期純利益と言います。当期純利益はそのある一期の会社の純粋な利益となります。当期利益がプラスだった場合、その金額は利益剰余金として会社の内部に蓄積しておくことができます。

利益剰余金が多いということは、それだけ当期純利益のプラスが大きいということであり、その1年の経営が順調だったと判断されます。逆にこれが少なかったり、マイナスになった場合は経営は厳しいと判断されます。

利益剰余金は通常、資本金に組み込まれます。資本金が増えるほど自己資本比率(全資産のうち純資産が占める割合)が増えるため、経営状態は安定します。

損益計算書から会社の経営状態を見抜くコツ

株式投資をする上で最も注目すべき利益は経常利益です。経常利益よりも会社の最終的な当期純利益のほうが大事なのでは?と思われるかもしれませんが、そうではありません。当期利益は特別利益や特別損失といった一期限りの利益や損失も考慮されてしまっているからです。

もし会社の状態が思わしくなくても、固定資産の売却などで一時的に利益を得た場合、当期純利益はプラスになってしまうことがあります。しかし、それはたまたまそうなっただけであり、特別利益や特別損失が発生しない来年以降はマイナスになる可能性が高いです。

逆に本業が好調でも、災害などで一時的に特別損失が出た場合、当期純利益がマイナスになってしまうことがあります。しかし、それはたまたまそうなっただけであり、特別利益や特別損失が発生しない来年以降はマイナスになる可能性が高いです。当期純利益はある一期の結果を示すものであり、企業の毎年の収益力を示しているとは限らないのです。

一方、経常利益は特別利益や特別損失を除した、その会社の毎年の収益力を示す指標です。ある年の経常利益が大きなプラスなら、翌年以降もそう簡単にマイナスに転じることはありません。長期的な視野に経てば、経常利益のほうが信頼できる指標であるといえます。

売上高営業利益率で本業の経営効率がわかる

売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100(%)

その企業の本業の力を見極めたいときは、売上高営業利益率という指標を見るといいでしょう。これは売上高を営業利益で割ってパーセント表示したもので、売上高に対して営業利益が多いか低いかを知るためのものです。

この指標が大きい、つまり売上高の割に営業利益が多いということは、本業において効率的な管理ができているということになります。効率的な管理ができているとは、言い換えれば余計な経費を使っていないということです。

ただ、売上高営業利益率の平均は業界によって違うので、絶対的に何%以上あれば安心ということはできません。同業他社や業界平均値などと比べて高いところで安定していれば、優良な銘柄である可能性が高いです。

売上高経常利益率で副業も含めた経営効率がわかる

売上高経常利益率=経常利益÷売上高×100(%)

売上高経常利益率は、売上高営業利益率の営業利益の部分を経常利益に直したものです。この指標が大きい、つまり売上高の割に経常利益が多いということは、本業以外の部分も含めて効率的な管理ができているということになります。

こちらも平均は業界とは違うので、絶対的に何%以上あれば安心ということはできません。同業他社や業界平均値などと比べて高いところで安定していれば、優良な銘柄である可能性が高いです。

損益計算書まとめ

  • 売上総利益=売上高-売上原価
  • 営業利益=売上総利益—販売費及び一般管理費
  • 経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
  • 税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失
  • 当期純利益=税引前当期利益-法人税・住民税及び事業税+法人税等調整額
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貸借対照表(BS)はその企業の資産状況がわかる決算書

次に貸借対照表について説明します。損益計算書はその企業の1年の収支を示すものでしたが、損益計算書はその企業のある時点(通常は会計上の期末。企業なら3月末、個人事業主なら12月末)での資産状況を示すものです。

貸借対照表(BS)

貸借対照表(BS)

貸借対照表は、真ん中に縦の線を引いた表です。真ん中の縦線の左側を資産の部、右側を総資本の部と言います。

資産の部にはその時点で企業が持っている資産、つまり現金、有価証券、売掛金(あとで払ってもらえる代金)、不動産、機械などとその金額が記入されます。

一方、総資本の部はさらに負債の部と資本(純資産)の部に分けることができます。負債の部とは買掛金(あとで払わなくてはいけない代金)や銀行からの借入金、社債などの返済義務のあるお金、資本(純資産)の部とは資本金や利益剰余金など、返済義務がない自分のお金です。

資本の部は、会社が他人から借りたり、自分で用意したりしたお金をどのような状態で持っているかを示すものです。例えば、それらのお金をほとんど現金で持っている場合は資本の部に占める現金の割合が大きくなりますし、建物で持っている場合は建物の割合が大きくなります。

一方、総資本の部は、お金をどこから用意したのかを示すものです。例えばお金の多くを他人から借りた場合は負債の割合が大きくなりますし、自分で用意した場合は資本(純資産)の割合が大きくなります。

また、貸借対照表においては、資産の部の合計金額と総資本の部の合計金額は必ず一致します。他人や自分が用意したお金(総資本)は、必ず何らかの資産に変えられるからです。左と右の金額が一致するため、貸借対照表はバランスシートと呼ばれることがあります。

資産の部

資産とは前述の通り、会社が持っている資産のことです。資産と一口に言ってもその種類は様々で、預金、資産や有価証券、建物、土地、設備などが該当します。資産の部はさらに流動資産、固定資産、繰延資産に分類できます。

流動資産

流動資産とは、資産の中でも比較的流動性が高く、短期間のうちに現金化できるもの(現金を含む)の総称です。短期間であるかどうかの判断基準は概ね1年が目安とされています。流動資産には以下の様なものがあります。

  • 現金:手元にあるお金。
  • 預金:銀行などに預けているお金。
  • 売掛金:後で払ってもらえる代金。
  • 受取手形:後でお金を払ってもらえることを証明する手形。
  • 売買目的有価証券:自家の変動によって利益を得ることを目的とした株式や債券など。

固定資産

固定資産とは、流動資産とついになる概念で、資産の中でも比較的流動性が低く、短期間のうちに現金化しづらいものの総称です。基本的に、販売目的でなく継続的に会社で使用する資産が該当します。固定資産には以下の様なものがあります。

  • 建物:事務所や店舗など。
  • 土地:そのまま土地のこと。
  • 建物附属設備:建物に付属する設備。
  • 機械設置:製造業や建設業などにおける機械、装置、設備など。
  • 車両運搬具:自動車や運搬具など。

なお、固定資産として計上された資産は、その固定資産の額が10万円以上のときは分割して何年かに分けて費用として計上していくことになります。この仕組を減価償却と言います。例えば、100万円の資産を5年間かけて償却する場合、100万円÷5年=20万円を毎年費用として計上していくことになります。

繰延資産

繰延資産とは、流動資産にも固定資産にも当てはまらない特殊な資産です。その支出効果が1年以上に及ぶと認められるもの(創立費、開業費、開発費など)は繰延資産に計上され、任意に償却することができます。繰延資産は流動資産や固定資産と違い、売却したり、利用したりすることができません。

負債の部

負債の部とはその名の通り負債、つまり他人から借りたいつか返さなければならないお金のことです。他人から借りたお金なので、他人資本と呼ばれることもあります。負債がない企業は無借金経営ができているということになりますが、日本の企業の殆どは負債を抱えています。

しかし、負債よりも資産のほうが多く、いざとなったら資産をすべて現金化すれば返済できる程度には余裕がある企業が多いです。もちろん、それは最終手段であり、事業に必要な資産を手放さないように負債を返済していくのが経営者の努めです。

負債の部はさらに流動負債と長期負債に分けることができます。

流動負債

流動負債とは、1年以内に返済期限が来る負債のことです。流動負債が多いということは、もうすぐ返済しなければならない借金が多いということであり、それだけ事業にも影響を与える可能性が高いです。流動負債には以下の様なものがあります。

  • 買掛金:後で払う義務がある代金。
  • 支払手形:後でお金を払う義務があることを証明する手形。
  • 未払い法人税等:法人税や事業税などのうち、まだ払っていないお金のこと。
  • 短期借入金:銀行などから短期的に借り入れたお金。

長期負債

長期負債とは、1年以内に返済期限が来ない負債のことです。長期負債には以下の様なものがあります。

  • 社債:会社が事業資金を得るために発行した債券。
  • 長期借入金:銀行などから長期的に借り入れたお金。
  • 退職給付引当金:従業員の将来の退職金支払いの為に必要な金額。

資本(純資産)の部

資本(純資産)の部とは、あとで他人に返す必要がない自分の会社のお金のことです。自分のお金なので自己資本ということもあります。自己資本には以下の様なものがあります。

  • 資本金:最初に会社を設立するために経営者が用意したお金に、株主が払い込んだお金をプラスしたもの。株主が払い込んだお金を全額資本金にする必要はないが、してもよい。
  • 資本剰余金:資本取引から生じた剰余金。株式の発行や増資などで得たお金。性質は資本金と同様。
  • 利益剰余金:会社の当期以前の当期純利益の合計に、当期の純利益をプラスしたもの。今までの利益の積立。株主の同意を得れば資本金に組み替えることが可能。

貸借対照表(BS)から企業の経営状態を見抜くコツ

損益計算書がある一期での業績の好不調を示すものであるのに対して、貸借対照表は現時点での会社の資産状況の好不調を示すものです。損益計算書の数字が良好でも、損益計算書の数字が悪いと、企業の状態は決していいとはいえません。貸借対照表から企業の経営状態を見抜く際には、以下の数字に注目するといいでしょう。

自己資本比率で財務の安全性がわかる

自己資本比率=純資産÷資産×100(%)

いろいろな指標の中で最も基本的かつ重要とされるのが自己資本比率です。自己資本比率とは、資産に対する自己資本の割合です。自己資本比率が高いということは、それだけ資産に占める返さなくて良いお金の割合のが多く、返さなくてはいけないお金(負債)の割合が少ないということです。無借金経営の場合、負債がないので自己資本比率は100%となります。

企業の財政基盤は当然、負債が少ないほうが安定します(銀行とのパイプを作っておいたほうがいいケースも有るため、一概に無借金経営がいいとはいえません)。

自己資本比率の適切な数値は業種にも左右されますが、40%あれば優良企業、70%あれば超優良企業と言えるでしょう。TKC経営指標のデータによれば、自己資本比率の平均は黒字企業で27%、赤字企業で-4%です。自己資本比率がマイナスになっているということは負債が資産を上回っているということです。

このような状態を債務超過といい、非常に危険なシグナルです。企業が倒産するのは債務超過を起こしたときではなく手元の現金がなくなったときですが、債務超過が続けばいずれ倒産することになります。

流動比率で短期の支払い能力がわかる

流動比率=流動資産÷流動負債×100(%)

流動比率とは、会社の短期的な支払い能力を示す指標で、流動負債に対する流動資産の割合です。流動資産は短期的に現金に変えられる資産、流動負債は短期的に返済しなければならない負債で、両者を比較して前者のほうが高ければ(流動比率が100%を超えていれば)短期的には問題なく支払いができることがわかります。逆に流動比率が100%を下回っていれば、短期のうちに資金ショートを起こす可能性があります。

流動比率は200%以上あればまず安心ですが、実際には上場企業では業種平均で120%前後となっています。

ただ、流動比率が高いからと言って安心かという塗装とも言えません。流動比率が多いということは、言い換えれば流動資産に対して流動負債が少ないということです。成長産業では流動負債が少ないと事業の拡大で他の企業に遅れを取り、競争に負けてしまう可能性があります。逆に成熟産業や独占・寡占産業の場合は流動比率が高いほうが安心安全です。

有利子負債月商比率で借金と売上のバランスが分かる

有利子負債月商比率=有利子負債÷月商

有利子負債月商比率とは、会社の借金と売上のバランスに関する指標で、有利子負債(利子がつく負債)を月商(年間売上高の12分の1)で割ったものです。例えばこの数字が2だった場合、有利子負債が月商の2倍、つまり2ヶ月分の売上に相当することになります。当然、この数字は低い方がいいということになります。

一般的な事業の場合、有利子負債月商比率は3以下にするのが望ましいとされています。

売上債権回転期間で債権回収までにかかる期間がわかる

売上債権回転期間=(売掛金+受取手形)÷(売上高÷365)

売上債権回転期間とは、売掛金や受け取りて我などの後で払ってもらえる代金の回収にかかった期間を日数で表したものです。売掛金と受取手形の合計を、1ヶ月もしくは1日あたりの売上高で割って算出します(今回は1日当たりの売上高で割って計算します)。

例えば、売掛金と受取手形の合計金額が100万円で、1日あたりの売上高が10万円だった場合、売掛債権回転期間は10日となり、回収に平均で10日間かかっていることがわかります。

売掛金や受取手形は早く現金化できるに越したことはないので、当然売上債権回転期間も短いに越したことはありません。売上債権回転期間は業種によって大きく異なり、例えば銀行などだと平均で300日以上になるのに対して、不動産業だと10日程度です(参考:EDIUNET 業種平均ランキング)。

ROAで資産の運用効率がわかる

ROA=当期純利益÷資産

ROAは総資産利益率とも呼ばれる指標で、事業に投下されている資産に対する当期純利益の割合です。会社は現金や預金、建物、土地などの様々な資産を使って利益をあげようとしています。

資産を効率よく使えば使うほど、資産に対する当期純利益の割合、つまりROAは高くなります。逆に言えば、ROAが低いということは、せっかく所有している資産を十分に活かしきれていないということです。

経済産業省によれば、平成25年時点での全業種のROAの平均値は3.1%です。つまり、資産に対する当期純利益の割合が3.1%というわけです。

ROEで自己資本の運用効率がわかる

ROE=当期純利益÷自己資本

ROEはROAとよく似た指標ですが、分子が資産ではなく自己資本になっています。つまり、ROAから負債の部を抜いたのがROEです。事業に投下されている自己資本でどれだけ効率的に当期純利益を得られたかという指標がROEであり、当然大きいに越したことはありません。

売上高総利益率で企業の付加価値がわかる

売上高総利益率=売上総利益÷売上高

売上高総利益率とは、売上高に対する売上総利益の割合です。売上高に対して売上総利益が高いということは、それだけ企業が商品に対して高い付加価値を載せているということです。高い付加価値を与えられているということはその企業の競争力が高いということでもありますが、付加価値ではなく大量販売によって利益を上げるという戦術も十分考えられます。

PBRで株価の割安・割高度がわかる

PBR=時価総額÷資本

PBRとは、資本で時価総額を割ったもので、その企業の株式が現段階で割安なのか割高なのかを示す指標で、数値が低いほど割安です。

資本は純粋な企業の持ち分であり、その時点で企業を売却したときに残るお金≒企業の価値といえます。

一方、時価総額とは株式発行枚数に株価をかけたもので、株式市場におけるその企業の評価ということになります。PBRが1を超えているということは時価総額のほうが資本よりも大きい、つまり株式市場で高く評価されている=株価が割高であるということになります。一方、PBRが1を下回っている場合、株価は割安であるといえます。

例えば、資本が10億円、時価総額が12億円の企業Aがあったとします。この場合、PBRは1.2となります。実際には10億円の価値しかない企業が、株式市場では12億円分の価値があると判断されているわけです。

一方、資本が10億円、時価総額が8億円の企業BのPBRは0.8となります。実際には10億円の価値がある企業が、株式市場では8億円の価値しかないと判断されているわけです。

この場合、どちらの株式が割安かと言われれば、当然企業Bです。ただし、中にはずっとPBRが1を下回ったままの企業もあるため、一概にPBRの低い企業がお買い得というわけでもありません。

PBRは同業他社との比較をしてもいいですが、同じ企業の前年度以前のPBRと比べるのも効果的です。例えば、PBRが1.3→1.2→1.1……と推移している場合、株式は割安になっている傾向があります。純利益が十分上がっており、経営に問題がなさそうな場合はこのような株は買いであるといえるでしょう。

PERで株価の割安・割高度がわかる

PER=時価総額÷当期純利益

PERはPBRに少し似た概念で、当期純利益を時価総額で割ったもので、その企業の株式が現段階で割安なのか割高なのかを示す指標で、数値が低いほど割安です。

例えば、PERが10である場合、時価総額は当期純利益の10倍であるといえます。見方を変えれば、(当期純利益が来年以降も一定だと仮定するならば)、時価総額に見合った当期純利益を積み上げるには10年かかるということです。

一方、PERが5ならば、時価総額に見合った当期純利益を積み上げるには5年で済みます。PERが少ないほど時価総額に見合った当期純利益を早く稼げるほど収益性が高い、あるいは当期純利益に対する時価総額が割安な株式であるといえます。

例えば、時価総額が10億円で、当期純利益が1億円の企業Aがあるとします。この場合、PERは10億円÷1億円=10倍となります。

一方、時価総額が30億円で、当期純利益が2億円の企業Bがあるとします。この場合、PERは15倍となります。企業Bのほうが当期純利益の絶対値は大きいですが、企業AのほうがPERが小さく、割安なのはこちらであるといえます。

PERは同業他社との比較をしてもいいですが、同じ企業の前年度以前のPERと比べるのも効果的です。例えば、PERが12→11→9.5と推移している場合、株式は割安になり続けているといえます。

配当性向で企業の株主に対する配当の度合いがわかる

配当性向=配当総額÷当期純利益×100(%)

配当性向とは、企業が得た純利益をどの程度株主に配当しているかを示す指標です。数値が高いほど配当に対して積極的であるといえます。

株式会社はそもそも、出資した株主に利益を配当することを目的とした仕組みです。会社の創業初期は経営者が株式の大部分を保有することも多いですが、企業規模が大きくなると経営者と株主は別になることがほとんどです。経営者は株主に会社の経営を任されている状態です。そして、経営者は従業員を使い、株価を上げたり、配当を出したりして株主に利益を与えようとします。

さて、仮に当期純利益が10億円で、配当総額が10億円だったとします。この場合、配当性向は100%となります。企業は当期純利益をすべて配当に回したため、利益剰余金は増えず、資本は一定のままです。

一方、当期純利益が10億円で、配当総額が3億円だった場合はどうでしょうか。この場合、配当性向は30%となります。残りの70%(7億円)は利益剰余金に回されるので、資本が増加します。

配当性向が高ければ高いほど配当金が増えるので、投資家にとっては望ましいように思えます。しかし、配当が多いと企業の資本が増えないため、事業を拡大することができません。結果として次期以降の当期純利益が減り、配当金が減ってしまう可能性も十分考えられます。

一方、配当性向が低い場合、企業の資本が大きく増えるため、事業が拡大し、次回以降の当期純利益が増える可能性が高いです。一方で経営者に手腕がないとせっかくの利益剰余金を眠らせて終わってしまうこともあります。配当性向は高くても低くても一長一短であるといえます。

貸借対照表まとめ

  • 資産の部:流動資産、固定資産、繰延資産からなる会社の資産。
  • 負債の部:流動負債、長期負債からなる、返済義務のあるお金。
  • 資本の部:資本金、資本剰余金、利益剰余金などからなる、返済義務のないお金。
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金融・ 経済関連の記事をメインとしたフリーライターをしています。様々なジャンルの本を読み漁っていますので、 自分の記事が投資家の皆さんの利益となるように情報発信に努めていきます。