2017年は2年連続で国富は上昇

内閣府が1月28日発表した国民経済計算の2017年度国民経済計算を参照すると、正味資産で示される国富が2017年末時点で3383.7兆円となったことが発表されました。2年連続の上昇で2007年の水準を超えて2000年の水準まで回復しました。

国富とは

国富は、住宅などに代表される固定資産・土地に代表される非生産資産・金融資産を合計したの資産から負債を差し引いた国全体の正味資産のことですが、自然災害や戦争・その他の出来事に大きく減少することがあります。これを「国富の喪失」と言います。

国民資産残高は2017年末で1京892兆円、負債残高は7509兆円となりました。過去最大となっております。1969年からのグラフを見て分かる通り、固定資産と非生産資産の合計がほぼ国富の残高に近いですが1990年以降は横ばいから下降ラインとなっています。1990年までのバブルにつけた土地の価格の減少分を主に住宅優遇の景気対策で補ってきましたが、総人口の減少が2005年より始まり固定資産の上昇も止まっているからです。

固定資産と非生産資産のような実物資産が上昇しないのと比較して金融資産の上昇は顕著だからですが、1995年や2011年の円高局面では企業の海外進出が進み対外資産残高は増えます。

反対に負債の方は、海外投資家の国内株式の保有残高が上昇すると対外負債が増えます。海外投資家の日本株の保有比率は1970年の頃は、5%程度でしたが2017年3月末で30.9%まで増えています。2012年より日経平均株価が年間で上昇を続けているので、評価額も上昇して対外負債も増やします。

国富の比率が減少と経済の効率

45年間で資産に対する国富の比率は、5割レベルから3割レベルに減少しています。
経常収支が黒字であれば対外資産が増えて、赤字であれば対外負債が増えます。

このように国のストックである資産が上昇している中で、フローに相当するGDPは伸び悩んでいます。名目GDP÷国富は、企業でいうとROEに相当しますが以前は25%を超えてましたが現在は15%程度で2017年は2016年よりさらに低下しています。この数字を見ても日本経済の効率は低下していると言わざる得ません。

2018年の展望ですが、円安が進むと対外資産・対外負債の両方の評価額が増えて国富の比率を下げることになりますが、2016年年末→2017年年末で為替は、112円→109円なので2.8%ほど円高でしたので対外資産・対外負債を減少させます。
さらに海外投資家が5.7兆円ほど国内の株式を売り越したのは対外負債の減少となります。経常収支も2017年は黒字幅が小さくなる見通しです。

以上のことから2018年の国富は、2017年に対して小幅上昇すると予想します。

老朽化した固定資産の改築費の政策

2月の信金中金月報では貸出先別貸出金で個人の貸家業など不動産融資の額がピークアウトしています。
節税アパートなどで固定資産は増えるものの、日本中の固定資産の老朽化が進み付加価値を生まない状態を解消すべきと考えます。老朽化した固定資産の改築費などに政策を出してもらいたいです。
消費を引き上げるために、政府が主導して賃上げの機運が上がって来ています。
しかしながら最新の家計調査のなどを見ると既に30%を超えている高齢の無職世帯対策もしないと全体の消費は増えません。

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