老後の生活を支えることになる退職金ですが、退職金がいくら出るかは勤務先の経営方針や勤続年数などに左右されます。退職金が必ず十分に支給されるとは限らないので、必ず事前にいくらもらえるのか確認をしておきましょう。
退職金は必ずもらえるとは限らない!
そもそも退職金は支給が義務付けられているものではありません(公務員の場合は退職金の支給が法律で義務付けられているので、必ずもらえます)。特に中小企業だと、退職金制度がない会社も少なくありません。退職金支給の有無は各社の就業規則で定められているので、もらえるか心配な場合は確認しましょう。
なお、厚生労働省が行った調査によれば、退職金制度がある会社の割合は全体の75.5%です。つまり、4社中3社は退職金制度があり、4社中1社は退職金制度がない、ということになります。但し、従業員の人数が30人未満の企業はこの調査の対象にはなっていません。この統計をさらに細かく分類した場合は以下のようになります。
- 30~99人 :72%
- 100~299人 :82.2%
- 300人~999人:89.4%
- 1000人以上 :93.3%
従業員数が多いほど、退職金の支給される割合が高くなっています。従業員数が30人未満の企業はさらに支給率が低いものと考えた方がいいでしょう。
退職金は基本給と勤続年数に給付率を掛けて計算する
退職金の金額は基本的に以下の式で計算します。
退職金=1ヶ月あたりの基本給×勤続年数×給付率
1ヶ月あたりの基本給は残業手当などを含まないベースの給料です。勤続年数は長ければ長いほどその会社に対する貢献度が高いということで退職金も高くなります。給付率は最後に掛けられる特殊な係数で、自己都合退職の場合は58%程度、会社都合退職(定年退職含む)の場合は67%程度になります。
例えば、基本給が40万円、勤続年数が38年、定年退職(給付率67%)の場合、退職金支給額は40万円×38年×67%=1018万円となります。
退職金はいくらもらっているの?
次に、他の人が退職金をどれくらいもらっているのかを見ていきましょう。厚生労働省が平成25年に行った調査によれば、平成24年における勤続年数35年以上の定年退職者の平均退職金は以下のようになっています。
- 大学卒(管理・事務・技術職):2,156万円
- 高校卒(管理・事務・技術職):1,965万円
- 高校卒(現業職):1,484万円
勤続年数は高卒の方が長いはずですが、大卒の方が基本給が高いため、トータルでは大卒の方が高くなっています。
なお、同調査によれば、公務員(一般行政職員)の定年退職による平均退職金は2370万円でした。
退職金に税金はかかる?
退職金は所得の一種ですから当然所得税や住民税がかかります。但し、退職金は退職後の生活を支える重要な所得であることから、通常の所得と比べると税制面で優遇されています。つまり税金が安くなるわけです。退職金を受け取った場合、以下の額が所得から控除されます。
- 勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数
- 勤続年数が20年より長い場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
例えば勤続年数が40年、退職金支給額が3000万円だった場合、800万円+70万円×(40年-20年)=2200万円が控除されるため、800万円の部分にだけ税金がかかることになります。
何だか計算がややこしいですが、退職金にかかる税金が計算できるサイト「Ke!san」を使えば一発で計算できるので、税金でどれくらい持っていかれるか心配な方は計算してみましょう。
みんなは退職金を何に使ってる?
最後に、退職した人が退職金を何に使っているか見てみましょう。博報堂によれば、退職金をもらった直後の退職金に占める貯蓄の割合は男性で平均55%、女性で60%とかなり高くなっています。多くの人は退職金の半分以上をとりあえず貯蓄に回すわけですね。
一方、投資は男性で平均15%、女性で10%とあまり高くありません。消費は男女ともに17%前後と、こちらも低調です。多くの人が定年退職後の将来に不安を感じ、貯蓄に回しているというわけですね。
ですが定年退職してから暫く経つと、貯蓄に回した退職金の一部を切り崩して消費や投資にあてる人も少なくありません。
同社の調査によれば、定年退職を間近に控えた人たちが定年後にお金をかけたいと思っているものトップ5は、「国内旅行(56.9%)」「海外旅行(47.7%)」「パソコン・インターネット関連機器(38.4%)「外食・グルメ(31.1%)」「芸術鑑賞(27.2%)」でした。
以前と比べれば消費に対する意欲は多少高まってきており、将来への不安よりも今を楽しむことに集中したいと考える人が増えてきていることがわかります。
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