国民年金制度(「国民皆年金」体制のスタート)が1961年に施行され、高齢化社会の現在、大きな歪みが生じている。

国民年金制度の問題点とは

保険料の未納率が40%を超え、1950年代生まれ以降の若い世代は、支払った金額よりも受け取る金額の方が少ないのだ。特に、1940年生まれ以前の世代と比較すると、その支給金額は3000万円以上にも広がり、格差がついてしまうことが一番の問題になっている。

「受給額-支払額」年代ごとの金額

年代 受給額-支払額
20代 -2240万円
30代 -1700万円
40代 -1050万円
50代 -260万円
60代 +770万円
70代 +3090万円

国民年金の対象者は、自営業、アルバイト・パートの方となる。アルバイト・パートで生計を立てている方は、生活費の他に、年金を払うほどの余裕がない。また、現在、年金支給額より生活保護費のほうが多く貰えるため、年金制度そのものが問題になっている。
さらに、生活保護費の不正受給額が190億円を超えていることがメディアでも取り上げられ、国民年金の未払いに拍車を掛けているのではないだろうか。

しかし、各個人の様々な事情・境遇などから国民年金を支払うことが困難な場合、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」があるのでぜひ活用をすることをお勧めしたい。

国民年金保険料免除・納付猶予制度とは

(国民年金)保険料を納めることが、経済的に難しいとき
国民年金第1号の被保険者は、毎月の保険料を納付していただく必要があります。しかしながら、所得が少ないなど、保険料を納付することが難しい場合もあります。
そのような場合は、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」を利用してください(学生の場合は「学生納付特例制度」を利用してください)。
引用元:日本年金機構

免除の所得の基準

前年所得(源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」)が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること

●全額免除

(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

●4分の3免除

78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

●半額免除

118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

●1/4免除

158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

●若年者納付猶予制度

(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

免除申請条件は、世帯主・配偶者の所得にも影響

配偶者や世帯主がいる場合、配偶者や世帯主が上の「全額免除基準」を下回っていなければならない。世帯主や配偶者のどちらかの収入が全額免除の基準ラインを超えている場合、本人が各免除条件に合っていても、夫婦それぞれの免除にはならない。

年金免除の期間

年金の免除が適用されるのは、毎年7月~翌年6月の期間となる。
例えば、今年の4月に年金免除申請を行った場合は、前年7月~今年6月までの期間が免除期間となる。

失業・退職の特例免除の所得条件

保険料免除制度は、前年の所得で判断されるが、自主退職・解雇・会社の倒産などの理由で、突然収入が無くなってしまった場合は、失業・退職した本人の前年所得は除外しての審査となるため、単身者や配偶者が専業主婦の場合は全額免除の可能性が高くなる。

年金免除のメリットは?

国民年金を支払えず放置してしまっている方(学生も含む)にとって、免除・猶予制度のメリットは断然大きい。

  1. 免除期間も受給資格を満たす年数(25年間)に含まれる

    将来、年金を受給できるのは、25年分の年金保険料を支払った人になるが、免除期間中もこの25年に含まれる。
    例えば、2年間の全額免除の場合、実質23年間分の保険料支払いで将来年金を受給することができる。

  2. 免除期間の分も国が1/2負担

    免除期間の保険料は減額(全額・3/4・半額・1/4)されているが、減額にされた分の1/2を国が税金から負担する。
    例えば全額免除の場合、満額支払っている人の1/2を将来年金として受給できる。

  3. 免除期間中も、障害年金・遺族年金の受給対象になる

    障害年金・遺族年金を受給するには、年金を支払うべき期間の2/3以上の支払い、又は直近1年分の滞納なしという条件があります。免除手続きをとっておけば、免除期間中も支払期間としてカウントされますので、事故などによる不測の事態でも、年金を受給することが出来る。

  4. 免除期間分の保険料を後からでも払える(10年間)

    免除・猶予制度を使うと、免除額の1/2は国が負担するが、あくまで1/2なので保険料を満額支払った場合よりは、将来受給できる年金額が減ってしまう。もらえる年金額を増やしたいという方は、免除・猶予期間中の保険料を10年間さかのぼって支払う(追納)することが出来る。

  5. 国民健康保険・住民税も安くできる

    失業・退職時は国民年金だけでなく、国民健康保険・住民税も申請することで安くできる可能性がある。

年金免除のデメリットは?

追納時に加算金として月額100~200円がつくことがデメリットとなるが、支払った方が受け取れる年金額が大きくなるため、支払うことをお勧めしたい。

追納について:
免除や猶予により減額となった保険料を後々支払うことを言い、支払う義務はないものの将来受給できる年金額が減ってしまう。
10年間は、追納出来るが、その際、免除・猶予を受けた翌年度から3年目以降に追納すると加算金が発生する。

国民年金免除の手続き方法

1.国民年金保険料免除・納付猶予申請書を入手

申請書を入手するには3つの方法があるので、取り寄せしやすい方法で入手したい。

1)ダウンロード:
日本年金機構のホームページからダウンロードして入手する。
PFD:国民年金保険料免除・納付猶予申請書

2)窓口に取りに行く
市区町村の役所・国民年金担当窓口、またはお近くの日本年金機構(年金事務所)へ取りに行く。

3)郵送してもらう
日本年金機構に電話して郵送してもらう。

2.国民年金保険料免除・納付猶予申請書に記入する。

国民年金保険料免除・納付猶予申請書  記入例※日本年金機構ホームページより引用

3.添付が必要な書類を準備する。

年金手帳(氏名の記載ページ)、または基礎年金番号通知書のコピー。また、失業などの特例制度を利用する場合は、失業した事実が確認できる雇用保険受給資格者証、または離職票のコピー。その他状況により下記の添付書類が必要。

  • 国民年金手帳 または基礎年金番号通知書(必須)
  • 前年(または前々年)所得を証明する書類(原則として所得を証明する書類の添付は不要です。)
  • 所得の申立書(所得についての税の申告を行っていない場合)
  • 雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写し(失業等による申請の場合) ※失業等による申請の場合(事業の廃止(廃業)または休止の届出を行っている方)
  • 厚生労働省が実施する総合支援資金貸付の貸付決定通知書の写し及びその申請時の添付書類の写し(以下については、失業の状態にあることの申し立てが別途必要になります。)
  • 履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書
  • 税務署等への異動届出書、個人事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書の写し(税務署等の受付印のあるものに限る。)
  • 保健所への廃止届出書の控(受付印のあるものに限る。)
  • その他、公的機関が交付する証明書等であって失業の事実が確認できる書類

引用元:日本年金機構

4.申請書・添付書類を提出

提出する場所は、住民票住所の市区町村の役所・国民年金担当窓口、または近くの日本年金機構(年金事務所)へ持ち込み、または郵送でも受け付け可能。

5.提出後について~審査期間・結果の通知~など

審査期間は約2~3ヶ月で、審査結果が郵送される

申請後、日本年金機構(年金事務所)から市区町村に申請者本人・配偶者・世帯主の所得状況の確認が入り、その所得状況によって審査が行われ、「全額免除」「3/4免除」「半額免除」「1/4免除」「免除なし」のいずれかの結果が出る。

まとめ

実際の計算は、日本年金機構が申請者本人・配偶者・世帯主の所得状況を市区町村に確認して行うため、免除比率がどうなるかは申請してみないと分からないが、いずれにしても年金受け取り額に影響が出てしまうので、早めに年金免除申請することをお勧めしたい。

よくある質問

Q1:全額免除になった期間は後で払う必要がありますか?

支払いは不要です。将来受給できる金額は減ってしまいますが、減った分の1/2を国が負担してくれます。また、免除期間の保険料を後で追納すること(10年間)が出来ます。

Q2:障害年金とは?

病気や事故などにより、法令による基準以上の障害を負った場合に、受給できる年金です。受給には条件があり、免除・猶予期間であれば適用対象となります。しかし、年金保険料を長期間未払いの場合は受給資格があります。

Q3:遺族年金とは?

国民年金に加入中の方が亡くなった時、その方によって生計を維持されていた「18歳到達年度の末日までの間にある子(障害者は20歳未満)のいる配偶者」又は「子」が、受給できる年金です。受給には条件があり、免除・猶予期間であれば適用対象となりますが、年金保険料を長期間未払いの場合は受給出来ません。

Q4:免除・猶予期間は年金受給資格の25年には含まれるの?

含まれます。

Q5:免除・猶予期間中の減額分を後で払った場合は?

全部支払うことが出来た場合は、免除・猶予が無かったことになり、満額支払ったことになります。一部を支払った場合は、免除・猶予期間の減額分に充当されます。いずれにしても、将来受給できる年金額が増えます。

Q6:加算金は?

月額100~200円くらいです。

Q7:半額免除の場合、将来受給できる年金は減るの?

半額免除の場合、満額支払った場合と比べて、将来受給できる年金額は1/4減ります。(国が減額された保険料の1/2を負担するため。)また、減額期間は、免除・猶予期間の支払月分のみです。

Q8:失業や退職時は?

保険料免除制度は、前年の所得で判断されますが、仕事を辞めた・解雇された・会社が倒産したなどの理由で、突然収入が無くなってしまった場合は、失業・退職の特例免除を利用できます。

Q9:失業・退職の特例免除の所得条件は?

所得条件は、保険料免除制度の所得条件と同じですが、失業・退職した本人の前年所得は除外しての審査となるため、単身者や配偶者が専業主婦の場合は全額免除の可能性が高くなる。

但し、配偶者・世帯主(親)の前年所得も審査対象となるため、4段階(全額・3/4・半額・1/4)で免除額が決まる。

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