2016年5月に確定拠出年金改正法が衆議院本会議で成立し、2017年1月より確定拠出年金制度が大きく変わることになりました。具体的には、これまで加入が認められていなかった会社員や公務員などでも加入できるようになりました。確定拠出年金は民間の年金保険よりも様々な点で優れており、将来が不安ならば加入しておいて損はありません。

個人型確定拠出年金(個人型DC)に加入できる方と各上限金額

確定拠出年金は給付金額が決まっていない

確定拠出年金は、給付額ではなく拠出額が決まっているという点で、従来の公的年金(国民年金、厚生年金)や企業年金とは大きく異なります。

給付額が決まっている年金を確定給付年金と言います。確定給付年金はいくら貰えるのかが最初から決められているため、受け取る側には非常にありがたい制度ですが、給付する側、つまりは政府や企業にとっては不利な制度と言えます。もし運用を謝った場合は、その損失を自ら補填しなければならないからです。

経済が順調に成長していた時代はそれでも問題なかったのですが、現代はもはやそのような時代ではありません。政府も会社も、個人の面倒を見れなくなりつつあるのです。これからは自分で資産を作り、管理できる人だけが安定した老後を手に入れられるのでしょう。

さて、確定拠出年金は、確定給付年金と違って給付額が決まっていません。本人の運用次第で、給付額が増えたり減ったりします。本人が運用に成功すれば、掛けたお金の何倍ものお金を受け取れますが、運用に失敗すれば元本割れしてしまうこともあります。言わば自己責任型の年金なのです。

こんな自己責任型の年金制度が日本で普及するだろうか、と導入当初は言われていたものですが、制度開始から約15年で、加入者数は600万人にまで増加しました。皆それだけ従来の公的年金や企業年金に対して不信感を持っているのかもしれません。

確定拠出年金は掛金全額所得控除&税金0でとってもお得

確定拠出年金は民間の年金保険などと比べて、かなり税制面で優遇されています。まず、拠出した掛金は全額所得控除となります。所得控除とは簡単に言えば、所得税や住民税を減らす仕組みのことです。確定拠出年金の掛金の上限は月額6万8000円(年間81万6000円)となっていますが、これを全額控除できます。平均的な年収がある人の場合、だいたい所得控除額の2割程度税金が安くなるので、仮に年間で81万6000円掛金を払っていれば、16~17万円ぐらいは税金が安くなるはずです。

また、確定拠出年金の運用によって得られた収益は全て非課税となります。通常、投資で収益を得た場合、その額の20%を支払わなければならないのですが、それが一切ないわけです。また、年金や一時金として受け取る場合も控除の対象になります。確定拠出年金はとってもオトクな制度なのです。

確定拠出年金の対象者が大幅に拡大!

しかし、確定拠出年金はもともと会社員や公務員と比べて老後の補償に乏しい自営業者のために導入されたものであり、殆どの会社員や公務員にとって、確定拠出年金は自分とは関係ないものでした。企業型と呼ばれる確定拠出年金制度を導入している会社員は例外的に加入ができたのですが、その数は多くはありませんでした。

しかし、2016年にその制度が大幅に改変され、従来加入できなかった公務員、会社員、更には専業主婦も2017年1月より加入できるようになりました。対象者は合計で2700万人とも言われており、かなりインパクトの大きな改正といえます。

確定拠出年金では元本保証型の商品も選べる

加入できるようになったとは言え、自己責任で年金を運用するなんてとてもできない、という方も中にはいらっしゃるかもしれません。しかし、心配は無用です。確定拠出年金で選べる金融商品の中には、定期預金や保険商品など、元本保証型のものもあるからです。

仮に掛金を全額定期預金に投資すれば元本割れすることはないうえ、所得控除で大幅に税金が安くなり、僅かではありますが利回りも付きます。もちろん、株式や債券、不動産投資信託と言ったリスクはあるもののリターンも望める商品を選ぶことも可能です。自身のリスク許容に応じて、好きな商品を選べるのも確定拠出年金の魅力と言えます。もちろん、途中で資産の配分を変更することもできます。

運営期間が倒産しても安心

確定拠出年金には、運営管理する運営管理機関、資産を管理する資産管理機関、運用商品を提供する運用商品提供害者の3社が関わっています。このうち、運営管理機関と資産管理機関については、倒産したとしても積み立ててきた年金は保護されます。また、運用商品提供害者が倒産した場合、購入していた商品が預金ならば1000万円まで、生命保険や損害保険の場合は9割まで資産が保護されます。

企業型確定拠出年金を導入している会社が倒産した場合も、年金は保護されます。つまり、どこが破綻してもほとんど安全だということです。制度を設計する側の人間も、そのあたりのことはきちんと考えているのです。

自己責任の時代を生き抜くために

これからの時代は自己責任の時代です。会社も、政府も、他人もおそらくは助けてくれないでしょう。そうなった時に自分を救えるのは自分だけです。自分のためにも、若いうちから老後に備えておきましょう。

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