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iDeCoの節税メリットに関しては、掛金を払った段階や運用段階でよく言われる。受取段階でも控除があるから優遇されているといわれるが、実際に受取段階のメリットを享受するには受取計画をよく考えておく必要がある。

受取段階の控除は、公的年金や退職金との兼ね合いを考えないとうまく活用できない。また年間の受取額に応じて所得税・住民税・社会保険料が決まることにも注意したい。

iDeCoを一時金で受け取る際の注意点

iDeCoで拠出し運用した資産は、一時金として一括で受け取っても、年金形式で分割して受け取っても良い。併用することも可能だ。

所得分類上、iDeCoの老齢一時金は退職金と同様、退職所得に該当する。

退職所得の計算方法であるが、(退職所得の収入金額 - 退職所得控除額) ÷ 2 により計算される。

退職金であれば、控除額は勤続年数をAとして、下記の数式により計算される。

A 退職所得控除額
2年以下 80万円
2年超20年以下 40万円×A
20年超 40万円×20年+70万円×(A―20年)

1:退職所得控除額

iDeCoの老齢一時金の場合は、勤続年数ではなく掛金拠出年数となる。

また退職金と老齢一時金をもらう場合は注意点もある。退職金を受け取ってからiDeCoを受け取るまで14年以内、iDeCoを受け取ってから退職金を受け取るまで4年以内の場合は、退職所得控除額の重複適用はできない。

このことに関して事例で説明すると、例えば同一の会社に40年間勤務し、iDeCoはその40年のうち30年間掛けていたとする。退職所得控除額の重複適用ができない場合は、退職金・老齢一時金両者に対する控除額は70万円×(40年―20年)+800万円=2,200万円となる。

iDeCoの年金形式受取期間

iDeCoを年金形式で受け取った場合の老齢給付金に関してであるが、60歳以降に受け取れるのは制度上決まっているが、受取期間は取扱金融機関(運営管理機関)により異なる。

概ねの傾向としては、5年~20年という金融機関が多く、ごく一部では終身にできるところもある。60歳から20年間受け取る場合は79歳までになるし、65歳から10年間受け取るのであれば74歳まで受け取れる。

年間受取回数も年1~12回(毎月)と、幅広い選択肢がある。

受取期間を長くするほど、1年あたりの受取額は小さくなる。また受け取るまでの間、運用を行うことになる。投資信託のようなリスク資産で老後も運用することは危険である。

iDeCoの所得分類と控除額は公的年金と共通

所得税・住民税の課税対象、自治体の社会保険料の算定対象となる所得は、大まかには10種類に分類される。そのうち雑所得は、公的年金等に係る雑所得とその他の雑所得、先物取引等に係る雑所得に分かれる。

iDeCoの老齢給付金と公的年金は、ともに公的年金等に係る雑所得に該当する。企業年金も同様であるが、民間保険会社の個人年金はその他の雑所得に該当する。

雑所得の計算式は 収入金額 ― 必要経費であるが、公的年金等に係る雑所得の必要経費は収入金額に応じて、下記のように自動的に決まる。

年金年額=A 65歳未満 65歳以上
~130万円 70万円 120万円
130万円~330万円 A×25%+37.5万円
330万円~410万円 A×25%+37.5万円
410万円~770万円 A×15%+78.5万円
770万円~ A×5%+155.5万円

2:公的年金等控除額

330万円(65歳未満であれば130万円)までは、控除額が120万円または70万円と決まっているため、増加した収入に対する税率分だけ増税となる。330万円(65歳未満であれば130万円)を超えると、増加した収入の75%~95%に税率をかけた分だけ増税となる。

公的年金の繰上げ受給・繰下げ受給

公的年金の受取額は、現役世代の職業(国民年金被保険者が第1号・2号・3号のいずれにあたるか)、厚生年金に加入していた場合は在職中の給与・賞与がいくらか、国民年金に加入していた場合は納付期間・納付額で変わってくる。

その他、60歳以降いつから受給するかによっても変わってくる。原則的な受給開始年齢は満65歳であるが、60~64歳からの繰上げ受給、65歳~70歳からの繰下げ受給も可能である。

繰上げ受給を行うと受給額が1カ月あたり0.5%減少し、繰下げ受給を行うと1カ月あたり0.7%増加する。なお政府は繰下げを行うと受給額が増加するメリットを前面に出し、繰下げ受給を推進していく方向である。

公的年金には老齢基礎年金と、厚生年金加入者がもらえる老齢厚生年金がある。繰上げ受給を行う場合は、老齢基礎年金・老齢厚生年金とも同じように繰り上げなければならない。

しかし繰下げ受給は老齢基礎年金・老齢厚生年金のいずれかだけでも可能であり、繰上げよりも柔軟性がある。

老齢厚生年金を繰り下げる場合は、年金版の配偶者手当と言える加給年金がもらえなくなる点には注意したい。

iDeCo・公的年金の受取事例

iDeCo・公的年金の基本的な受取戦略をもとに、どのような受け取り方が望ましいか、事例をもとに考えたい。

なお今後税制の変更があった場合は、変更された税制に即した軌道修正も必要である。

公的年金の繰上げは慎重に

公的年金の繰上げ受給を行えば年額が少なくなるが、安易な繰上げ受給は危険である。

年金支給開始年齢にならなくても、一定の障害状態になった場合は障害年金がもらえる。しかし繰上げ受給を行った場合は、障害年金を受け取れるケースが非常に限定される。また自営業者等の妻などが受け取れる寡婦年金ももらえなくなってしまう。

そのことで、もらえる年金額が少なくなってしまう危険性がある。また障害年金や寡婦年金は非課税のため、税や保険料がかからないというメリットが失われるという危険性もあるので気をつけたい。

受取事例

下記のようなケースで、公的年金・iDeCoをもらって老後を過ごすと考える。

・公的年金の年額:180万円(65歳を受給開始年齢とした場合、加給年金含む)

・退職金:1,800万円(勤続40年、60歳で受取)

・iDeCoにより形成した資産:総額800万円(掛金拠出30年、受取時すべて定期預金)

iDeCoの老齢給付金は60歳以降5~20年で受け取ることができ、公的年金は65歳が支給開始年齢である。

65歳以降他の所得が無く、年額211万円(大都市部の高齢夫婦世帯で住民税非課税世帯となるギリギリの年額)に収まる範囲で受け取ることを考えたい。

公的年金の繰上げ受給を行えば年額が少なくなるが、安易な繰上げ受給は障害年金などでデメリットが出てくるため、繰上げはしないものとする。かといって加給年金がもらえる状況なら、老齢厚生年金を繰り下げても金銭的なデメリットが出る。

老齢基礎年金だけ68歳まで繰下げた場合、0.7%×36月=25.2%増額されるため、約78万円が約98万円と20万円程度増額となる。このため65歳~67歳の年額は老齢厚生年金のみで約102万円となり、68歳以降は老齢基礎年金もあわせて約200万円となる。

いずれの期間も年211万円は下回り、その上で一定の受給額増額も果たせる。

退職金に関してであるが、退職所得控除額が2,200万円となる。よってiDeCoの老齢一時金は400万円までにしておけば、退職金と同じ年もしくはその後14年以内にもらっても課税されない。

60歳~64歳の期間は、年金形式の老齢給付金を残り総額400万円受け取ることになるが、年間80万円となる。この期間の公的年金等控除額は70万円となるため、雑所得は各年10万円である。

年間80万円の老齢給付金で足りなければ、大都市では年収90万円(給与所得は25万円)までの給与を稼いでも住民税非課税の要件は満たす。

結論として、60歳以降下記のような受け取り方にするとよいことになる。

・60歳:退職金1,800万円

・60歳~64歳:iDeCo老齢給付金・年40万円

・65歳:iDeCo老齢一時金・400万円

・65歳~67歳:老齢厚生年金・年102万円

・68歳~:老齢厚生年金および老齢基礎年金・年200万円

(配偶者が65歳到達時に加給年金分は無くなる)

 

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