
これからの時代は資産運用が大事だというような話をよく聞きませんか。
その原因のひとつには例えば政府が掲げる政策のひとつである「インフレ目標2%」があります。
これはデフレ脱却を目指して政府と日本銀行が打ち出した景気刺激策であり、物価を年に2%ずつ上昇させる政策ですが当然定期預金などの金利は年に2%もありません。
つまり今銀行にあなたがただ預けているだけのお金はほぼ増えることはないのに、物価は上がり続けるため、実質何もしていなくても貯金は減っていくことになります。
これが資産運用が必要だと言われる原因のひとつとして挙げられます。
とは言え、資産運用が必要だと感じても、何から手を付けていいのか見当もつかない方も多いかと思います。
ここでは少額から始められる資産運用初心者におすすめの3つの手法を紹介していきたいと思います。
資産運用はいくらから始めるべきか
資産運用には当然あなたの貯金のすべてを充てるべきではありません。
資産は大きく3つにわけることができます。
病気や事故など有事の際に対応できるようにいつでも引き出せる状態にしておく「流動性資産」、住宅ローンの頭金や子供の教育費など近い将来に使うことがほぼ確定、予想できる「安全性資産」、そしてそれら2つの資産を差し引いた「収益性資産」です。
資産運用に充てるべきなのはこの「収益性資産」です。
限られた収入の中から収益性資産を捻出し資産運用に充てるとしたら資金は限られてしまいます。
そのため資産運用を始めようにもなかなか資金がなくて始められないと考える人が多くいるようです。
しかし資産運用はなるべく早く始めて長期間かけてわずかでも資産を増やしていくべきですし、いくらからなら始められるというものでもありません。今は少額からでも始められる時代となりました。
少額からでも始められる資産運用とは
少額でも始められる資産運用として今回は3つご紹介いたします。
1.積み立てNISA
これまでも少額からでも初心者も始めやすい投資方法として人気のあった「NISA(少額投資非課税制度)」ですが2018年1月より毎月の積立で始められる「積み立てNISA」として毎月コツコツと少しずつ始められるサービスが開始しました。
2.ロボアドバイザー
AIにより個々人に合わせた適切な資産運用の配分や銘柄を自動で行ってくれるサービスです。
これにより何の知識がなくてもAIに任せて手軽に資産運用が始められるとして注目を浴びている投資手法です。
3.個人確定拠出年金iDeCo
通常の確定拠出年金と違い、加入者が毎月一定の積立を行い、保険や投資信託の運用を自分で行い、老後に年金として受け取る「個人で準備する年金制度」です。
少額から始められることもあり、通常の年金制度だけでは老後が不安な方々には人気の制度です。これらの3つの手法の特長やデメリットを次に簡単に述べていきます。
1)積み立てNISAの特長とデメリット
これまでのNISAもそうですが何といってもNISA、積み立てNISA共に最大のメリットは投資による運用益が非課税であることです。
年間で40万円の非課税枠があり、これは例えば10万円の運用益を上げた場合、通常の証券口座などで同様の運用益を上げた場合には約20%ほどの税金がかかるのに対し、NISAではそのまま手元に入るためおよそ2万円得する形となります。
参照:金融庁 積立NISA
またこの非課税となる期間が従来のNISAでは5年間だったのに対し、20年間と期間がかなり長くなり、より恩恵をあずかれるようになりました。
また積み立てNISAでは金融庁が指定した一定の投資信託やETFのみが対象となっていますので、選択肢がこれまでのNISAよりもかなり少なくなっているため初心者にもとっつきやすいものであるといえるかもしれません。
しかしここでは少額から始められる資産運用を紹介してますので問題はないかもしれませんが、年間40万円の枠しかありませんので月でいうと3万円ちょっとのため、資産運用に慣れてきてもっと投資をしたいとなった場合には不向きなものであるかと思います。
2)ロボットアドバイザーの特長とデメリット
先述の積立NISAと違い、AIがその個人個人にあった金融商品を選んでくれるため何から手をつければ良いか全くわからない投資初心者にはお勧めのサービスとなります
ロボアドバイザー大手 WealthNavi(ウェルスナビ)の仕組み
引用:WealthNavi(ウェルスナビ)
ロボアドバイザーのAIは利用者に対していくつかの質問を投げかけ、その質問に答えることによって、自動的にその人に合った配分で投資を行ってくれるというものになります。
AIを用いて自動的に最も収益が高そうな投資先に自動的に分散投資をしてくれますが、通常自分で分散投資をした場合は、時間の経過とともに各投資先の比率が変わってきて安定した収益が取れない場合もありますが、これも自動リバランスという手法でAIを通じて適切な投資バランスに戻してくれます。
また運用初心者は特にありがちですが、人間的な感情が介在してしまいます。
値上がりすると欲が出たり、値下がりすると躍起になって取り返そうとしたり、これ以上の損失を恐れて早々に見切ってしまったりします。
AIに任せるとどうしても出てしまう人間的な感情を排除しロジックに従った適切な運用が可能です。
しかしデメリットもあります。
ロボットアドバイザーが開発されて歴史もまだまだ浅く、各運営会社を比較してもサービスの差があまりない上に、運用実績もまだまだ不透明なものではあります。
個々人にあった運用が本当にできているかも不明な部分な部分もあり、今後の経過に期待というところも感じます。
3)iDeCo(個人確定拠出年金)の特長とデメリット
年金制度の代わりとなるようなサービスですので、収益性資産を増やしたいというよりも老後の資金を確保したいという方向けの運用手法になります。
NISA同様まずは、掛金が全額所得控除になることがメリットの一つです。
引用:iDeco公式サイト
収益に税金がかからないことのメリットは先述した通りですが、それに加え受け取る際にも税金が控除されます。
運用した資産は60~70歳の間に「年金」「一時金」「年金と一時金の両方」のどれかを選択して受け取ることになりますが、一時金を選択すると「退職所得控除」が、年金を選択すると「公的年金等控除」が受けられいずれにしても所得税がかなり安くなるというメリットもあります。
しかし一番のデメリットは60歳まで引き出せないことです。
そのため本当に老後のためだけのサービスと言えるでしょう。
またあくまで自分で投資先を選び、自分自身の力で運用するものです。
初心者が始めた場合にはそれなりにリスクがつきまとうものとなります。
とは言え月5,000円から始められる投資になりますので、老後の資産形成や資産運用の勉強にも向いているものではあるかと思います。
ワンランク上の資産運用方法とは
これまで少額からも始められる初心者向けの資産運用を紹介してきました。
しかし、投資できる余剰資金が1,000万円以上ある方や、こうした少額投資を経てある程度まとまった資産を形成された方には全く別の資産運用をご提案します。
それが「個人向けヘッジファンド」です。
個人向けヘッジファンドでは運用のプロがあなたの代わりに資産を運用してくれます。
そのためAIによる自動分散投資やリバランスではありませんが、プロが最適な運用を常に意識して行ってくれます。
これによりあなたは安心して自分自身の時間を割かれることもなく資産運用を行うことができます。
この点ではNISAなどの投資信託も同様ではありますが、手数料の差や投資信託よりも多くのヘッジファンドはかなり高い利回りを上げています。
ヘッジファンドの多くは、運用成績に応じて会社の収益が決定し、結果が第一になるため死に物狂いで運用を行い、高い利回りを上げていくことを信条にしているからです。
またヘッジファンドでは運用の実績を定期的に報告されるため、ファンドマネージャーたちと話し合いながら追加の投資を行ったりあるいは減らしたりしながらあなたに合った投資をしていくことも可能です。
そして定期的な報告会により、ファンドマネージャーとともに運用の勉強をして知識をつけて株式投資などまた新たに自分で違った資産運用を始めることも可能です。
まずは少額から資産運用を始めてみて次の投資先として、「個人向けヘッジファンド」も視野に入れてみてはいかがでしょうか。