資産運用をするにあたって誰もが損失は出したくないものです。
それゆえリスクを極力さけたいわゆる「元本保証」の資産運用に関心を示す人が多いようです。
とはいえ、完全なる元本保証の金融商品というものはなかなかありません。
いずれも国や金融機関が破綻してしまえば保証されるかどうかはわかりません。
今回は元本保証に近しいローリスクな資産運用とはどのようなものがあるのか、どういったメリットデメリットがあるのかをご紹介いたします。
元本保証に近しい金融商品
銀行預金
こちらは元本保証の資産運用の形です。
1000万円までの預金であれば、金融機関が破綻した場合でも元本が保証されています。
普通預金と定期預金の2種類がありますが、定期預金ですら年利は高くても0.02%と限りなく低く、資産を安全に守るという認識で利回りで収益を上げようという方には当然おすすめできません。
また定期預金においては満期までは引き出しができないため流動性は低い資産運用の形となります。
個人向け国債、地方債
国や地方公共団体が発行する債券であり、満期になると元本が返済されるものです。
金利は定期預金よりは高くなっていますが、国や地方公共団体が破綻した際には返済されないので完全な元本保証とはいえません。
個人向け国債の金利は、3年と5年の国債が固定金利で、10年の国債が変動金利となっており、固定金利の利率は約0.05%です。
また地方債の場合は満期の長い30年の地方債であれば、0.9%以上と比較的高い金利を持ちます。
個人向け社債
国や地方公共団体ではなく、民間企業が発行する債券になります。
社債には3種類あり、満期まで一定額の利子をもらえる普通社債、発行した会社の株と交換する権利がついている転換社債、発行した会社が新たに発行する株式を購入する権利がついているワラント債があります。
企業によりますがいずれも国債や地方債よりも金利が高いものが多い一方で、人気の企業の社債は手に入りにくかったり投資金が最低100万円ほど必要であったりするものも多いです。
国債や地方債よりもハードルが高く、かつ同様に民間企業が倒産すれば返済されないものでありリスクも大きくなります。
MRF(公社債投資信託)
投資信託の一種であり国債など公社債のみで作られた投資信託になります。
通常の投資信託同様、専門家が選択した金融商品を運用し、かつ株式などを取り入れないため、安全性の高い投資信託となっています。
かつては0.05%程度の金利が想定されていましたが現在ではマイナス金利の影響もうけ、ほとんど金利が期待できない商品になってしまっているのが実情です。
生命保険
貯蓄型の生命保険では保険料を満期まで支払い続けた場合、満期時に利息が加算して返戻されます。
月々数千円程度から払うことが出来、さらに税金からの控除も受けることができます。
貯蓄を目的とした生命保険には1%から2%の利回りを想定しているものもありますが、これらは若い時期に入った場合になります。
30歳前後で加入した場合には生命保険の恩恵を多く受けることが出来ますが、早くに解約してしまうと返戻金が元本を割ることもあり資産の流動性としては低くなってしまいます。
元本保証型のデメリット
資産が安全に増えていくという意味で元本保証型の金融商品は魅力的に感じますし、多くの注目を集めていますがもちろんデメリットがあります。
金利が低くインフレのリスクに耐えられない
これまで上げてきた元本保証型の金融商品はあくまで定期預金に比べて金利が高いというものであり通常の投資信託や他の金融商品に比べるとやはり金利は低いものになります。
政府や日銀が目標としている物価を年間2%上昇させていく「インフレ目標2%」がありますし、実際に今後年間で物価は年間で1.1%から1.3%程度のインフレをすると予想されています。
そうなるとこれまであげたような年間の利率が1%に満たない元本保証型の金融商品ではいかに元本が保証されていようが実質的には元本が目減りしているのと同じことになります。
つまり、インフレに耐えるにはこのインフレ指数を上回る利率で資産運用をしないと意味がないのです。
あくまで元本保証に近いだけである
ここであげていた金融商品は1000万円以下の定期預金以外はあくまで元本保証に近いだけであり、元本保証ではありません。
国や地方公共団体、民間企業が倒産、破綻してしまうと回収できる見込みはどこにもありません。
元本が実質的に目減りする上に破綻して返済もされないことに万が一なってしまったら悲惨ですので注意が必要です。
流動性が低い
加えてここにあげたような金融商品は10年あるいは老後近くまで保有することを前提とした金融商品です。
そこまで保有しておいてようやく収益があがります。
途中で解約してしまうと元金が減ってしまう可能性が高く、有事の際にお金が必要となった場合には損失を被ることになります。
元本保証に頼らずに資産運用を
このように金利が低く、わずかながらでも元本が保証されない金融商品のみに頼る資産運用はおすすめしません。
先ほども述べたように政府が目標とする2%の物価上昇に耐えるためにも年間2%以上の利率の金融商品に投資をするべきだと考えます。
例えば個人向けヘッジファンドは利率でいえば10から15%もの高い利率をキープし、過去何年も損失を出していない優良なファンドも多くあります。
もちろん元本が保証されていないリスクはこれまで紹介した金融商品よりも大きくなりますので、ご自身の目で見極めて信頼に足るファンドを見つけることをおすすめします。