不動産投資や株式投資など、資産運用を行う皆様の中には「資産管理会社」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

資産管理会社とは特に不動産投資をする方が良く耳にすることが多いかとは思いますが、その名の通り資産を管理することを目的とした会社であり、この資産管理会社を設立することで投資家たちにとって様々なメリットを生み出すことができます。

今回は資産管理会社についてご説明いたします。

資産管理会社とは

資産管理会社とは資産を管理することを目的とした会社であり、何か特定の社会に対する事業を目的とした会社ではありません。

資産管理自体は個人の投資家でも可能ですが、法人格として資産管理会社とすることで節税など様々なメリットを受けることができます。

資産管理会社を立ち上げる人には不動産を保有している人、株式や貯金を多く保有している人、多額の相続税の発生があり得る人などがいます。

不動産投資や株式投資などの投資家たちが資産管理会社を立ち上げるメリットについてご紹介します。

資産管理会社のメリット

法人税による節税効果が大きい

不動産投資を行う方が資産管理会社を設立した場合の一番大きなメリットが節税効果になります。

個人で不動産投資を行っており、大きな収入がある場合にはそれに応じて所得税がかかってきます。

その税率は最大で55%にもなってしまいますが、法人として資産管理会社を通じて投資を行っていた場合には最大でも23.4%であり、事業税率や地方法人特別税率などを加算しても税率は35%以内に収まります。

ただし後ほどご説明しますがこの所得税における節税効果は不動産投資の場合によるもので、株式投資やFXの場合には少し変わってきます。

損益通算が可能

個人で様々な投資を行っている場合にはそれぞれの収益において税金がかかってきます。

例えば株式投資とFX投資をどちらも行っている投資家の場合、株式投資とFXのそのどちらもで損失を出していたとしても、個人の本業の給与がある場合にはその給与に対して税金が発生します。

同様に株式投資で収益を上げているにも関わらずFXで損失を出し、結果的に収益がプラスマイナスゼロであったとしても、株式投資での収益に対する税金が発生します。

しかしながら、資産管理会社の場合には不動産投資や株式投資、FX、給与などをすべて通算の損益として計上できます。

つまり個人で行う場合に比べてどれかの投資にて損失を出している場合には大きな節税効果があります。

相続税の軽減ができる

資産管理会社は個人ではなく法人であるため、役員報酬という形で親族に資産を分け与えることができます。

個人のままで相続をすると残された資産はすべて相続税の対象となりますが、役員報酬という形で金銭を支払うができるようになるため資産を生前贈与して相続税の対象となり得ません。

これも大きなメリットとなります。

様々な支出を経費計上できる

また様々な支出を経費として計上できるため、所得を減らし税金をさらに抑えることも可能になります。

例えば個人の場合では生命保険は控除は一部だけになりますが、それに対して資産管理会社の場合は従業員や役員の保険料の全額もしくは一部を経費計上することが可能です。

また不動産投資における土地の借入金についても個人の場合は赤字の場合、計上できませんが資産管理会社の場合は経費として計上が可能になります。

FX投資におけるレバレッジ規制の緩和

個人の場合、FXにおいては最大25倍までのレバレッジまでしか出来ないという規制があります。

対して法人においてはFXの業者によっても異なりますが、変動性によって最大100倍にしているところもあります。

近年規制が厳しくはなっていっている段階ではあるものの、まだまだ個人よりは大きくレバレッジをかけられることもメリットとして挙げられます。

しかしレバレッジを大きくかけることは同時に損失のリスクも大きくなるということなので、慎重に行うことが必要です。

資産管理会社のデメリット

法人設立時の初期費用や諸雑務

法人登録時の登録免許税など初期費用が諸々発生してしまうことや資産管理会社の法人税や事業税の支払い業務などが複雑化します。

行政書士や税理士など専門家にお願いすることで簡略化できますが、そこにもコストは発生してしまいます。

赤字でも住民税の負担が必要

資産管理会社という法人格に対して住民税が必要になります。

これについては赤字決算であっても最低年間7万円が必要となります。

株式投資やFXの場合は税金が高い

さきほど不動産投資においては資産管理会社は節税効果が大きくメリットがあると述べましたが、株式投資やFXの場合はそうではありません。

株式投資やFXの場合は個人に対して収益の20%が課税されます。

それに対して資産管理会社になると法人税として30%ほどの課税がされてしまうため税金が高くなってしまうというデメリットがあります。

とはいえメリットとして述べたように様々な経費計上が出来、かつ損益通算ができるため、損失が出る可能性がある場合にも資産管理会社のほうが強みがあると言えます。

FXの評価益に対する課税

個人の場合、株式やFXは売却して利益を確定しない限り課税されることはなく、含み益の場合では課税されません。

それに対して法人の場合においてはFXに関してのみ、評価益に対しても決算時に課税対象となり税金が発生します。

資産管理会社化をすべきなのか

例えばFXのみの投資を行っている方が資産管理会社を設立することが得策かと言われると疑問ですが、幅広く投資を行い、かつ大きく収益を上げている個人投資家の方に対しては、資産管理会社を設立することはメリットのほうが大きいと個人的には思います。

特にここには上げていませんでしたが、個人向けヘッジファンドなどで比較的大きな投資を行い高い収益を上げている方が自身でも株式投資やFXなど幅広く投資を行っている場合には、株式投資やFXで損失を出した場合にも損益通算で過剰に税金を払うリスクも減らせます。

資産管理会社にはメリットデメリットがありますので、仮に資産運用において大きな収益を上げている場合にはこうした資産管理会社の設立も視野に入れて投資の幅を増やすことを検討してみてはいかがでしょうか。

 

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