現在オフショア投資の手段として人気のオフショア積立投資3社を比較してみた。
これらの3社は保険会社であり、小口の個人投資家では直接投資ができないマザーファンド(ヘッジファンド等)に直接投資する仕組みを提供している。
契約者は投資信託のように個人口座(ラップ口座)を開設し、最大200本ものファンドから数本を選びポートフォリオを組むこともできる。運用資金は毎月クレジットカードで積立てられ、ポートフォリオの組成と運用はIFA(独立系のファイナンシャルアドバイザー)に一任勘定で任せるため、自ら運用を行う手間が掛からない。オフショア投資というと運用面や専門知識、言語の面で何かと面倒なイメージがあるかもしれないが、IFAに運用を委託できるので実際にはほとんど手間は掛からない。
オフショア積立の税制上のメリットは、保険商品という立て付けのため、日本で販売されている変額保険商品と同様、払い戻しや契約を解消するまで課税されることがなく利益を再投資する仕組みだ。複利で10年~25年運用するため利回りを出しやすい商品となっている。
RL360°(旧社名「Royal London 360」)
RL360°は、オフショア金融センターのひとつであるマン島の本社を置き、アジア、アフリカ、中東、そしてイギリスで幅広いオフショアの投資、貯蓄、タックスプランニングを世界中の投資家に向けて提供している保険会社です。2013年にMBOによって独立するまでは、イギリス最大手の投資信託・保険会社「ロイヤルロンドングループ」の子会社として、35年以上に渡って合同産業の経験があります。2015年にCMIの買収によって、RL360グループ連結で保険契約者は6万人、運用資産は100億ドル超、300人のスタッフが運営している。
特徴
商品名:クァンタム(積立年金プラン)の主な特徴は以下の通りです。
申込年齢 | 18歳以上65歳以下 |
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積立年数 | 5年~30年 |
積立通貨 | GBP、EUR、USD、CHF、AUD、HKD、JPY |
最低積立額 | 320USD(または相当額) |
組み込み可能なファンド数 | 10種類 |
ロイヤルティボーナス | 時価評価額の0.25%(10年以上の契約が対象) |
手数料
商品名:クァンタム(積立年金プラン)の維持にかかる手数料は以下の通り。
初期口座手数料 | 0.5%/月 |
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プラン手数料 | 7.68USD/月 |
管理手数料 | 0.125%/月 |
マネジメント費 | 0〜1%/年 |
ファンド変更手数料 | 無料(無制限) |
RL360°の積立年金プランは、7種類の通貨から積立通貨を選べ、320USD(または相当額)から始められる積立型投資商品です。日本で言えば「投資一任運用商品(ラップ口座)」のライト版とも言える。
本社のあるマン島は、投資家保護と安全性の評価では群を抜いているオフショア地域で、保険契約者は、マン島の保険契約者保護機構によって保護され、資産の最大90パーセントが保証される(保護機構の条項に依存)仕組みを採用している。
インベスターズトラスト(ITA)
インベスターズトラストはオフショア金融センターのひとつ、ケイマン諸島に籍を置く保険会社です。ケイマン諸島は中南米にあり、キューバ・ジャマイカ・ホンジュラス・メキシコなどの中間にある徳之島とほぼ同サイズの島であるが、多くの資産運用会社や特別目的会社(SPC)を置く海外の金融業も多い。
インベスターズ・トラスト・アシュアランス SPCは2002年に設立された、比較的新しい保険会社で、現在は世界30以上の国や地域で事業を展開中で、保険契約者は5万人、運用資産は7億ドルある。
インベスターズトラストは、ケイマン諸島会社法に基づきSPC(Segregated Portfolio Company)として登録され、法人の一般資産と顧客の資産を完全に分離して管理されており、顧客資産は経営状況等の影響を受けることがない。
特徴
エボリューション(元本確保型積立年金プラン)の主な特徴は以下の通り。
申込年齢 | 18歳以上65歳以下 |
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積立年数 | 10年・15年・20年・25年 |
積立通貨 | GBP、EUR、USD |
最低積立額 | 5年契約は月額200USD、10年以上なら月額100USD |
ロイヤルティボーナス | 1年目から10年目:拠出金の7.5% 11年目から15年目:拠出金の5% 16年目から20年目:拠出金の5% 21年目から25年目:拠出金の5% ※支払い予定の拠出金が全て猶予期間内に支払い済みで拠出金の減額や一部解約がない場合に適用されます。 |
手数料
エボリューション(積立年金プラン)の維持にかかる手数料は以下の通り。
管理手数料 | 1年目から10年目:積立総額に対して1.9% 11年目以降:積立総額に対して0.35% |
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プラン手数料 | 7USD/ユーロ (英ポンド 4.5)/月 |
管理手数料 | 0.125%/月 |
ファンド変更手数料 | 無料(年15回まで) |
インベスターズトラストのメリットは、手数料が他のオフショア積立商品と比較し、安く設定されている点である。他社は「時価総額×手数料率」で計算されるため、ポートフォリオの成績が良くなると手数料額が増え、悪くなると手数料額が減る。対して、インベスターズトラストのエボリューションは「積立総額×手数料率」となるため、運用が良くなればなるほど、他の商品より手数料比率は下がる事となる。
フレンズプロビデント※、ハンサード※、スタンダードライフ※、ロイヤルロンドンなど先行する主な保険会社の後発会社だが、「15年積立で元本確保+利回り140%」の低リスクが特徴で、わずか15年で5万人が契約しており、日本でも個人年金や学資保険の代わりとして活用する傾向が見られ、契約数を伸ばしている。
※印:現在、日本居住者は契約できない。
プレミア・トラスト(Premier Trust)
プレミア・トラストは、金融センターのひとつ英領ヴァージン諸島に籍を置く。ヴァージン諸島は60近い岩礁や島からなる島々で、かつてはサトウキビ産業が盛んだった。現在は観光による収入が大きくなっており漁業やラム酒の製造も行われている。人口は約3万1000人で、住民の多くはアフリカ系黒人。2013年のオフショア投資ランキングでは、アメリカ、中国、ロシアに次ぐ世界第4位で、世界から資金を呼び込んでいる。
プレミア・トラストは、フロリダに本拠地を置くアメリカの独立系保険会社Premier Assurance Groupのグループ会社(世界60ヶ国以上で展開しており、まだ設立10年ほどの新しい会社)。同社取締役、第三者保険アクチュアリー、UBSプライベートバンキングやグローバルカストディアンで構成された投資監視委員会を設置し、その委員会のアドバイスに沿って、プリンシパル・プロテクション特別勘定口座を管理運営している。また、UBS銀行がリスクをカバーする為のポートフォリオを独立して管理している。
特徴
商品名:プリンシパル・プロテクション(元本確保型積立年金プラン)の主な特徴は以下の通り。
申込年齢 | 18歳以上80歳以下 |
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積立年数 | 10年・15年・20年・25年 |
元本確保プラン | 15年-140% 20年-150% 25年-160% |
積立通貨 | GBP、EUR、USD |
最低積立額 | 200USD/月 |
ロイヤルティボーナス | 10年: 1年~10年の積立総額の10% 15年: 11年~15年の積立総額の8% 20年: 16年~20年の積立総額の8% 25年: 21年~25年の積立総額の8% ※支払い予定の拠出金が全て猶予期間内に支払い済みで拠出金の減額や一部解約がない場合に適用されます。 |
手数料
商品名:プリンシパル・プロテクション(元本確保型積立年金プラン)の維持にかかる手数料は以下の通り。
管理手数料 | 1年目から10年目までは毎年1.9%、その後は満期まで毎年0.75% |
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プラン手数料 | 毎月:5USD |
管理手数料 | 0.125%/月 |
ファンド変更手数料 | 無料(年15回まで) |
プレミア・トラストは、25年積立てなら満期時に160%の元本確保されるプランを提供しており、インベスターズトラスト同様、低リスクでリターンを狙いたい方向けの商品を提供している。
また、インベスターズトラストと異なるのは、S&P 以外にも5種類までのグローバルなインデックスに分散投資ができる点で、さらにリスク分散が可能となっている。
投資対象リスト
- S&P 500
- MSCI 新興国株IMI
- S&P アジア50
- ユーロストックス50
- MSCI オールカントリーワールドインデックスIM
積立投資商品では一番新しく、商品内容もよい為、今後は売れ筋になっていくことが予想される。
積立年金プランの契約方法
海外の保険会社は個人からの直接申し込みを受け付けていないため、日本人であれば香港やシンガポールなどのIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)を通して契約を申込む必要がある。
IFAは日本でいうところの独立系の保険代理店のような存在で、契約の申込や契約後のサポートやポートフォリオの組成から運用までを一手に担当する。IFAも香港だけで200社以上あると言われているため日本語対応の優良なIFAを紹介している会社や団体を頼る方法も検討したい。
日本では同様の金融商品は学資保険や積立投資信託が上げられるが、学資保険はゼロ金利の影響で販売停止が相次ぎ、証券会社や銀行窓口で販売されている主な投資信託の利回り平均は、実質マイナス(2016年の金融庁レポート参照)とのデータにもある通り、海外保険会社の商品と比較すると運用利回りは雲泥の差となっている。
国内生保や金融商品では、魅力的な商品がないのが実情といえる今、金融商品も海外に目を向け幅広く検討することも必要な時代に入ってきているのではないだろうか。