ベトナムは、東南アジアの中でもフロンティア市場と呼ばれ、今後伸び率が期待されている国です。日本企業も中国の人件費高騰からベトナムへ工場を移転しており、ポスト中国との呼び声も高いエリアになります。
2018年にはASEAN域内の関税撤廃が実施され、TPPにも参加しているベトナム。経済成長もめざましく、投資対象としても魅力的な企業が登場しています。特に注目すべき業種別に、おすすめ銘柄をご紹介します。
食料品:ビナミルク(ベトナム乳業)
人口も増え続け、現在約9000万人もの人口を有するベトナム。男性だけでなく女性の就業意欲も高いため、積極的な食事の外注なども行うお国柄です。
ビナミルクは、乳製品を始めとしてビールや清涼飲料水といった飲料事業などを一手に行っている食料品メーカーです。2006年にホーチミン証券取引所に上場して以来、販路を拡大し続けています。2013年にはカルフォルニアにあるドリフトウッド乳業の株式を70%取得しており、米国への販売も開始しています。
会長のマイ・キエウ・リエンは、2013年に米フォーブス誌で「アジアで成功した女性経営者トップ50」に選ばれてもいます。今後も増収増益が見込める企業として注目されています。
機械:REE冷蔵電気工業
ベトナムでは、日本企業のキャノンやホンダなどが相次いで工場を建設し、東南アジアの中でも機械類の輸出が増加しています。その中で、最も歴史のある空調機・冷凍機メーカーなのがREE冷蔵電気工業です。1977年に上場を果たしており、国内での知名度も高く、業界内のシェアは約30%で首位の企業です。
国会や空港といった大規模な施設に納品しており、小規模店舗への冷凍機販売なども堅調です。現在は売上のほとんどが不動産事業の収益になっています。柱となっているのが高級なITオフィスビルの賃貸経営で、今後、火力発電所の建設も控えています。発電と電力販売も開始予定で今度の伸び率が期待されています。
医薬品:イメックスファーム医薬品
ベトナムでは人口増加とともに、医療費も年々上がっています。個人の医療費も2012年から2017年の5年間で2倍になっています。さらに、売上高については、2012年が28 億 4,000 万ドル、2017 年が 64 億 8,000 万ドルと倍以上を誇っています。
その中で、ベトナム薬品公社傘下のイメックスファーム医薬品はベトナム国内第2位の製薬会社で、医薬品や漢方薬の販売や調剤を行っています。
最近では殺虫剤などの製造販売や医薬機器の開発にも力を入れています。200種類を超える製品を販売する他、海外からの受託生産に重点を置いており、受託生産品は30種類を超えます。海外との連携を強めており、今後存在感がますます増すことが予想される企業です。
インフラ:ペトロベトナムガス
電気やガスといったインフラ関連はどこの国でも生活に欠かせません。ペトロベトナムガスは、ベトナムの天然ガス事業をほぼ独占している企業です。今後経済発展が見込める東南アジアの中で、集中的に海外からの資金が投入されています。
実は東京ガスがペトロベトナムガスの子会社であるペトロベトナム低圧ガス販売株式会社の株式を取得し、橋梁的提携を結んでいます。現在、2020年〜2035年の超長期計画で海外での採掘も計画しており、海外からベトナムに輸入する予定を発表しています。
ただし、ガス価格は原油価格の上下動に直接的な影響を受けるため、その点では保有に注意が必要な企業でもあります。国営企業のため、倒産する可能性は低いので長期的に保有を検討すべき銘柄といえるでしょう。
金融:サイゴン証券
経済成長とともに、金融業界も活況を呈しています。サイゴン証券はベトナムで口座開設数ナンバーワンの証券会社です。
2007年から日本の総合商社双日と包括提携を行っており、投資資金も流れています。実は現在、サイゴン証券は外国人保有率が高い株銘柄として知られており、日本の大和証券などが大株主として知られています。定期的に買い増しを行っており、株価の動きも大きいのが特徴です。
ちなみに、日本人でも口座開設が可能で、日本語対応デスクがある店舗もあります。海外投資家へのサービス強化を図っており、今後も日本をはじめ海外からの資金が流入する企業と考えられます。
ベトナム株式投資の注意点
ベトナム株は、SBI証券などを通じて購入可能ですが、多くの株式に外国人保有比率制限が設けられています。サイゴン証券などは外資出資が100%可能になりましたが、一般的な企業は50%ほどの上限があり、購入できないケースがあります。
また、アジア商業銀行やサイゴン商業銀行といった銀行系株式は外国人購入がほぼ不可能です。規制緩和が進んでいますが、完全な自由化には時間がかかると予想されます。
ベトナムは今後の高度経済成長へ期待
ベトナムは社会主義国家であり、長らく軍事的な政権が続いた国です。しかし、現在は市場経済を導入し、民間企業も飛躍的な成長を遂げています。今後高度経済成長期に入っていくことが見込まれるエリアです。
現在は、外国資本が投入されることから、企業の株価は変動しやすい側面があります。ただ今後の経済成長を期待して、長期投資するに値する投資環境は整いつつあります。有力な企業にはすでに世界中から注目されており、投資対象としての魅力も高まっているといえます。
≪記事作成ライター:Saya≫
川村学園女子大学非常勤講師(専門分野:アジア宗教史)、中高一貫校で社会科非常勤講師をしつつ、分かりやすい海外情勢・投資情報を提供している。Sayasayanの株日記
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