近年、経済学者の間で盛んに論争されているリフレーション政策の是非。一流の経済学者ですら結論が出せない問題を我々素人が理解するのは難しいですが、考え方を知っておいて損はありません。今回はリフレ派・反リフレ派のそれぞれの主張を見ていきたいと思います。
リフレ派は金融緩和による緩やかなインフレを望む人たち
リフレ派とは一言で言えば、リフレーションを望む人たちのことです。リフレーションとはアメリカのアーヴィング・フィッシャーという経済学者が提唱した経済政策で、はじめに目標とする物価上昇率を定めて、それを達成するために金融緩和を行って市場に流通するお金を増やし、緩やかに物価を上昇させる政策です。最初に物価上昇率を定めることを「インフレターゲット」と言います。
市場にお金が増えれば、それだけお金の価値が下がります。お金の価値が下がれば、その分物価は上がります。これはいわゆるインフレです。リフレ派はインフレを望む人たち、ということができるでしょう。ただし、リフレ派が望んでいるのはあくまでも緩やかなインフレであり、ハイパーインフレのような急激なインフレは望んでいません。
リフレ派はインフレターゲット政策が、長年のデフレと不景気を脱出する政策であると考えています。物価目標率を定めてその通り物価が上昇すれば、遅から早かれ皆そのことに気が付きます。
すると多くの人は「この先も物価は上がり続けるだろうから、値上がりする前に欲しいものを買ってしまおう」と考えるので、消費が増え、企業の利益が増え、景気が良くなります。また、インフレに伴いお金の価値は下落するため、預金に回されるお金が減り、株式や不動産に対する投資も活発になるはずです。
反リフレ派はデフレを望んでいるわけではない
リフレ派がインフレを望んでいるのならば、半リフレはそれとは真逆のデフレを望んでいるのだ、と思われるかもしれませんが、反リフレ派の中でデフレを望む人はほとんどいません。むしろリフレ派と同じく、緩やかなインフレを望む人たちが大半です。
反リフレ派の主張は、「緩やかなインフレを狙うのは正しいが、リフレ派のやり方ではだめ」と言うものです。リフレ派は物価上昇率を最初に定めて、金融緩和することを主張していますが、実際にそんな狙ったとおりに物価が上昇する保証はどこにもありません。金融緩和をしたけれど何の効果も得られませんでした、という事態も十分起こりえます。
多くの反リフレ派は金融政策ではなく、構造改革などの潜在成長率を高める政策こそが緩やかなインフレに向かう道だと考えています。構造改革とは簡単に言えば、規制を少なくしてどんな企業でも市場に参入できるようにして、競争させて技術革新を生み出して収益を増やすための工夫です。いわゆる小さな政府を目指すものと言ってもいいでしょう。
結局どちらが正しいのか
経済学者でも意見は分かれており、どちらが正しいのかははっきりしていません。リフレ派は自分たちが正しくて相手は間違っていると思っていますし、反リフレ派も同じことを考えています。インフレが起こると景気が良くなるのか、景気が良くなることによってインフレが起こるのかという、鶏が先か卵が先か論争に陥ってしまいがちです。
ただ、少なくとも現在の日本では日銀の金融緩和、インフレターゲットとどちらかと言えばリフレ派寄りの態度を取っています。日銀の黒田総裁もリフレ派の一角とされています。
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