株式投資の価格やトレンドを予測したり、売買タイミングを図ったりするうえで「テクニカル分析」や「ファンダメンタル分析」を用います。

テクニカル分析やチャートやテクニカル指標を用いてチャート分析をし、ファンダメンタル分析や経済指標や決算資料などから読み取る分析方法です。

「何となく違いは分かるけど、具体的に何が違うのか分からない・・」、このように何となく分析に活用するものが違うなど、漠然としたイメージが湧いているものの分かっていないことも多いのではないでしょうか。

今回は株式投資の基礎であり重要な、テクニカル分析とファンダメンタル分析の違いについて具体的に解説していきます。

テクニカル分析とファンダメンタル分析の違い

みなさんに質問です。

「テクニカル分析とファンダメンタル分析は何を意味しているのか?」

株式投資を始めて、それぞれの分析方法について知り始めた時に、具体的な意味について疑問が多数あるのではないでしょうか。しかし、以下のような考え方で実際に活用しているケースもあるでしょう。

「テクニカル分析はデイトレードで用いて、ファンダメンタル分析は中長期投資で用いることだから、とりあえず活用している」

確かに実際に活用する場合は、上記のような考え方で用いてもあながち間違いではありません。ファンダメンタル分析は、短期的な相場の分析には向いていない側面がありますし、テクニカル分析は逆にデイトレードやスキャルピングといったごく短期的な相場分析にも対応可能です。

しかし、本来は相場のスパンによって分けられているのではなく、経済状況を示す指標から分析することをファンダメンタル分析といい、チャートや計算によって分析することをテクニカル分析といいます。

  • ファンダメンタル分析:経済指標や政治、安全保障などの情報などから相場を読み解く
  • テクニカル分析:チャートやチャートを基にした指標などから相場を読み解く

つまり、指標としているものが全く異なります。

ファンダメンタル分析に使用する指標

ファンダメンタルに使用する指標は、主に経済指標や時事情報、企業の業績などになります。以下にいくつかご紹介します。

  • PER:現在の価格に対する1株辺りの当期純利益を倍率で示す(15倍以下が割安)
  • PBR:現在の価格に対する1株辺りの純資産を倍率で示す(1倍未満が割安)
  • ROE:株主の自己資本からどの程度利益を得られるか%で示す(10%以上だと良好)
  • 会社四季報:国内の上場企業に関する基本情報や業績、株価を掲載している書籍
  • 業績:企業の営業利益などを示した資料(証券会社内の個別銘柄画面でも確認できる)
  • 決算:企業の1年間で得た利益や損失をまとめたもの(国内は3月決算が多い)
  • 経済指標:政府などが発表している財政状況などをまとめたもの(多数の指標がある)

どれも重要ですが、経済指標もいくつか種類を把握しておくと分析する際に効率化へ繋がります。

経済指標の具体例

経済指標を具体的に解説しますと、政府などが発表している国の財政状況や雇用状況、特定業種の収支状況、物価状況などをまとめた資料になります。国の景気を分析する際にも活用できるので、1年以上保有し続ける長期投資との相性が良いです。

一方、経済指標が発表されたとしても、相場へ反映されるまで時間が掛かるので、デイトレードやスキャルピングでは用いる機会が少ないのも特徴的でしょう。

経済指標を株式投資に用いる際の基本としては、「指標の結果が予想よりも良い」、「予想通り良い」といった場合に買わやすくなり価格上昇に繋がります。

そして「指標の結果が予想よりも悪い」、「数値としては良い流れだが予想よりも良くない」などのような場合は、逆に売られやすくなるため下落に繋がることも多いです。

続いて以下に主な経済指標をご紹介します。

  • 日銀短観(全国企業短期経済観測調査)
  • 国内総生産(GDP)
  • 景気動向指数(CI)
  • 完全失業率

日銀短観は、文字通り日本銀行が公表している指標で、1年間に4回発表されます。全国の大手企業から中小企業から経営状況などを聞き、それらを分析して景気動向を数値します。

景気動向指数も景気の方向性を数値化した指標で、国内の生産や雇用などの状況を情報源としているのが特徴です。どちらも景気動向を見極める上で、使いやすく重要な指標になります。

国内総生産は、国内の国民が働いたことによって発生した利益の合計を数値化したもので、国の成長力を判断する指標でもあります。状況によっても異なりますが、GDPの発表後は価格が変動することもあるので、分析というよりは相場の変化を先読みするためにチェックしておくべきでしょう。

完全失業率は、国内の15歳以上で尚且つ働く意欲のある人のうち、完全に無職となっている状態を示す指標です。数値が上がるほど失業率が高まっていることになり、市場全体の方向性を下落へ動かす要因でもあります。

テクニカル分析の指標

テクニカル分析の指標は、トレンド系指標とオシレーター系指標、そしてその他の3種類に分かれています。

トレンド系指標は現在の株価が上昇トレンドなのか、それとも下降トレンドなのかを示す指標です。そしてオシレーター系指標は、現在の株価が買われ過ぎか売られ過ぎかを示す指標になります。

ちなみにその他とは、トレンド系とオシレーター系どちらの特性も持っている指標などのことをまとめたものになります。ただ、この解釈は投資家によって異なるので、投資家自身が各指標の特性がどちらに該当するのか判断することも大切です。

テクニカル分析とファンダメンタル分析を上手く使い分けよう

今回紹介したテクニカル分析とファンダメンタル分析の違いは、分かりやすく端的にまとめたものとなっています。しかし、要点は押さえているので、その違いさえ覚えていれば間違った使い方をせずに済むでしょう。

ファンダメンタル指標は、今回4つ程ご紹介しましたが実際は他にも多数ありまして、海外の経済指標も含めると100種類以上に及びます。しかし、国内株式に活用できる指標は主に国内指標ですので、まずは国内の主要な経済指標から覚えてみることが大切です。

そしてテクニカル分析とファンダメンタル分析は、どちらが優れているかということではありません。投資スタイルや売買戦略に合わせて、使い分けたり同時に使ったりするなど柔軟に対応していくことがポイントです。

 

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金融ライター/メディア運営/投資家8年目、最近は投資信託に注力。ライターとしては金融系の記事が中心です。ブログではライター活動や資産運用などについて、事務所サイトではライター募集などを行っています。