「株高の時に、つい投資しすぎてしまい、失敗した。」と感じたことはありませんか?投資では相場観も大事ですが、それだけでは失敗することも多いです。冷静に判断できるように、客観的な投資指標を使うとよいです。

実は、アメリカの著名投資家ウォーレン・バフェットの名を冠した、「バフェット指数」という投資指標があります。バフェット指数を使えば、相場の過熱感を簡単に判断できます。

たとえば、2019年7月に米国株は最高値を更新して、市場には楽観ムードが漂っています。しかし、バフェット指数も過去最高水準となっており、過去の推移から考えると、いつ相場が反転してもおかしくない状況です。

相場の過熱感を判断したいならバフェット指数を使うとよいです。

本記事では株価の過熱感を判断する指標のひとつとして、バフェット指数の計算方法と使い方、その注意点について紹介します。

バフェット指数の計算方法

バフェット指数は、株式市場の過熱感の目安となる投資指標です。バリュー投資の神様として多くの投資家に尊敬されている、ウォーレン・バフェットが参考にしているといわれる指数です。

バフェット指数の定義は以下のようになっています。

バフェット指数[%]  = 株式時価総額 ÷ 名目GDP × 100

つまり、バフェット指数とは名目GDPに対する株式時価総額の比率のことです。バフェット指数が100%以下なら割安、100%以上なら過熱といわれています。バフェット指数は国ごとに判断されることが多いです。

バフェット指数の調べ方と現在の水準

バフェット指数を自分で計算するのもよいですが、いちいち数値を調べて計算するのは大変です。指数を自動的に計算して過去からの推移をグラフ化してくれるサイトがありますので、活用するとよいです。

たとえば、日米のバフェット指数は以下のサイトから調べられます。

米国株のバフェット指数:gurufocus(https://nikkeiyosoku.com/buffett/

日本株のバフェット指数:日経平均株価AI予想(https://nikkeiyosoku.com/buffett/

最新のバフェット指数を調べたいという方は、上記サイトを活用するとよいです。

現在の株価とバフェット指数の水準

では、現在(2019年7月)の日米の株価とバフェット指数がどうなっているか、具体的に見てみましょう。

米国株は最高値更新したが、バフェット指数もITバブル時代に並ぶ高水準

米国の代表的な株価指数であるS&P500の推移は下図のようになっています。

S&P500 チャート(引用:https://finance.yahoo.co.jp/

5年前からの変化を見ると、多少の変動はあるものの、右肩上がりの状況が続いています。2019年7月には最高値をつけて、米国株は絶好調です。

一方、米国株市場におけるバフェット指数は以下のようになっています。

米国株のバフェット指数(引用:gurufocus)

現在のバフェット指数は約147%であり、2000年3月、2018年9月と並んで過去最高水準です。バフェット指数は100%以上で過熱といわれますので、現在の水準はかなり過熱しているとみてよさそうです。

実際、2000年3月にバフェット指数が149%となったときをみると、直後にITバブルが崩壊し、株価は急落しました。また、2018年9月に147%となった後も株価が下落し、2018年末にはクリスマスショックと呼ばれる急落が起きています。

現在は、FRB(連邦準備理事会)が利下げに転じるという期待感もあって、市場には楽観ムードが漂っています。しかし、バフェット指数をみると、株価は行き過ぎているように見えます。こんなときこそ用心する必要があると判断できます。

日本の株価とバフェット指数もやや高い水準

次に、日本の代表的な株価指数である日経平均株価の推移をみると、下図のようになっています。

日本の株価とバフェット指数もやや高い水準

日本株は輸出企業が多くて米中貿易摩擦の影響を受けやすいため、米国株と違って、最高値とはなっていません。

しかし、5年前と比較すると、やや高い水準になっていることがわかります。

一方、日本株のバフェット指数をみると、下図のようになっています(2017年以降の時間軸が長くなっていることに注意してください)。

日本株のバフェット指数(引用:日経平均株価AI予想)

2018年1月に134%をつけたあと、じりじりと下がっています。現在は111%となっていて、やや過熱という水準です。

バフェット指数をみると、日本株は米国株ほど過熱しているわけではありません。しかし、日本株は1989年のバブル時を除いて全体的に割安な傾向があります。バフェット指数が111%であっても楽観しにくいです。

また、日本株は米国株に連動する傾向が強いです。米国株が崩れたら、日本株も急落しますので、米国市場の行方には注意が必要です。

バフェット指数の使い方の注意点

上記では、日米ともに過熱の状態にあり、いつ暴落してもおかしくないと述べました。しかし、バフェット指数にはデメリットもありますので、使い方には注意しないといけません。

バフェット指数では、いつ暴落するかはわからない

バフェット指数のデメリットは、いつ暴落するかは予測できないことです。

例えば、アメリカのバフェット指数が100%を超えたのは2013年です。それから6年間も100%を超え続けています。

また、日本株のバフェット指数が100%を超えたのは2016年です。これらの例をみると、100%を超えているからといって、すぐに暴落するわけではないことがわかります。

バフェット指数は積極的/慎重になるべきかの判断に使うとよい

しかし、バフェット指数は役に立たないというわけではありません。少なくとも株価が割高/割安の目安になります。

長期投資をするなら、株価が割高なときに積極的に買いに行く必要はありません。バフェット指数が割高なときは慎重に行動しなければいけないというサインとして使うとよいです。

まとめ

本記事では株価の過熱感を判断する指標のひとつとして、バフェット指数の計算方法と使い方、その注意点について紹介しました。

バフェット指数は簡単に計算できますし、手軽に調べられるサイトもあるので便利です。一方、バフェット指数は長期的な目安であり、いつ暴落するかはわからないというデメリットがあります。

積極的に投資するべきかどうかの判断材料のひとつとしてバフェット指数を活用してはいかがでしょうか?

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個人投資家で投資歴10年以上。FP2級保有。主に割安株やインデックスファンドを中心に投資しています。 株や投資信託の 銘柄選びのノウハウやお得情報などを発信する 長期投資サイト「ロイナビ(https://f-inde.com/ )」を運営しています。