「移住」ではなく「ロングステイ」。日本国内に拠点がある方が、2週間以上連続して海外に滞在するライフスタイルを「海外ロングステイ」と称しています。
「移住」の場合、就労問題や住居の売却、子どもの教育や両親の介護問題に直面したりと、日本における諸問題を解決してからでないと思いきれないところがありますが、「ロングステイ」は旅行感覚で実行できるので、最近人気傾向にあるようです。
そんな「海外ロングステイ」の実態を知ることで、これからを生きる人たちのライフスタイルの新たな可能性を探っていきます。
19歳以下、40代、50代、65歳以上で増加傾向
どのくらいの人々が「海外ロングステイ」を活用しているのでしょうか。まずは年代別推定人口の推移を見てみましょう。
年代別に見ると、19歳以下、40代、50代、65~69歳の層で増加傾向となっています。
19歳以下は、海外旅行離れが進んでいる世代とも言われていますが、海外生活を経験することによる知識や教養の蓄積や、将来的なキャリア・アップをにらんでの増加傾向なのでしょうか。ビジネスの市場がますますグローバル化していく中、この層における「海外ロングステイ」需要は、今後も増えていく可能性を秘めています。
40代、50代の伸びは、「ワーク・ライフ・バランス」が唱えられる中で就業している年代ということもあり、「海外ロングステイ」というスタイルが生活の中に浸透している世代なのでしょう。仕事をやりくりして、みなさん「海外ロングステイ」を実践しているのですね。
60~65歳が減少傾向にある中、65~69歳が堅調な伸びを示しているのは、定年年齢の問題なのかもしれません。60歳での定年が引き上げられ、65歳まで雇用延長する企業なども多いことから、65歳を過ぎてから今の生活を振り返り「海外ロングステイ」を選択をする人が多くなってきている現状が見てとれます。
海外旅行者数が減少傾向にある中、「海外ロングステイ」推定人口が伸びを示しているのは興味深い結果だと思います。
「海外ロングステイ」、人気1位はマレーシア
海外とはいっても数多くの国がある中、日本人にとって人気のロングステイ先はどこになるのでしょう? 「ロングステイ希望国」のトップ10を挙げてみます。
■1位 マレーシア
■2位 タイ
■3位 ハワイ
■4位 台湾
■5位 フィリピン
■6位 オーストラリア
■7位 カナダ
■8位 シンガポール
■9位 インドネシア
■10位 ニュージーランド
※2016年 ロングステイ財団調べ
1位にはマレーシアがランクインしていますが、何と11年連続で人気1位を維持しているんです。この理由を探ってみると、マレーシアで発行している長期滞在査証「マレーシア・マイ・セカンドホームプログラム(MM2H)」が充実していることが大きく関係しているようです。最長10年の長期滞在査証でマレーシアと親交のある国の人であれば申請可能です。
金銭的な面を見ていきます。50歳未満の人の場合、最低50万リンギット(約1250万円)以上の財産証明と月額1万リンギット(約25万円)以上の収入証明が必要です。また、50歳以上の人の場合、最低35万リンギット(約875万円)以上の財産証明と月額1万リンギット(約25万円)以上の収入証明または年金証明が必要になってきます。財産は預金や有価証券が含まれ、年金証に関しては基礎年金のほか、厚生年金と政府が承認した企業年金も含まれます。そのほかにも、条件は種々あります(詳細はマレーシア政府観光局HPをご参照)。
2位のタイ、3位のハワイは、6年連続で同位をキープしています。
総体的に、日本からのアクセスがよく、気候が温暖で治安が安定している国が多いですね。また、親日家と思われる国が多いのも特徴的です。
15万円~19万円の滞在費が、最多費用帯を占める
「海外ロングステイ」へと赴かれるみなさんは、滞在費にいくらくらいかけているのでしょう。
もっとも多い割合(最多費用帯)を示したのは「15万円~19万円」の19.9%でした。
2位は「10万円~14万円」の18%。
3位は「20万円~24万円」の17.1%となっています。10%を超えるのはこの3費用帯のみになりますね。引き続き「10万円未満」と「30万円~34万円」が8.5%と同割合を示しました。総体的に、自由奔放に豪遊するというのではなく、事前に生活費のシミュレーションを立て、海外で堅実に暮らす生活者の姿が見えてくるようです。
── 「海外ロングステイ」というライフスタイルは、今後、現状の生活をよりよく変えたいと考える生活者の選択肢にさらに入ってくることになるのでしょう。これからも拡大していく市場として捉えながら、自らの生活を豊かにするための方策としても、「海外ロングステイ」をうまく活用していきたいものです。
≪記事作成ライター:川島大河≫
情報サービス会社、広告代理店などの勤務を経て、現在は供養関連事業(お墓、葬儀、終活など)の販促企画、セミナー・プロデュース、執筆・編集関連業務に従事する。「楽しく人生を過ごすために役立つ情報を分かりやすく提供」することがモットー。
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