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積み立て投資の手法としては、「ドルコスト平均法」がよく知られています。毎回一定の資金を投資し、投資対象の価格が高いときは少なく、安いときは多く購入する手法で、平均すると購入価格を低めに抑えることができる投資手法です。

これに対して、「バリュー平均法」とは、毎回一定額で資産の時価評価額が増加するように決めておき、毎回決められた時価評価額になるよう、投資対象の価格が高いときは少なく、安いときは多く購入する手法です。

購入する間隔はどちらも日々の変動に左右されない1か月おきまたは3か月おきがよいでしょう。

「バリュー平均法」:決められた時価評価額になるように購入または売却する

ドルコスト平均法との違いは、決められた時価評価額になるように購入または売却を行う点です。購入した資産の時価評価額が、1回ごとに一定額(例えば20万円)増加するように決めておきます。投資対象の価格が高いときは、購入金額は少なくなります。価格が安いときは購入金額が多くなります。この毎回購入金額が変動する点がドルコスト平均法との大きな違いです。

さらに価格が大きく上昇したときは、一定額の増加分を超えて資産の時価評価額が上昇する場合があります。その場合は購入するのではなく、時価評価額が一定の増加となるように資産の売却を行います。例えば増加額を20万円と決めていて、時価評価額が30万円増加した場合は、購入せずに10万円分の資産を売却し、時価評価額の増加が一定の20万円となるように調整します。この10万円は売却益となります。

下落の局面で大きく購入

バリュー平均法では、価格が下落する局面でも時価評価額が一定額増加するように購入するため、価格が下落すればするほど多額の資金で購入することになります。こうして購入平均価格は大きく低下することになります。この結果、価格が下落した局面が続いた後で、上昇に転じたパターンでは結果的に大きな利益を得ることができます。これがバリュー平均法のメリットです。

このメリットはデメリットにもつながります。下落局面が長く続くと、購入金額が増加していき、資金が枯渇する恐れがあります。例えば価格が下落する前には20万円だった購入金額は、購入金総額が500万円で前回購入時からの下落率が10%の場合、基本の購入金額20万円に下落分の10%=50万円、合わせて70万円に増加します。これに対しては次善の策ですが、あらかじめ購入金額の上限を決めておき、それ以上は購入しないという割り切りが必要でしょう。

ドルコスト平均法との比較

ドルコスト平均法では上昇局面でも一定の金額で購入を続けますが、バリュー平均法では時価評価額の増加分を超えた部分は資産を売却することになります。これは資産の減少となりますが、余裕資金が増えたと考えて下落局面への備えに廻すことにすればよいでしょう。

この違いで、上昇局面が続いた場合は、ドルコスト平均法では資産が増えるので、時価評価額の上昇は資産が増えないバリュー平均法を上回る点には注意が必要です。特に上昇局面が長く続くと、バリュー平均法では資産を売却するばかりで売却益は少し増えますが、投資対象の資産は売却を行っているのでそれほど増えません。これに対してドルコスト平均法では順調に資産が増加していきます。

上昇局面が長く続くほどこの違いは大きくなって行きます。上昇局面が長く続く場合は明らかにドルコスト平均法がバリュー平均法よりも有利です。

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バリュー平均法とドルコスト平均法のシミュレーション

バリュー平均法とドルコスト平均法の違いを見るためにシミュレーションを行ってみました。バリュー平均法の時価評価額増加分は20万円、ドルコスト平均法の購入金額も20万円としています。投資対象の値動きのパターンは、①下落して上昇、②上昇して下落、③上昇・下落の繰り返しの3パターンとします。

①下落して上昇のパターン

1回ごとに投資対象の価格が5%低下していき、価格が当初の約50%になると1回ごとに5%上昇に転じ、最初の価格まで戻るというもので、購入回数は30回です。

価格が底値になったときの損益はバリュー平均法では105万円の損失、ドルコスト平均法では85万円の損失です。価格が当初の価格にまで戻ったときの損益はバリュー平均法では225万円の利益、ドルコスト平均法では277万円の利益となりました。累計購入金額はバリュー平均法が420万円、ドルコスト平均法が600万円です。

下落しているにもかかわらず、バリュー平均法の累計購入金額がドルコスト平均法よりも少ないのは、下落が購入開始当初からであるため、まだ資産総額がそれほど多くなく、時価総額の低下も大きくないからです。また、低下から上昇に転じた後では資産総額が多くなっており、時価評価額の上昇額も大きくなり、購入せずに売却するために購入金額が増えないという理由もあります。

②上昇して下落のパターン

1回ごとに投資対象の価格が5%上昇し、価格が当初の約2倍になると1回ごとに5%低下に転じ、最初の価格まで戻るというもので、購入回数は30回です。

価格が2倍になったときの損益はバリュー平均法では120万円の利益、ドルコスト平均法では153万円の利益です。価格が当初の価格にまで戻ったときの損益はバリュー平均法では195万円の損失、ドルコスト平均法では164万円の損失となりました。累計購入金額はバリュー平均法では795万円、ドルコスト平均法では600万円です。

③上昇・下落を繰り返すパターン

1回ごとに投資対象の価格が5%上昇し、価格が当初の1.1倍になると1回ごとに5%低下に転じ、価格が0.9倍になると1回ごとに5%上昇し、最初の価格まで戻るというパターンを繰り返すというもので、購入回数は25回です。

25回の累計購入金額はバリュー平均法が502万円、ドルコスト平均法が500万円です。25回購入後で価格が当初の価格まで戻ったときの損益はバリュー平均法では8万6,000円の利益、ドルコスト平均法では1万8,000円の利益となりました。

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上昇局面で利益を取りこぼすバリュー平均法

シミュレーションの結果によると、バリュー平均法では多くの資産を保有している場合、上昇局面で資産の売却を行ってしまうのでいわば単利でしか利益が増えません。これに対してドルコスト平均法では一定額の購入を続けるので利益分が資産に含まれることになり複利で利益が増えていきます。

一方、投資対象の価格が狭いレンジで上昇・下落を繰り返す場合は、下落局面でも時価評価額が一定の増加となるように購入を増やすバリュー平均法の利益が多くなります。この場合、大きな上昇局面がないために上昇で資産を売却するというバリュー平均法の欠点は顕在化しません。

価格変動が狭いレンジにある場合はバリュー平均法が有利ですが、大きな価格変動が起きた場合はドルコスト平均法がかなり有利という結果となりました。

長期投資では大きな価格変動が起きやすいものです。また下落局面が続いた場合、バリュー平均法では累計購入金額が上限を超えてしまう恐れがあります。上昇局面に転じた場合は複利で資産が増加するドルコスト平均法が有利です。

シミュレーション結果をもとに長期投資での運用を考えた場合、バリュー平均法よりも投資資金枯渇のリスクが少なく利益も多くなるドルコスト平均法が有利と言えるでしょう。

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