マイナンバー制度の概要
マイナンバーとは
マイナンバー制度の「マイナンバー」とは、文字通り個人につけられる番号のことです。日本国内に住む人(住民票のある人)全員に、一人ひとり異なる12桁の番号が割り当てられます。この番号は途中で変わることなく一生使い続けます。
何のために番号がつけられる?(マイナンバーの目的)
マイナンバーは、国の行政機関や地方公共団体での各種手続き等において、各機関が管理する個人情報の連携が必要な場合に、同一人物の情報の確認をスムーズに行うために使われます。
たとえば、確定申告をすると、お住まいの役所からその申告所得に応じた住民税の納付を求められます。これは税務署と役所の間で所得情報の連携がなされているからです。現在は、氏名をキーに同一人物の確認が行われていると思われますが、同姓同名の人がいる場合もあるので住所や生年月日などの情報も含めて確認が必要となるでしょう。マイナンバー制度がはじまるとマイナンバーによってすぐに個人が特定できるので、このような情報のやり取りがスムーズになります。
政府広報によると、各行政機関の個人情報の連携がスムーズになることで、「行政の効率化」「公平・公正な社会の実現」「国民の利便性向上」というメリットがあるとされています。
<マイナンバーのメリット>
行政の効率化 | 行政機関などでの情報の照合や転記、入力の労力が削減されます。複数の業務間の連携も進み、作業の無駄が削減されます。 |
公平・公正な社会の実現 | 所得情報が連携されると、所得を隠して脱税しようとしている人を把握しやすくなります。また同様に所得を隠して生活保護を受けようとしている人を把握し、 本当に困っている人に支援がが行き渡るようにすることもできるようになるでしょう。このように不正を防止する効果が期待でき、公平な社会につながります。 |
国民の利便性向上 | 年金や福祉などの申請時に必要な添付書類が省略できるようになります。たとえば、年金の申請時の所得証明書などが省略可能になるといわれています。 |
つまり、マイナンバー制度は行政機関等の業務効率を向上させ、不正防止につなげることが目的といえそうです。
マイナンバーは何に使う?(必要となる手続き)
マイナンバーが使えるのは、法律や条例で定められた社会保障、税、災害対策の行政手続きに限定されています。
<社会保障関係>
・年金の資格取得や確認、給付
・雇用保険の資格取得や確認、給付
・ハローワークの事務
・医療保険の給付請求
・福祉分野の給付、生活保護
など
<税務関係の手続き>
・税務署に提出する確定申告書、届出書、法定調書などに記載
・都道府県・市町村に提出する申告書、給与支払報告書などに記載
など
<災害対策>
・防災・災害対策に関する事務
・被災者生活再建支援金の給付
・被災者台帳の作成事務
など
具体的に私たちがマイナンバーを提示するシーンとしては、以下のようなケースが考えられます。
○ 児童手当の現況届で市町村に提示する ○ 厚生年金の請求で年金事務所に提示する ○ 源泉徴収への記載のために勤務先に提示する ○ 法定調書に記載するために証券会社や保険会社に提示する |
※平成27年9月3日成立の改正マイナンバー法案により、マイナンバーと基礎年金番号の連結は延期されました
つまりマイナンバーとは?
ここまでマイナンバー制度の概要を説明してきましたが、ひと言でいうと、マイナンバー制度は各行政機関等の情報を連携するためのものといえます。
マイナンバーと聞くと、なんとなく個人情報が国により一元管理されるというイメージを持ってしまいがちですが、そういうことではなく個人情報は今まで通り各行政機関で別々に管理されます。行政機関同士で情報のやり取りがあっても、すべての情報がまとめられる訳ではありません。したがって、仮に情報漏洩などの事故があったとしても(あってはいけませんが)、自分のすべての個人情報が一度に全部漏れるということにはならないようになっています。
また、マイナンバーの利用も法律や条例で定められた一部の行政手続きに限定されています。また平成29年以降となりますが、自分の個人情報がどのようにやり取りされたのかを確認することもできるようになります。民間企業などが情報を取得するような仕組みではありません。
ただし、将来的にはマイナンバーの利用拡大が視野に入れられていて、カルテや診療報酬などの医療情報や戸籍やパスポート、自動車登録への活用や銀行の預金口座(任意)との連動なども検討されています。
活用範囲が広がれば、利便性が高まるかもしれませんが、その反面、リスクが高まることになります。今後マイナンバーがどこまで拡大されることになりそうなのか、しっかりウォッチしていくことが大切です。
マイナンバー制度スタートまでの流れ
平成28年1月にマイナンバー制度がスタートしますが、「自分のマイナンバーはいつ、どのようにわかるのか?」「自分で準備しなければならないことがあるのか?」まだまだわからないことだらけです。
そこで、マイナンバー制度のスタートに向けて、これからどのようなスケジュールになっているのか流れをまとめてみました。
●マイナンバーの通知
平成27年10月以降、簡易書留でマインナバーが通知されます。通知が送られてくるのは住民票の住所となりますので、引っ越して住民票を移してない人などは、通知書を受け取れない可能性があります。
※マイナンバーは必ず必要となる大切なものなので、早急に住民票を移し、役所にご相談ください。
マイナンバーは世帯ごとにまとめて通知されるので、同居の家族のナンバーは一緒に届きます。書留の中には以下の3つのものが入っています。
・マイナンバーの「通知カード」
・「個人番号カード」の申請書と返信用封筒
・説明書
●個人番号カードの申請
マイナンバー通知書に入っていた個人番号カードの申請書に本人の顔写真を貼り、返信用封筒に入れて郵送します。その他、オンラインによる申請方法もあります。
※個人番号カードの取得は任意です。
●個人番号カードを受け取る
個人番号カードを申請した人は、平成28年1月以降、市町村の窓口で本人が個人番号カードを受け取ります。
受け取りの際には以下の3つが必要です。
・マイナンバーの「通知カード」
・個人番号カードの「交付通知書」
・本人確認書類(運転免許証など)
<個人番号カードとは>
個人番号カードは、マイナンバーが記載されたカードです。 表面には、氏名、住所、生年月日、性別、本人の写真が表示されています。 裏面にはマインナンバーが記載され、ICチップが搭載されています。ICチップには電子証明書が標準搭載されます。 |
個人番号カードは、マイナンバーを記載した書類を提出する際の本人確認などに使用します。(個人番号カードを取得しない場合は、通知カードと運転免許証など複数の証明書で本人確認をすることになります)
また、ICチップに記録された電子証明書を用いて、e-Taxなどの電子申請に使えます。これまで住基カードで電子証明を行っていた場合、住基カードと個人番号カードの重複所有はできず、個人番号カード導入後は住基カードの新規発行は行わない予定なので、今後は個人番号カードに移行することになりそうです。
なお、個人番号カードのICチップに所得情報などが記録されることはありません。
マイナンバーに関するよくある質問(FAQ)
ここではマイナンバーについてのよくある質問(FAQ)をQ&A形式でお答えします。
(参考サイト:内閣官房「マイナンバー社会保障・税番号制度」)
Q. 自分のマイナンバーは、いつどのようにわかるのですか?
マイナンバーは、平成27年10月以降、各市区町村から簡易書留で郵送されます。マイナンバーは住民票に記載されている住民につけられますので、郵送先も住民票に記載された住所となります。
引っ越しの際に住民票の異動手続きをしていないなどで、現在、住民票記載の住所に住んでいない場合などは、マイナンバーが届かない可能性があります。ご注意ください。
Q. マイナンバーで、国にすべての情報が管理されるのですか?
マイナンバー制度がはじまっても個人情報が一元管理される訳ではありません。また、マイナンバーの使用は法律によって定められた行政手続きに限定されています。脱税や福祉の給付の不正受給などのチェックには利用されると思いますが、現状では、個人の全情報を結びつけて監視することはありません。
自分のマイナンバーがどのように利用されたかについては、平成29年1月以降、マイナポータルというWebサイトで確認できるようになる予定です。
Q. 個人番号カードとはなんですか?
個人番号カードは、マイナンバーが記載された、本人の顔写真つきのICカードです。マイナンバーを記載した書類を提出する際の本人確認がこのカード1枚ですみ、ICチップに記録された電子証明書を用いてe-Taxなどの電子申請に使用できます。
Q. 個人番号カードは取得しなければならないのですか?
個人番号カードの取得は義務ではないので、無理に申請する必要はありません。
個人番号カードを取得しない場合は、マイナンバー提供時の本人確認において、マイナンバーの通知カードとともに運転免許証やパスポートなどの身元確認書類が必要となります。
Q. マイナンバーはどんなときに使うのですか?
マイナンバーは、国の行政機関や地方公共団体において、社会保障、税、災害対策に関する情報を効率的に管理するために利用されます。したがって、年金、雇用保険、医療保険の手続き、生活保護や児童手当などの福祉の給付、確定申告の手続きなどでマイナンバーの記載が求められます。
また、勤務先や証券会社、保険会社などが個人に代わって税や社会保険の手続きを行う場合に、それらの企業にマイナンバーを提出することになります。
Q. マイナンバーが漏れたらいろいろな個人情報が全部漏れてしまいますか?
現状、マイナンバーは国の行政機関や地方公共団体が行う法律で定めらた行政手続きにしか使えません。また本人がマイナンバーを使う場合にも、本人確認が必要なので、マイナンバーを不正に取得しただけでは個人情報まで取得することはできません。
Q. マインナンバー制度がはじまると、サイバー攻撃等があった場合にいろいろな個人情報が全部流出してしまうのではないですか?
年金情報の流出があったように、情報流出の可能性はないとはいえません。しかし、マイナンバー制度がはじまってもいろいろな情報が一元管理されるわけではなく、これまでどおり市区町村、税務署、年金事務所などに分散管理されます。したがって、どこかの行政機関がサイバー攻撃にあってもマイナンバーがひもづいた情報が一度にすべて流出してしまうことはありません。
Q. もし誰かにマイナンバーを知られたら、なりすまして利用したり情報を見られてしまいますか?
税や社会保障などの手続きでマイナンバーを使うときには、顔写真つきの身分証明書などで本人確認を行いますので、他人のマイナンバーを知っただけでは簡単になりすますことができないようになっています。
また、マイナンバーが漏えいして不正利用される恐れがあるときは、申請によりマイナンバーを変更することができます。
Q. マイナンバーが、どこでどのように使われるのか不安です。変なことに使われたりしませんか?
マイナンバーの使用は、税や社会保障などの特定分野で、法律によって定められた行政手続きに限定されています。現状は、制度上、民間企業などがビジネスにマイナンバーを使うようなことはできません。
また、自分のマイナンバーがどのように利用されたかについては、平成29年1月以降、マイナポータルというWebサイトで確認できるようになる予定です。
Q. マイナンバーの提供を拒否できますか?
税や社会保障に関する決められた書類にマイナンバーを記載することは、法律で決められた義務です。マイナンバーが必要な手続き時には提供しなければなりません。
何か事情があって、どうしても拒否したい場合は自己責任でご判断ください。
Q. マイナンバーが民間企業でも利用されるようになると聞いたのですか?
平成28年のマイナンバー制度開始当社は民間企業がマイナンバーを使うことはできません。しかし、将来的には病院、電気・ガス・電話、銀行などへの利用拡大が検討されています。平成27年9月3日に成立した改正マイナンバー法では、3年後に銀行の預金口座にマイナンバーを登録(任意)することが決められています。マイナンバーの利用範囲が拡大して、生活が便利になる部分とリスクが大きくなる部分がありますので、無制限に拡大してしまうことがないよう、私たちがしっかりウォッチして声をあげる必要があります。