確定申告はじまる

2月16日から2016年分の所得税の確定申告が始まりました。確定申告というと、自営業者がするものと思いがちですが、会社員にも無縁ではありません。本日は、知ってトクする確定申告情報をお知らせします。

確定申告をするには

確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日)に所得のあった人が、所得税額を申告・納税する手続きのことです。申告期間は、2017年2月16日(木)から3月15日(水)までです。マイナンバー制度の導入にともない、今後、申告書へのマイナンバーの記載本人確認書類の提示又は写しの添付が必要になりました。

会社員は、年末調整をすることで所得税額が確定しますが、確定申告をしなければ適用されない控除もあります(初年度の住宅ローン控除、医療費控除等)。また、年末調整で控除をし忘れたとか、途中で退職したため年末調整を受けていないケースもあります。このような時には、確定申告によって、本来納めるべき税額を確定させることができます。税金を納めすぎている場合には、還付がおこなわれます。

確定申告の手順は、以下のとおりです。

1. 確定申告用紙の入手

税務署または国税庁サイトから入手

2.申告書の作成・提出

・e-Taxによる申告(事前に届出や準備が必要)

・住所地等の所轄税務署にて作成・提出(日曜日に確定申告の相談をおこなう税務署

・自宅等で申告書を作成し、住所地等の所轄税務署に郵送

はじめて確定申告をおこなう場合は、所轄税務署に行くのがおすすめです。書類作成をサポートするスタッフがいるので、簡単に申告を済ませることができます。日曜日は特に混雑が予想されるので、時間に余裕をもって出かけましょう。

こんなときは確定申告を!

年末調整をしていない

1年の途中で会社を退職した場合や、年末調整の際に控除もれのある場合には、納めすぎた所得税が還付されます。

確定申告に必要な書類

・源泉徴収票

・必要な控除証明書

・還付金振込先の口座がわかるもの

(参考)国税庁 中途退職で年末調整を受けていないとき

多額の医療費がかかった(医療費控除)

本人または家族の支払った医療費が高額になった場合には、納めすぎた所得税が還付されます。医療費には、通院費(電車、バス、タクシー ※利用を余儀なくされる場合のみ)、市販の医薬品、妊娠・出産の診察費用等も含まれます。過去に申告のし忘れがあっても、5年前までさかのぼって医療費控除を受けることができます。

・医療費控除額を求める計算式

医療費控除額(200万円まで) = (1年間に支払った医療費の合計額 - 保険金等で補てんされた金額) - 総所得金額の5%(最大10万円)

保険金等で補てんされた金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きます。引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。

確定申告に必要な書類

・源泉徴収票

・医療費の領収書、レシート

・還付金振込先の口座がわかるもの

(参考)国税庁 医療費控除

災害や盗難に遭った(雑損控除)

水害、地震、雪害、火災等の災害や盗難・横領によって財産に損害を受けた場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。ただし、詐欺や恐喝は控除の対象になりません。損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以降3年間まで繰り越すことができます。

また、災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下のときには、災害減免法による所得税の軽減免除か、雑損控除のどちらか有利な方法を選択することができます。

・雑損控除額を求める計算式
つぎのうち、いずれか多いほうの金額
差引損失額※ - 総所得金額等 × 10%
差引損失額のうち災害関連支出の金額 - 5万円

※差引損失額 = 損害金額 + 災害等に関連したやむを得ない支出の金額 - 保険金等により補てんされる金額

確定申告に必要な書類

・源泉徴収票

・災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収書

・還付金振込先の口座がわかるもの

(参考)国税庁 雑損控除 国税庁 災害減免法による所得税の軽減免除

住宅を購入(住宅ローン減税)

合計所得金額が3,000万円以下の人が、返済期間が10年以上の住宅ローンを組んで住宅を購入し、一定の要件を満たすと、住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)を受けることができます。

平成28年に住宅(一般住宅)を取得し、取得後6ヶ月以内に入居、入居後引き続き住んでいる場合には、10年間にわたって、年末ローン残高の1%(各年上限40万円 累計最大400万円)の金額が所得税額から控除されます。

はじめて住宅ローン控除の適用を受ける場合には、会社員でも確定申告をしなければなりません(2年目以降は、年末調整で控除を受けられます)。

確定申告に必要な書類

・源泉徴収票

・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

・住民票

・家屋・敷地の登記事項証明書

・売買契約書の写し

・認定通知書の写し(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合)

・耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し(一定の耐震基準を満たす中古住宅の場合)

 ・還付金振込先の口座がわかるもの

(参考)国税庁 マイホームの取得や増改築などしたとき

株式、FX等で損をした

株式や投資信託、FX、商品先物等を譲渡(売却)した場合は、他の所得と区分して税金を計算します(申告分離課税)。

譲渡によって損失が発生した場合、3年間にわたって繰越控除ができます。繰越控除は、取引をおこなわなかった年でも連続して確定申告が必要です。

また、金融商品間で損益通算(利益と損失を相殺)ができます。2016年分から上場株式等の譲渡損益、配当金等と公社債等の譲渡損益、利子等との損益通算ができるようになりました。

損益通算ができる金融商品
上場株式等・公募株式投信・特定公社債・公募公社債投資信託(MRF・MMF等)・上場株式等の配当金・投信(公募株式投信)の分配金・特定公社債の利子、公募公社債投資信託の分配金
FX(取引所)・商品先物取引・株価指数先物・有価証券先物取引・オプション取引・上場カバードワラント・店頭デリバティブ取引(商品CFD、店頭取引FXなど)

確定申告に必要な書類

・源泉徴収票

・年間取引報告書、年間損益報告書等、一年の取引の損益が計算できるもの

・還付金振込先の口座がわかるもの

(参考)国税庁 株式等の譲渡損失(赤字)の取扱い

配当を受けた(配当控除)

上場株式等の配当や投信の分配金は、支払いを受ける際に20.315%の源泉徴収をされます(源泉分離課税)。ここで納税を終わらせることが多いと思いますが、総合課税を選択して確定申告することで、上場株式等の配当、公募国内株式投信の分配金について、配当控除の適用を受けることができます。ただし、配当控除を受ける場合は、申告分離課税を選択できません。

上場株式等の配当等については、世帯主である会社員で、繰越控除や損益通算がなく、課税所得が695万円以下であれば、確定申告をしたほうが税金が少なくなります(家族にパート・アルバイト収入があり、その人が配当控除を受ける場合は、配偶者控除や扶養控除に影響をおよぼすことがあります)。

上場株式等の配当控除を受ける場合の実効税率

 課税所得金額 総合課税 申告分離課税・源泉分離課税
195万円以下 7.2%
(所得税0% 住民税7.2%)
20.315%
(所得税15.315% 住民税5%)
330万円以下 7.2%
(所得税0% 住民税7.2%)
695万円以下 17.41%
(所得税10.21% 住民税7.2%)
900万円以下 20.473%
(所得税13.273% 住民税7.2%)

また、公募国内株式投信の分配金については、株式組入比率や外貨建資産の組入比率によって控除率が異なります。各投資信託説明書(交付目論見書)を確認しましょう。

確定申告に必要な書類

・源泉徴収票

・特定口座年間取引報告書、支払通知書

・還付金振込先の口座がわかるもの

(参考)国税庁 配当金を受け取ったとき(配当所得) 国税庁 配当所得があるとき(配当控除)

ふるさと納税をした(寄附金控除)

寄付をするとお礼の品がもらえることから、ここ数年で寄付者がぐんと増えたふるさと納税。5か所を超える自治体に寄付をおこなった場合は、確定申告が必要です。地方公共団体(都道府県・市区町村)に対して寄付をおこなった場合、寄付額のうち2,000円を越える部分について所得税と住民税から原則として全額(一定の上限あり)が控除されます。

・寄附金控除額(所得税分)を求める計算式
寄附金控除額(所得税分) = (ふるさと納税額-2,000円)× 所得税の税率 ※総所得金額等の40%が上限

確定申告に必要な書類

・源泉徴収票

・寄附金受領証明書

・還付金振込先の口座がわかるもの

(参考)国税庁 寄附金控除

確定申告という言葉を耳にすると、「難しい」とか「めんどう」と感じてしまうみなさんも多いかもしれません。しかし、税金を納めすぎている場合であっても、税務署が該当者に通知・還付をしてくれることはありません。自分で税金を納めすぎていることを申告し、還付の申請をおこなわなければならないのです。

確定申告には、ある程度の時間と労力がかかりますが、それほど難しいものではありません。「自分は、申告をしたほうがよい」と気が付いたら、はじめての確定申告をおこなってみましょう。

※本記事は2017年2月現在の情報をもとに作成しています。

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