どのような新生活を送るとしても、退職者に共通してあてはまることがあります。それは、「退職後の出費は意外と多い!」ということ。

本日は、退職後のお金事情について調べてみました。仕事を辞めたあとも、思いがけない出費があることを頭に入れておきましょう。

退職後の健康保険・年金・税金

在職時には、社会保険(健康保険、年金など)や税金(所得税、住民税)の納付は職場がおこなっていました。しかし、退職後は、これらの切替手続きや保険料の納付を自分でしなければなりません。

健康保険

退職すると、翌日から在職時の健康保険の被保険者資格を失います。退職後に就職しない場合や、就職までに空白ができる場合は、いずれかの公的健康保険への加入が必要です。保険料は、国民健康保険は自治体ごとに、任意継続と特例退職者医療制度は健康保険組合ごとに異なります。事前に保険料や給付内容を比較して、どの健康保険に加入するかを検討しておくとよいでしょう。退職後すぐに就職する場合は、就職先の健康保険に加入します。また、月末に退職し、翌月の途中から就職する場合は、国民健康保険の保険料は発生しません(加入手続きのみ必要)。

退職後の就職 健康保険 手続き期間
就職する 就職先の健康保険
就職しない 国民健康保険 退職の翌日から14日以内
加入していた健康保険組合の任意継続保険者 退職の翌日から20日以内
配偶者・子どもなどの健康保険の被扶養者 原則として退職日から5日以内
(配偶者の職場に被扶養者届等を提出)
特例退職者医療制度
(職場に特例退職被保険者制度があり、一定の要件を満たす場合)
加入資格が発生してから3か月以内

年金

退職後に就職しない場合や、就職までに空白ができる場合は、厚生年金から国民年金への切り替えが必要です。国民年金の1か月あたりの保険料は、16,490円です(平成29年度)。退職後すぐに就職する場合は、就職先で厚生年金に加入します。また、月末に退職し、翌月の途中から就職する場合は、国民年金保険料は発生しません(加入手続きのみ必要)。

退職後の就職 年金 手続き期間
就職する 厚生年金
就職しない 国民年金(第1号被保険者) 退職の翌日から14日以内
国民年金(第3号被保険者) 健康保険の被扶養者届と同時に届出

所得税

退職すると、年末調整を受けることができません。年内に就職しない場合は、確定申告が必要です。

年内に就職する場合
就職先に源泉徴収票を提出することで、年末調整を受けられます。

年内に就職しない場合
翌年、確定申告が必要です。税金を納めすぎている場合は、還付がおこなわれます。申告をしないと、所得控除が受けられないため、住民税が高くなることがあります。

住民税

退職すると、年末調整を受けることができません。年内に就職しない場合は、確定申告が必要です。住民税は、前年の所得に対して課税され、翌年の6月以降に納付します。3月末で退職する場合、前年(平成28年分)の住民税の納付は今年の6月以降、今年(平成29年分)の住民税の納付は来年の6月以降となります。退職後に無収入であっても、前年に所得があった場合は課税対象となるため、住民税の負担が重くなることがあります。

また、3月末に退職する人で、住民税を特別徴収(天引き)されている場合は、前々年(平成27年分)の3月~5月の住民税が最終月の給与や退職金から一括徴収されます。手取額が大幅に減ることがあるので注意しましょう。

(例)毎月2万円の住民税を納めている人が、3月末で退職した場合

3月退職者の住民税

特別徴収されていた住民税の納付方法は、退職月によって異なります。

退職月 住民税の徴収方法
1月から5月 給与、退職金から一括徴収(1月退職:5か月分 5月退職:1か月分)
住民税額が給与額を上回る場合は、普通徴収
6月から12月 最終月分は特別徴収(ただし、住民税額が給与額を上回る場合は、普通徴収)
翌月分以降は、3つの方法から選択
・普通徴収
自治体から送付されてくる納付書によって納付
・一括徴収
給与、退職金から一括徴収(6月退職:12か月分 12月退職:6か月分)
・就職先で特別徴収
就職先で特別徴収を継続

退職したら、「のんびり海外旅行に行こう」とか、「じっくり就職活動をしよう」などと考える方も多いかと思います。しかし、上記のような支出があることを知らずにいると、お金が足りなくなり、思い描いていた計画を実行できなくなるおそれがあります。退職後に必要な出費をしっかりチェックし、慎重なお金の管理を心がけましょう。

※本記事は2017年3月現在の情報をもとに作成しています。

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