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サラリーマンや公務員なら、誰でも一度は退職を経験するはずです。勤務していた期間が短いと退職金もあまり出ませんが、就職から退職まで同じ会社に勤め上げた場合は、企業(自治体)によっては数千万円単位の退職金が支給されることもあります。

普通の人にとってはかなりの大金ですが、老後はこの資金を切り崩して生活をすることになるため、いくらもらっても少ないと思ってしまうのが人情かもしれません。しかし、だからといって退職金を増やすために危険な方法で運用してしまうと、却って老後の生活資金を減らしかねません。老後破産や老後貧乏を避けるためにも、退職金の運用は退職前から十分に考えておく必要があります。

みんな退職金はいくらもらっているの?

まず気になるのが、退職金はいったいいくらもらえるのか、ということです。そもそも退職金の支給は企業の義務ではないため、退職金が支払われない企業もあります。厚生労働省が発表したところによれば、現時点で退職金がある会社は全体の75.5%なので、およそ4人に1人は退職金をもらえないということに鳴ります。

あてにしていた退職金がもらえなかった、では困るので、必ず事前に就業規則を確認しておきましょう。

退職金が支給される場合、その金額は基本給と就業年数に比例します。つまり、勤務期間が長い人ほど退職金額が高額になるわけです。公務員の場合もだいたい同じです。

民間企業の場合、退職金の平均額は以下のようになっています(勤続年数20年以上、45歳以上のみが対象。谷で努めた人は調査の対象外)。

大学卒…1941万円
高校卒(管理・事務・技術職)…1673万円
高校卒(現業)…1123万円

一方、公務員の定年退職者の平均は常勤職員で2167万円です。公務員のほうが全体的に退職金は有利になっていますね。

退職金にかかる税金は?

さて、このように多額のお金が支給される退職金ですが、退職金も一応所得ですから、もらう受け取る際には税金がかかります。しかし、退職金は大切な老後の生活資金でもあるため、通常の給与所得や事業所得と比べると税制面で優遇されています。

退職金は一時金(一括受取)もしくは年金(分割受取)でもらうことができますが、どちらを選んでもかなり税金が少なくなります。詳しくは当サイト内の別記事(みんな退職金はいくらもらっているの?退職金の相場と以外な使い道)を御覧ください。

退職金と年金だけで老後の生活は可能か?

生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査」によれば、現時点で一般的な老夫婦世帯が最低限の生活を送るために必要な日常生活費は22万3000円/月で、ゆとりある老後を送るための費用は36万6000円/月ととのことです。

一方、夫が会社員で厚生年金に40年間加入しており、妻が専業主婦というよくある家庭の場合、夫婦の年金受給額は21万5000円となります。しかし、実際の平均受給額は20万円弱と、それよりも少なくなっています。

仮に老後の1ヶ月の生活費をゆとりある老後のための費用に近い35万円と定め、年金受給額を20万円とした場合、1ヶ月で15万円の赤字となります。実際には年金にも所得税がかかるため、赤字はもっと大きくなりますが、ここではとりあえず無視します。

仮に老後の長さが20年とした場合、赤字の合計額は15万円×12ヶ月×20年=3600万円となります。これだけのお金を何らかの方法(預貯金、個人年金、投資信託、株式投資、退職金など)で用意するのはけっこう大変ですよね。

退職金は使わなくても目減りする可能性がある

また、結構忘れがちなことですが、お金の価値というのは毎年変わります。昭和40年の1円と現代の1円では全く価値が違うように(昭和40年の初任給は3万円程度でした)、現代の1円と50年後の1円も全く違う勝ちになっているものと思われます。

そして、基本的にお金というのは時が経てば経つほど価値が小さくなります。通常は経済成長に従って物価が上昇し、その分お金の価値が減るのです。物価上昇率と同じ分だけ増やしていかなければ、実質的にお金は目減りしてしまうのです。

リスクゼロの運用は存在しない

お金を目減りさせないためには何らかの方法でお金を運用することがありますが、お金を運用する上では必ずリスク、つまりは不確実性が伴います。

どんなに安全とされている金融資産であっても、リスクが0にはなりません。リスク0で運用できる!と言った記事は、全てウソということになります。正確には「リスクほぼ0」です。

そして、原則として運用の世界においてはリスクとリターン(平均利回り)は比例します。つまり、平均利回りが大きい投資ほど不確実性も高くなり、平均利回りから大きくずれた成果が上がりやすい、というわけです。

退職後の運用はローリスク・ローリターンが原則

若い人の場合は、ある程度リスクを取ってでも平均利回りの高い投資を中心に行うのがセオリーです。リスクがある投資は短期的には平均利回りから大きくずれた結果を出すこともありますが、長期的にやればだんだん平均利回りに近づいていくからです。

リスクの大小にかかわらず平均利回りに近づくのならば、平均利回りが高い投資を選んだほうがいいことは言うまでもありません。

しかし、退職を済ませた世代にはそのような運用はできません。残りの人生の時間がもう長くないからです。

また、退職金は虎の子的存在であり、絶対に失ってはいけないものです。従って、原則的には大きく儲けるのではなく大きく失わない運用、ローリスク・ローリターンな運用を心がけるべきです。

ローリスクかつそれなりのリターンが見込める退職金専用の定期預金プラン

近年人気があるのが、各金融機関が提供している退職金専用の定期預金です。定期預金は通常の預金と比べて金利が高いことは皆さんも御存知かと思いますが、この退職金専用の定期預金プランはそれよりもさらに金利が高いことが魅力です。

退職金というまとまった資金を持っているリタイア組は金融機関にとってはぜひつなぎとめておきたい顧客なので、多少高い金利を払ってでも引き止めておきたいのですね。

例えば、三井住友信託銀行は新たな資金(退職金)で1契約500万円以上(上限1億円)の契約をし、スーパー定期3カ月に預け入れると、特別金利1.00%(税引き後0.796%)が適用されます。例えば1000万円を3ヶ月預け入れた場合、税引き後利息は1万9649円となります。

通常のスーパー定期3ヶ月が0.010%であるのと比べると、金利はなんと100倍です。

たかが2万円弱と思われるかもしれませんが、定期預金は銀行預金で利息が確定しているためリスクは非常に低いです。リスクがほぼない状態で2万円は大きいです。

仮に万が一銀行自体が倒産しても(このクラスの銀行が3ヶ月で倒産するなどまず無いとは思いますが)、ペイオフという制度で1000万円とその利息までは保護されます。

実際にはペイオフになる前に銀行同士で再編が行われるなどして倒産が避けられるケースが多いですが、倒産する可能性が0とはいえない以上、こうしたことも知っておいたほうがいいでしょう。

退職金定期預金は金利が高いところを渡り歩くのがコツ

どこの銀行も様々な満期期間を持つ退職金定期預金を用意していますが、大抵の場合は3ヶ月が最も金利が高くなるように設定されています。

満期日を過ぎたあとは通常の定期預金と同じ金利に戻ります。前述の三井住友信託銀行の場合、3ヶ月を過ぎると金利は1.00%から0.010%にまで下がってしまうのです。これは痛いですよね。

そこでオススメなのが、幾つかの金融機関の3ヶ月定期預金を渡り歩く、というものです。退職金専用の定期預金を利用できる期間は通常、退職から1年以内なので、最大で4回利用できます。単純計算で利息は2万円×4=8万円です。解約・契約の手続きは多少面倒ですが、多額の退職金を定期にすれば銀行員は喜んで協力してくれます。

定期預金のついでに他の投資商品を買わされないように注意

多くの金融機関は、高金利の退職金専用の定期預金を「餌」に、他の金融商品を買わせようとしてきます。それだけならば断ればいい話ですが、中には投資信託や外貨預金との同時購入が退職金専用の定期預金購入の条件となっていることもあります。この場合、定期預金だけを単独で購入することはできず、必ず投資信託や外貨預金とセットで買うことになります。

もちろん、投資信託や外貨預金という金融商品自体は悪いものではありません。どちらも上手に運用すれば、定期預金以上の利益を得ることも可能です。しかし、一方で投資信託や外貨預金はより大きな不確実性を伴います。つまり、運用の仕方を間違えると損する可能性もあるということです。

投資信託や外貨預金を同時に購入する場合は、そのリターンとリスクを十分知った上で取り組むようにしましょう。それが嫌だという場合は、セットで買う必要がない、定期預金単独でも買える金融機関を探しましょう。なお、定期預金を単独で買える金融機関には以下の様なところがあります。

三井住友信託銀行:退職金特別プラン定期預金コース(年利1.00%、3ヶ月)
親和銀行:退職金専用定期預金(年利2.0%、3ヶ月or年利0.4%、1年)
横浜銀行:退職金専用プラン(年利1.5%、3ヶ月)
三菱UFJ銀行:定期預金プラン(年利1.2%、6ヶ月)

退職金で投資信託を買う

退職金で投資信託を行うというのは一つの手段ですが、若い頃と同じように投資をするのはおすすめできません。退職者は退職者にふさわしい、「守りの投資信託」を徹底すべきです。

守りの投資信託とは簡単に言えば、ローリスクローリターンなファンドに資産を重点的に投下することです。投資信託で買える主なファンドは「株式ファンド」「債券ファンド」「不動産ファンド」の3つですが、この中で最もローリスクローリターンなのは債券です。その次が不動産ファンドで、最もハイリスクハイリターンなのは株式ファンドです。

退職金は失ってはいけないお金ですから、その多くを債券ファンドに投下すべきです。ただし、全部を債券に投資するというのも余りおすすめできません。債券と株式は通常異なる値動きをするので、両方を買っておいたほうがリスク分散になるからです。基本的には年齢(%)分だけ債券ファンドに、残りを株式ファンドに投資するのがおすすめです。

例えば65歳の場合は債券ファンドが65%、株式投資が35%、と言った感じです。更にリスク分散を図りたい場合は、債券ファンドや株式ファンドに回す資金の一部を不動産ファンドに回すなどして行きましょう。

銀行や証券会社の社員の言うとおりにファンドを買うべきではない

投資信託をする上で大切なのが、ただ人から言われたとおりに買うのは避ける、ということです。特に銀行や証券会社の社員の話は余り真剣に聞くべきではありません。

投資信託を販売する銀行や証券会社は手数料を得ることで利益を得ています。当然、彼らが勧めてくるのは手数料が高い投資信託ということになります。

しかし、手数料が高いということは、こちらが損をする、ということでもあります。投資信託初心者は「手数料はどうしてもかかるものだからしょうがない」などと説得されてしまいがちですが、最近は手数料無料で投資信託ができるノーロードファンドも増えてきています。

ハッキリ言ってしまえば、手数料が高い投資信託のほうが儲かりやすいとか、そういったことはありません。手数料が高くても安くても、似たようなファンドは結局似たような値動きをするのです。ならば手数料が低いものを買ったほうがいいことは言うまでもありません。

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その他の投資はどう?

投資信託ではなく、個別銘柄の株式や債券を買ったり、不動産投資をしたり、あるいはFXにチャレンジしたりするというのは、あまりおすすめできません。

不確定要素があまりにも高すぎるからです。個別銘柄は複数銘柄を組み合わせたファンドと比べて値動きが激しく、それゆえに利益や損失が大きくなりやすいです。不動産投資は現物が残るというメリットがありますが、やはりリスクが大きすぎます。FXは原則ゼロサムゲームなので問題外です。

現役時代なら投資で大きな損失を出しても時間と給与収入でそれをカバーできますが、引退後はそれが難しくなります。なにより、虎の子である退職金を大きく失って平静を保つのは非常に難しい話です。

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老後の投資は安全に、慎重に

投資での大敗がきっかけで老後うつに、なんてことになってしまってはどうしようもありません。老後の投資は安全重視で、十分なリスク分散を測った上で行いましょう。

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