株の「月初高」のアノマリー

今日3月1日は、春が近づいたことを感じさせてくれるような暖かい日となりました。

しかし残念ながら株式相場の方は、日経平均株価で―1.56%、TOPIXでは―1.59%と、続落でした。

今日の下げについては、昨日の米国株式市場も下がっていたので、それほど意外ではありません。

ただ、「1日」なのに下がったというのは、若干目を引きます。

 

というのも、月初に日経平均が下がるのは、なんと21か月ぶりなのです。

2016年6月1日に1.6%安となって以降は、先月までずっと月の最初の営業日は株価が上昇していました。

実際これは株式市場の参加者の間でも、「アノマリー」(理論的には説明できない経験則)であるとして注目されています。

アノマリーと言われるだけに確固とした理由は挙げにくいのですが、私は個人投資家の積立投資も影響しているのではないかと思っています。

積立投資の買付設定日は「1日」が最多

2月25日付の日経新聞の記事によると、証券会社を通じて投資信託に毎月積立投資をしている人は、設定日を1日(月初日)にしているケースが圧倒的に多いのだといいます。

理由としては恐らく、入金を忘れにくいことや、ただ何となく切りが良いから、といった単純なものであると想像されます。

しかし理由は単純であったとしても、記事が挙げる松井証券の例では、「1日」の設定が100だとすると、2位の「月末」は75、3位の10日は62と、「1日」の多さは突出しています(月末と10日が次いで多いのも、切りの良さが理由であることを示唆しているように思います)。

国内の上場株式等の一日当たりの平均売買代金は大体3兆円程度なので、個人の積立投資だけで相場を動かすことはもちろんできません。

しかし、為替などの他市場の動きも、或いは相場ムードも、何も関係なく淡々と買いに回る投資家層の存在は、「月初高」のアノマリーの一つの理由にはなっていると思います。

積立投資のメリット・デメリット

この「積立投資」ですが、やり方次第では非常に効果の高い投資法です。

例えば、ある投資信託で積立投資をすることにしたとします。

その投資信託の価格は日々変わります。

安値で投資できれば一番いいのですが、そのタイミングを計ることは運用のプロでも至難の業です。

このため、相場観でタイミングを計るのは最初からやめにして、毎月決まったタイミングで定額分を淡々と購入していくのです。

定額の資金で買うということは、投資信託の価格が下がっているときには多くの口数が買えますし、価格が上がっているときには買う口数が少なくなります。

このため、極端な高値掴みや、下がった局面での買い逃しを避けることができ、平均購入価格は毎月定量(投資信託では、口数)買う場合よりも低く抑える効果が期待できるのです(取得価格の平準化)。

積立投資は少額から始められるため、まとまった運用資金がなく、少しずつこつこつと運用額を増やしたい人に向いているとされます。

しかしまとまった資金がある人にとっても、投資のタイミングを時間的に分散することによるリスク低減の効果があると考えられます。

ただもちろん、積立投資が逆効果となるケースもあります。

まず、選んだ投資対象の質が悪く、どんどん値下がりを続ける場合。

これはタイミングをばらしても意味はなく、損失が時間とともにどんどん膨らむだけです。

また、逆に投資対象がどんどん値上がりする場合には、最初の安い時にまとめて購入しておいたほうが良かったことになります。

さらに毎月買うということは、いつでも買うことを止められるということでもあり、投資対象が値下がりしているときに怖くなって積立投資を止めてしまった場合も、結果的に損することが多いでしょう。

積立投資を成功させるツボ

このため、積立投資を成功させるためには、

・実績があるものや、長期的に成長が見込まれる運用商品を選ぶこと

・長期の運用を心がけること

が、何より重要となります。

 

さらに、最初に述べた株の「月初高」のアノマリーを考慮すると、ここにもう一つ付け加えたいと思います。

設定する買付日は「切りの悪い」日を選ぶこと

今回は当たらなかったアノマリーですが、敢えて高値日になる可能性のある日を選ぶ必要はないと思います。

資金管理が多少面倒になるかもしれませんが、少しでも効率の良い積立投資を行ってほしいと思います。

また資金的に余裕があれば、投資対象も複数に分けて、銘柄でも分散効果を図ることがさらなるコツです。

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北垣愛 国内外の金融機関で、グローバルマーケットに関わる仕事に長らく従事。証券アナリストとしてマーケットの動向を追う一方、ファイナンシャルプランニング1級技能士として身近なお金の話も発信中。