県民共済をはじめとする都民共済、県民共済、全国共済、府民共済などの都道府県共済とは、全国生活協同組合連合会(非営利の生活協同組合)が提供する安価で安心な相互扶助サービスだ。

県民共済、都民共済、府民共済、道民共済、全国共済等地域によって色々な呼称があるが、共済の仕組みや運営は同じ組合が行っている。

加入対象者は生まれたばかりの赤ちゃんから、働き世代のサラリーマン、高齢の人まで幅広い。
安い掛け金で高い保障が得られるということで人気があり、注目されている。

県民共済のメリット

(1)圧倒的な保険料の安さ

全国共済で実際に販売されている40代向けの医療保障を例に挙げる。
入院、手術、死亡・後遺障害、先進医療給付金、がん診断一時金等の保障があって、月々の掛け金は3,600円。

これと同じような条件で、生命保険会社の商品に加入するとなったら、保険料はどの程度になるか予想できるだろうか?

CMでよく目にするアヒルで有名なアフラックと比較すると、入院、通院、先進医療だけで5,836円と約2,000円高い。また、がん保障が欲しければ、別途がん保険に加入しなければならず、その安さは一目瞭然だ。

安さが売りのネット生保、ライフネット生命との比較では、入院、手術、がん治療給付金、先進医療で13,189円。アフラックと同様に、死亡・後遺障害は別途加入が必要だ。
もちろん保障内容の細かい内容を見比べれば、保険料が高い会社には給付金の支払い限度日数が長い特典があるだとか、掛け金や保険料の支払い期間が違う等異なる点はある。

複数の共済、保険会社の商品を全く同じ内容で比べるということは不可能だが、どのパターンで見比べてみても共済の掛け金が安いということに変わりはない。

総合保障型 月掛金2,000円保障内容例

保障内容
保障期間 18歳~60歳 60歳~65歳
入院 事故 1日目から
184日目まで
1日当たり 5,000円 1日当たり 5,000円
病気 1日目から
124日目まで
1日当たり 4,500円 1日当たり 4,500円
通院 事故 14日以上
90日まで
通院当初から1日当たり 1,500円 通院当初から1日当たり 1,500円
後遺障害 交通事故 1級 660万円
13級 26.4万円
1級 500万円
13級 20万円
不慮の事故(交通事故を除く) 1級 400万円
13級 16万円
1級 300万円
13級 12万円
死亡

重度障害
交通事故 1,000万円 700万円
不慮の事故(交通事故を除く) 800万円 530万円
病気 400万円 230万円

加入対象:満18歳~満64歳の健康な方

熟年入院2型の保障内容 月掛金2,000円

保障内容
保障期間 65歳~70歳 70歳~80歳 80歳~85歳
入院 事故 1日目から184日目まで 1日当たり
2,500円
1日当たり
2,500円
1日当たり
1,000円
病気 1日目から124日目まで 1日当たり
2,500円
1日目から44日目まで
1日当たり
2,500円
後遺障害 交通事故 1級 100万円
13級 4万円
1級 100万円
13級 4万円
1級 20万円
13級 0.8万円
不慮の事故(交通事故を除く) 1級 100万円
13級 4万円
1級 100万円
13級 4万円
1級 20万円
13級 0.8万円
死亡

重度障害
交通事故 200万円 150万円 50万円
不慮の事故(交通事故を除く) 200万円 150万円 50万円
病気 100万円 50万円 30万円

加入対象者:満65歳~満69歳の健康な方
80歳~85歳の病気入院はお支払いの対象となりません。

(2)加入手続きが簡単

県民共済に加入するために必要なことは、スーパーやコンビニ、銀行のロビーといったよく行く場所に陳列されているパンフレットを手に取るだけ。
その中に申込書が1枚同封されているので、書いて投函すれば手続きはそれで終了する。

代理店を通じて加入すると、何時にアポイントを取るのか、いざ契約するとなった時には申込書、意向確認書、告知書・・・と何枚も書類を記入しなければならず、何かと手間が多い。それに比べて、いつでも気軽に申し込みができるのが、県民共済の良い点だ。

県民共済のデメリット

(1)商品ラインナップが少ない

いまや生命保険に加入する理由は、「病気や怪我の時にお金の心配をしなくてもいいように」というだけではなくなっている。

例えば、学資保険。
子供が大学に入学するまでにお金を貯めておきたいと考える人の中には、妊娠中から学資保険の加入を検討している人もいるくらいだ。

また、一家の大黒柱が入院したとなれば、勿論治療費も心配であるが、その間のお給料が減らされないか、きちんと貰えるのか気になる人もいるだろう。

そんな時、生命保険があれば、お給料のように毎月生活費を保障してくれる商品(就業不能保険等と呼ばれている)に加入することをおすすめするが、残念ながら県民共済にはそれがない。
このような理由から、県民共済だけでは全てのリスクをカバーできるわけではない。

(2)誰でも加入できるわけではない

共済に加入するためには条件があり、加入したい共済の地域に住んでいる人、もしくは勤務先がある人、このいずれかに当てはまることが加入の条件になる。

例えば住まいが東京都であっても、勤務先が神奈川県であれば、神奈川県民共済に加入が可能である。
引越しして違う県に住んでも、転居先の県民共済に移管(A県共済からB件共済への変更)手続きをすることで、加入し続けることができるので途中で止める必要もない。しかし、全国47都道府県の中で、県民共済を導入していない県がある。

山梨県、福井県、鳥取県、愛媛県、高知県、徳島県、佐賀県、沖縄県の8県だ。
この県内に住まいも勤務先もあるという人は、残念なことに県民共済以外の選択肢を選ぶしかない。
生命保険はどこの地域でも加入できるにも関わらず、共済は地域によって加入できるかできないかの差が出てきてしまうのが難点である。

県民共済の活用法

なぜ県民共済は、安く加入することができるのか。
それは、県民共済は主だった営業活動というものをしておらず、興味のある人が自主的に申込書に記入し、加入手続きをするという流れを組んでいるため、営業職員にかかる人件費が存在しないのが大きい。

生命保険を契約するには、直販と代理店経由があるが、どちらで契約しても販売コストが掛かっている。例えば代理店経由で加入すると、仲介役としての代理店に手数料が発生するため、その分、保険料が高いというわけだ。また、生命保険は全国の不特定多数者を加入者とするため、リスクが低い人からリスクが高い人まで様々な条件を考慮して保険料を決定しなければならず、どうしても保険料が高くなる。しかし、共済は加入者を一部の人に限定しているため安い掛け金を実現できるのだ。

一般的に病気や怪我の時の保障と言えば、すぐ生命保険が思いつくだろう。
しかし、生命保険が思った以上に高額で、加入するのを悩んでしまうという人も少なくはないはず。また、保障は欲しいけれども子供の教育費や住宅ローン等の出費も考慮すると、なるべくお金は安い方が良いと考える人もいるだろう。そのように「僅かな出費で保障を得たい!」という場合には、共済をおすすめしたい。

終身保障を求めるなら乗換えを検討

県民共済には、実はもう1つデメリットがある。それは、保障の対象者が60歳を超えた時には、保障が少なくなるという点だ。よって、若い時に加入した保障内容が、一生涯の保障にはならないのだ。

また、保障には期限があり、保障の対象となる人が85歳を超えた時点で、共済の補償は終了する。超・高齢化社会と呼ばれる現代において、85歳以上まで生きることは珍しくはない。しかし、85歳を超えて無保険状態になってしまったところで、そこから新たに加入させてくれる生命保険会社があるのだろうか。恐らく、加入できる可能性はほとんどないと言ってよい。

それだけ高齢者は病気や死亡のリスクが高いので、85歳から加入させたとしても、すぐに保険金を支払わなければいけない可能性も高く、言い方は悪いが「保険金を支払うばかりで保険料を貰える額の少ない」保険会社にしてみれば全く旨みのない客ということになる。

85歳からの無保険を防ぐには、85歳で共済が終了になる前に、生命保険に切り替えておく必要がある。保険会社によって加入できる年齢の制限は違うので、切り替えるタイミングは60歳でも良いし、70歳でも良い。

自身で自由に決めて頂いて構わない。

その一方、生命保険に加入するためには告知書の記入が必要となる。
過去5年以内に手術をした、現在通院中である、健康診断で異常を指摘された等のマイナス要素が多いと、告知書を記入する段階で「加入できません」の判断をされてしまうことがある。

ちなみに筆者は20代の時に死亡・入院・通院ありの生命保険に加入しようとしたのだが、当時水イボで皮膚科に通っていたことが原因で、通院特約は加入できませんと断られたことがある。(死亡と入院は加入OKだった)

重病でなさそうな20代の若者が病院に通っていた事実だけでも希望する条件での加入を断られることがあるのだから、高齢になればどれだけハードルが上がることか容易に想像がつくだろう。また、加入時の年齢が高ければ高い程保険料は上がっていく。

生命保険は、保険料を一生払い続けるか、安定した収入のある60歳までに保険料を払い込んでしまう方法、または複数の保険を組み合わせて加入する方法を検討したい。また、健康で且つ、なるべく若いうちに生命保険の乗換えや加入保険を検討することが必要だろう。

以上のように、県民共済は手ごろな掛け金で手堅い保障という魅力があるものの、そのメリットを主に享受できるのは子供世代から働き世代までと言える。
一生涯共済に加入し続けるということはできないので、出費を抑えたい子育て時期くらいまでは共済でコストを削減し、子供が独立した頃に生命保険への乗換えをするというのが無難ではないだろうか。

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