終身雇用や年金制度の崩壊により、「サラリーマン」という生き方が非常にハイリスクな選択肢となっている。

確かに、業務さえ全うすれば毎月決まった給料がもらえ、病気・怪我などにより一時的に休暇を取っても収入が途切れないというのは起業家・自営業者にとっては「非常に魅力的」であるが報酬額、もっというなら「時間単位の労働単価」として考えればどうだろうかというのを、数字に当てはめて考察してみたい。

時間給換算すると「平均的会社員」は「アルバイト以下」!?

厚生労働省および国税庁がそれぞれ発表しているデータをもとに、近年の平均年収を計測すると結果は以下であった。

平成27年度:420万円
平成26年度:415万円
平成25年度:414万円
平成24年度:409万円
平成23年度:414万円

偏りが無いよう、上記5年分を平均計算すると、年収平均は414.4万円、月間にすると額面が約34.5万円、健康保険や厚生年金などを加味したうえでの手取りは約26-27万円前後となる。

これを時間給計算してみるとどうだろうか?

仮に、朝の9時から夕方18時、昼食休憩を1時間半、15分の小休憩が2回の合計2時間の休憩があるものとする。これを計算すると1日あたりの労働時間は7時間、隔週二日・一日制の休日で4週月間月であるとすると労働日数は24日、総労働時間は168時間となる。

また実際の「労働」にはカウントされないものの、通勤時間なども加味すると1日往復1時間として月間24時間の加算、さらに「実質的な拘束時間である」として休憩時間も加味するとそちらも合計で月48時間と、莫大な時間を浪費することになる。

これらを元に、サラリーマンの平均時間当たりの報酬を計算すると、純粋な労働時間の身だと時給約1,550円、通勤時間も加味すれば時給が約1,350円、休憩時間などの「実質拘束時間」も加味すると約1,080円となる。これでは、「平均的なサラリーマンはアルバイトと変わらない」というのが実情だ。

しかもこれらの数字は、近年の過労死問題などで世界的にパッシングを浴びている「サービス残業」の実質強要などの劣悪な労働環境を一切加味しない上での数字だ。

もちろんこれらを加味したうえでも、「安定した老後」や「終身雇用といった安心」がついてくるならばサラリーマンという選択肢も「アリ」ではあったが、現状では労働市場の環境自体が激変し、リターンよりリスクの方が大きくなっているのではないか、と筆者は考察する。

「収入の柱」を増やすことが「安定した豊かな生活」の達成方法

さて、ここまでがサラリーマンという生き方を実際の数値を元に現状確認してみた結果であるが、何も日々会社業務にて努力・忍耐をしている方々を追い詰めるために記事を執筆しているわけではない。

筆者の「資産運用・年金対策特化のファイナンシャルプランナー」としての立場で今回、この記事を執筆した理由は「会社員」という生き方の「リスク・リターンバランス」が崩れてきているので、自己防衛の対策をここで考える必要がある、という注意喚起をしたいのが目的だ。

収入の柱を増やす方法として、例えば「週末起業」などで収入を増やしてみたり、運用にて数十年スパンでの資産形成を企画してみたり、といった方法が考えられる。

当然、こういったアクションには「リスク」があるが、上記にて示した「アルバイト以下の時間給で、かつ終身雇用・老後の年金も当てにならない」という状況に身を任せ続けることと、自分自身でコントロールできる範囲で「金銭的リスク」を取ることと、どちらの方が危険は少ないだろうか?少なくとも筆者は、後者の方を勧める。

近年は年金などに対する不安もあり、「なにか(給与所得以外での)金銭的な対策を行わなければならない」、と漠然とではあるが考えている方も多い。

だが、なかなか「現実的な数値」をキッチリと算出したうえで、実行に移す方は少ない。

そのため、注意喚起として今回、「数字で考えた場合の会社員リスク」を提示し、何かのきっかけになればと考え、執筆を行った。

ぜひとも参考にしていただき、「将来のための対策」を行うきっかけとして活用していただきたい。

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バタフライファイナンシャルパートナーズ代表。 資産運用・ファイナンスを利用したライフプランニング専門FP。OECU資産運用学部2期卒業生、その後不動産投資を目的としたコンサルティング業務に従事後独立し、自身の資産を含むクローズエンド型の投資組合も保有・運営している。