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米株式市場、そして日本の株式市場を含めたグローバル株式市場が先週から変調を来しているようです。今週に入り米主要株式指標ダウ平均は2度の1,000ドル超の大幅下落、そして日経平均も大幅に下落しています。昨年、そして今年初めまで楽観的であった投資家の多くが総悲観的になってしまうことが懸念されます。その震源地はどこであるかを探り分かりやすく解説したいと思います。

震源地は米金利市場です。適温相場(ゴルディーロックス)と呼ばれる市場観の変化が出てきたのではと観測されています。大きな流れでは、2008年、2009年のリーマンショックから回復する過程で、米経済は、波はあるものの順調に経済成長を続けてきました。
そしてその間の中央銀行つまりFRB(米連邦準備理事会)は、低金利政策、そして量的緩和政策を継続してきました。そして2016年から利上げ方向に、そして昨年からは量的緩和の縮小という方向にも舵を切りました。
この時期のイエレン前FRB議長は、雇用を伴った景気回復にも関わらず、金利が一向に上昇しないことに「謎」であると称しました。米10年債で2.00%から2.50%の範囲内を脱することができませんでした。
それが、2月2日の米雇用統計の発表の中の平均時給2.9%年率と2009年以来の高い水準を示し、これに市場関係者が一斉に注目することになりました。
雇用環境が良いことで、今後急速にFRBの目標インフレ率2.0%を上回ることになると連想しインフレ懸念を心配する市場関係者が急増することになります。
10年債は2.80%を上回ってくることになりました。これにより、市場関係者は、今年FRBは年4回(0.25%毎)で合計1.00%の政策金利であるフェッド・ファンド・レートの引き上げがあるのではと連想しました。
それまでは年3回程度と思っていたようです。筆者は短期金利先物(ユーロドル3ヶ月物)12月限2.37%と、年4回の利上げを織り込んだ水準(2.50%)にはまだ達していないと楽観的でした。
つまり、短期金利ディーラーは冷静であったようです。短期金利ディーラーは資金ディーラーを兼ねている場合が多く、企業の資金需要を考えると大きく金利は跳ね上がらないと考えていたのではないかと推測します。しかし、それが株式市場の下落により崩されることになりました。

そして負の連鎖が続きます。インフレ懸念の金利上昇と言う要因に、米国債大量発行観測が加わることとなりました。米議会では、連邦政府予算歳出上限を今後2年で3,000億ドル(約33兆円)引き上げることを決定しそうです。
トランプ大統領は1.5兆ドルの大型減税と、10年間で1.5兆ドルのインフラ投資を公約しています。二つの要因から、どうしても大量の国債を発行して、資金を調達することになると推測します。
反対にFRBは昨年量的緩和縮小方針を決定しています。今年だけでも2,000億ドル減らす方針のようです。FRBが財務省の国債発行の受け皿とこれまでなってきたのですが、そのシナリオに変化が出てくるのではとの懸念があります。
財務省が国債発行しても、それを受ける買い手の主役の存在感が薄れることになってしまいます。その意味では中国は国債の買い手として益々存在感を示すことになるのではと思います。要するに、これも金利上昇の大きな要因になるのではと推測します。

今後はインフレ懸念と財務省の大量国債発行要因から、金利上昇を示すことになると推測します。それは目敏い投資家には不安材料となります。それがダウ平均の大幅下落につながったのではと思います。
下記のグラフ(出所:ウォール・ストリート・ジャーナル紙)は直近4ヶ月のダウ平均の動きを示したものです。2月2日以降の下落局面を緑丸で囲んでいます。これを見ると、23,000ドル近辺に強固なサポートがあるようです。

不安感が増幅されると、このサポートラインを下回ることも予想されます。今回はシステムトレードがダウ平均を想定以上に大きく押し下げたのではと観測されます。
VIX指数(恐怖指数)と呼ばれる指数が大きく上昇することで、この指数を感知したコンピューターが自動的に売り注文を執行することになってしまったのではと推測されますが、このような取引では人間の心理というものが介入してこないことになります。

その世界では、現在の米国のファンダメンタルズは加味されないのではと思います。インフレ懸念があるということは、別の意味では経済は急速に成長していると言えます。直近では昨年米国第4四半期GDP:2.6%前期比年率と順調に成長過程にあるようです。

値ごろ感と言う人間独特の感性が働かないことから、指数を大きく下落させることになるのではと思います。特に今年はダウ平均の分母が大きくなってきていることもあり、大きな変動幅を示すことになるのではと思います。その意味で、今後パーセントでの騰落度を参考にすべきではないでしょうか。ファンダメンタルズからして、まだまだ米国経済は堅調に推移することが予想され、今後大きくダウ平均が大幅下落するとは、人間の知恵からは、現状思われません。

今後は、金利上昇が実体経済にどのように影響を及ぼして行くのかに注目することになります。実際に景気減速が明確にGDP、雇用統計の数字に反映されることになると、投資家は本当に悲観論に突入することになります。

そしてパウエルFRB議長率いるFRBが、利上げを進める速度を遅くする、そして量的緩和縮小のスピードを緩めることになると、ダウ平均が乱高下する要因になります。悪い数字でダウ平均下落、FRBの政策変更(遅くする政策)で上昇することになるのではと推測します。

下記コミックは筆者が大昔スイス系金融機関に在籍していた当時、スイス人ディーラーから頂いたものです。金融市場とは、人間の心理が大きく働いていることを示しています。小さなきっかけで相場が大きく拡大し、そして反転する、その繰り返しと言えます。

今回のダウ平均の下落では、雇用統計の平均時給の大幅上昇がその始まり、そして現在コミック中の大きくSELLが膨らんだ状態に位置します。この熱狂が次第に冷やされれば、再びBUY方向の熱狂が来るのでと推測します。筆者は時々このコミックを見て、相場とはこのようなものであると、落ち着きを取り戻すようにしています。いわば、私のお守りです。

最後に、前回リーマンショックからの立ち直りには、中国の巨額経済刺激策が世界経済を救ったとも言われています。世界経済不安定化の局面が再び来ることになれば、中国の経済対策を再び注目することになるのかもしれません。

リスク回避の金融市場になると、ミドルリスク、ミドルリターンな商品に益々注目が集まることになります。少なくとも5~6%のリターンが約束されているクラウド商品を皆さんのポートフォリオに組み込んで、確実な利回りを得ることは、長期的に見ると賢明な資産運用方法であると言えます。

«記事作成ライター:水谷文雄»
国際金融市場に精通するInvestment Banker。
スイス銀行(現UBS銀行)にて20年余に亘り外国為替および金利・債券市場部門で活躍、
外銀を知り尽くす国際金融のプロフェショナル。新興の外国銀行(中国信託商業銀行 )の
東京支店開設準備に参画しディーリング・ルームの開設を手掛ける。
プライベートではスペインとの関わりを深く持つ文化人でもあり、
スペインと日本との文化・経済交流を夢見るロマンティスト。

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