本や雑誌、ネットには投資の初心者向けの記事が数多く存在している。

「まずは身近な商品を取り扱っている会社の株式投資から…」

「日本だけに投資をするのは危ないから、FXから…」

「長期投資が重要だから、もしもの時も考えて変額保険から…」

「銀行に定期預金を置いているのであれば、同額をその銀行の社債から…」

といろいろな事が書かれていて結局よくわからない。

 

残念なことにファイナンシャルプランナーと言われる人に相談しても、結局は「〇〇〇なので、この商品を買いましょう」との営業トークになってしまうのが関の山だ。本当の意味で投資の初心者は何から始めたらいいのだろうか。

株式投資は実は上級者向け

株式投資は10万円もあれば始められるので、投資の初心者は株式から始めるべきとのいう話をよく聞く。だが、本当の初心者からすると、「どの株式を買えば良いかわからないから聞いている」という所だろう。たしかに株式投資は10万円どころか、銘柄によっては1万円もあれば始める事が出来る。しかし、その銘柄を選ぶのが難しい。本当は株式投資こそ上級者向けだ。

 

3,600社の中から投資する1社を選べるか

まじめな投資家がどの株式に投資をするべきか真面目に検討しようとした時、その銘柄の数に驚愕するだろう。トヨタやソフトバンク、ソニーやメガバンクなどの大企業・有名企業が多く並ぶ東証第一部と言われる市場だけでも約2,100社存在し、東証第二部やマザーズ、JASDAQといったベンチャー企業や中堅企業は約1,500社存在している。合計で言うと約3,600社にも上る。初心者に3,600社の中から投資する1社を選べというのは極めて酷だ。投資のプロが統計学や金融工学、また最近だとAIなどを利用して分析している様なものを、個人の初心者に選べというのは無理な話だ。

 

身近な商品の会社は多くの場合大型株

よく「身近な商品を取り扱っている会社を」とも言うが、多くの人にとって身近な商品や会社というとCMを数多くやっている金融機関や自動車メーカー、食品や日用品メーカーだろう。これらの多くが俗に言う大型株になっており、既に成長しきっている銘柄が多い。業界や企業にもよるので一概には言えないが、すでに大企業であるため今後の大きな値上がりはあまり期待できず、一方で何か企業不祥事があった場合には暴落してしまう可能性が高い。

 

まずは日経平均連動ETFから始めるのがベスト

初心者はまずは、日経平均と同じように動く日経平均連動ETFから始めるのがおすすめだ。これはニュースや新聞で「本日の日経平均は・・・」と毎日報道されているあの日経平均に投資をするもの(正確には日経平均の金額に一致する投資信託)だ。日経平均とは日本の主要な企業225社の株価から計算している言わば「日本経済」だ。この「日本経済」に投資をするのであれば、これから上昇するか下落するかイメージがまだ付きやすい。また、2017年においては東証全体でみると約12%程度上昇しており、日経平均連動ETFを購入していれば同程度の利益が発生しているはずだ。初心者が素人考えで選択した銘柄よりもシンプルにETFを購入したほうが利益率は高くなると思われる。

 

なぜ投資信託ではなくETFなのか

では日経平均連動の投資信託でも良いのではないかとの話になるが、投資信託の場合は購入時の手数料が発生し、その手数料は証券会社によっては3%程度となり、購入と同時に3%の損失が発生するが、ETFであれば金額によっては手数料ゼロ円や数十円で購入できる場合もあり、投資信託よりも早期に利益化することが出来る可能性が高い。

 

まずは日経平均でトレーニングし、それから個別の銘柄へ。

初心者であればこそ、深く考え悩んでしまうのではなくシンプルに考えよう。それには日経平均に投資をするのが一番だ。また、日経平均についてはニュースや新聞でもその変動理由が報道されるので、次に個別の株式の購入や投資信託を購入する時に必要となる今後の価格の増減のイメージをするトレーニングにも大いに役立つ。初心者こそぜひ日経平均ETFから初めてみよう。

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金融・財務コンサルタント(金融工学MBA) 明治大学商学部卒業後、外資系投資銀行に勤務しながら金融工学MBAを取得。現在は明治大学、龍谷大学等で教鞭をとりながら各種セミナー等で講演も行う。明治大学金融紫紺会事務局長。