ここで取りあげるNY市場でトレードする対象はNYダウやS&Pなどの先物指数です。個別の現物株より値動きがわかりやすく、市場全体を代表する指数なので市場の動きをダイレクトに反映します。
今注目するのは以下の三つの理由からです。
- 北朝鮮情勢に対するリスク分散
- わかりやすい上昇トレンド
- 世界の指標としての存在
半島有事に備える
今NY市場に目を向けるべき最大の理由は、ほかでもない抜き差しならない北朝鮮情勢です。今年に入ってミサイル発射や核実験など北朝鮮の挑発が続いていますが、その度ごとに日本の株式市場や為替市場(ドル円)は翻弄されてきました。
米朝両国の直接の軍事力衝突が懸念されましたが、現在はまだ言葉の応酬にとどまっていることとNY市場が依然として強いので、九月のMSQ以降は日経平均も立ち直ってきています。
しかし、もし再び半島の緊張が高まれば確実に日本市場は影響を受けるでしょう。北朝鮮問題に関する限り日本は地政学的な影響から逃れられません。
有事には日経平均が売られると同時に円高が進み、それによってさらに日経が大きく下落するというパターンが生じます。リーマンショック、東北大震災、去年のイギリスの国民投票時など、大きな政治経済のインパクトが起きた時には必ず円高と日経平均の暴落がスパイラル的に起きています。
金正恩はミサイルを列島越えに飛ばし、いわば日本を狙い撃ちにするやり方で同盟関係に揺さぶりをかけようとしています。この状況は今からも続くでしょう。何よりもミサイルの射程内にあるのは韓国や日本など米国の同盟国です。
もし本格的な米朝の軍事衝突ということにでもなれば間違いなく株安と円高のスパイラルが起きて、去年のイギリスのEU離脱時の時のような(あるいはそれ以上の)千円を超えるような大幅な下げになる可能性は非常に高いです。
もちろんその時はNY市場も影響を受けるでしょうが、直接的な被害を受けるリスクが小さい分、下げは日本市場よりも限定的になる可能性はあります。
さらにその後のことを考えると、日本市場は半島情勢の不透明さからしばらく低迷を続けるかもしれません。しかしその場合でもNY市場は日本より早く底入れする可能性があります。2015年秋や2016年の相場がそうであったように、NY市場から世界の株式市場の反騰が始まる可能性も高いと考えています。
Xデーがいつになるかは予断がつきませんが、それに備えておく心構えは投資家として必要でしょう。いきなりその日が来てから動こうとしても遅いのです。あらかじめ分散投資の準備をしておく必要があります。
上昇トレンドが続くNY市場
~出口戦略は織り込まれている~
このような不安定な情勢の中、NY市場の強さは際立っています。
日米両国の株価指数をチャートで見比べてみましょう。代表的な日経平均225種とS&P500を比べてみます。
【日経平均 日足】2017年初 ~9/22
【S&P 日足】2017年初 ~9/22
こうして比べると同じ上昇トレンドでもかなり形が違うのがわかると思います。日経平均は四月と八月に大きく押している(最大7%)のに比べてS&Pは最大でも3.5%の調整にとどまっています。本来のボラティリティの違いがあるので単純には比べられないかもしれませんが、日経平均に為替の影響があるのは間違いありません。S&Pは年初から九月までずっと安定した上昇ボックスが続いています。
あとから見れば日経平均が崩れた四月八月は格好の押し目に見えますが、半島情勢が相当緊迫していたこともあり、移動平均線を大きく下回ってきた状態で的確なタイミングで買いを入れて底値で拾うのは難しいと思います。
反面S&Pは年初からきれいな上昇ボックスが続いていて、移動平均線上の下値で拾いさえすれば、ここまで一年を通じてトレードは成功を収めることができたでしょう。
結論を言えば、北朝鮮リスクとFRBの利上げ+資産縮小の計画にもかかわらずNY市場は上昇トレンドの只中にあります。今年もこの九月までいろいろな出来事がありましたが、S&Pは身じろぎもせず上昇を続けています。その強さは心すべきでしょう。
FRBの出口戦略
さて、米連邦公開市場委員会(FOMC)は19、20両日の定例会合で、4兆5,000億ドル規模の保有証券の縮小を10月に開始することを決定しました。同時に年内あと1回の利上げと来年3回の利上げを予定しています。
ここからは、大規模な資産購入の終了⇒バランスシートの縮小という流れになります。10月にバランスシート縮小を始めるとの決定は全会一致でした。利上げは2018年は0.25ポイントの利上げを3回見込んでいます。2007年12月以来、約10年ぶりにバランスシート縮小の決定がなされました。ただ、縮小規模は当初月100億ドルにとどまるようです。
ここで予想されているFRBの政策をまとめておきましょう。
10月にバランスシート縮小を開始
月100億ドル(米国債60億ドル、住宅ローン担保証券=MBS40億)
⇒3カ月ごとに上限を引き上げ、
月500億ドル(米国債300億ドル、MBS200億ドル)に達するまで継続
つまり、縮小規模は当初月100億ドル⇒最終的に500億ドルということになります。資産全体が4兆5,000億ドルなので500億ドルで売却していって90ヶ月
これは途中からなので全部売却してしまうのには十年近くかかるでしょう。しかし最終的に全て売却してしまうわけではないと思います。
現実的には五年近くかけて半分近くに減らしたあとで再び金融緩和という流れもありえます。
このようなFRBの方針を実に市場は冷静に受け止めていて発表後もほとんど下げませんでした。つまりFRBの出口戦略は12月の利上げも含めて織り込み済みのようです。
問題はS&Pの日足に代表されるNY市場の今の上昇トレンドがいつまで続くかでしょう。市場は十二月のFOMCでの0.25%の利上げを既に織り込んでいるものと思われます。ということは実際の軍事衝突がない限り年末まで上昇が続く可能性もあります。
でも、あなたが一番不安に思うのはやはり北朝鮮問題でしょう。もし、万一ほんとうに戦争が起きたらどうするのか!?そう考えるのは当然です。
もし実際の軍事衝突を警戒してそれに対するヘッジを行いたいのなら、たとえばS&Pを押し目で買いながら、日経平均が高値になってきた時に日経先物を売り建てるというやり方もあります。これはあくまでひとつの方法ですが、このような両建てはリスクヘッジとしては有効だと思います。
強気で行くにしろ有事のリスクに備えるにしろ、NY市場をトレードに組み入れることであなたのトレードの幅が今までより広がるのは間違いありません。半島情勢が不透明な今だからこそNY市場に注目すべきだと考えています。
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