今回は投資に有効なファンダメンタル分析を学んでいきます。ファンダメンタル分析は、財務状況や業績をもとにして、企業の本質的な価値を分析する方法です。企業の価値に対して、今後の成長が見込めるかを分析して投資します。世界の経済成長率や雇用統計といった経済指標や、各国の経済ニュースが銘柄に推測することも出来ますが、今回は主に財務諸表や貸借対照表を利用します。

ファンダメンタル分析で狙う株は?

「成長株」もまたは「グロース株」といわれる、業績の上昇が今後も期待でき、株価もそれに応じてアップしそうな銘柄や、「割安株」または「バリュー株」と呼ばれる、業績や財政状態から見て株価が実態より割安に放置されている銘柄を探します。
企業価値を図る要素としては、革新的なビジネスモデル、安定性、成長性、収益性が挙げられます。

価値 指標
安定性 自己資本成長率
流動比率
成長性 EPSの経年変化
キャッシュフロー
収益性 ROE
ROA

大まかに投資先を検討する上で大切になる指標が上のようになります。以後細かく検討していきます。

株価の割安感を測る指標

株価が割安かどうかは投資先を検討する上で重要な指標となります。株価の割安感を測る指標として、以下があります。

  • PBR(株価純資産倍率)
  • PER(株価収益率)
  • PCFR(株価キャッシュフロー倍率)
  • 理論株価
PBR(Price Book Value Ratio) PBR = 現在の株価 ÷ 一株当たりの企業の純資産

現在の株価が会社の純資産に対して何倍まで買われているか把握するために用いる。一倍以下なら割安。

PER(Price Earnings Ratio) PER = 現在の株価 ÷ 一株当たりの企業の利益

企業の収益に対して、株価の割安・割高を測る指標。15倍以下なら割安。投資資金と回収速度を計算するために用いる。

PCFR PERを補完する指標。高PERでも設備投資に積極的な企業は低PCFRとなる。

財務諸表を使った分析

ファンダメンタル分析で頻繁に使われるのが財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)です。財務諸表からは、ROEを始め、自己資本比率や流動比率など経営の安定性に関わる指標などを参考にします。

貸借対照表で財務諸表を把握し、企業の安定性を確認する

貸借対照表は、会社の財産状況がわかる表で、財務の健全性や経営の安全性を把握するために用います。

自己資本比率 自己資本÷資産

自己資本は、将来にわたって返済する必要のない会社独自の資産なので、自己資本比率の高さは会社の健全性を示す指標となる。40%以上なら優良。

流動比率 流動資産÷流動負債×100

流動資産は一年以内に現金化できる資産で、流動負債は一年以内に返済する必要がある債務を示す。

手元流動比率 すぐ換金できる資産÷1か月の売り上げ

月商一カ月分の現金が手元にあれば安心。

有利子負債依存度 借金に頼りすぎてないか確認する。50%以上なら危険。

 

損益計算書により企業毎の収益率を比較判断する

損益計算書は、企業が出した収益や、その収益を上げるために費やした費用などをまとめた決算書です。企業における収支を確認して、企業の収益性の高さや、いかに効率良く利益を上げているか把握します。

売上高総利益率 売上高総利益率=売上総利益÷売上高

売上高総利益とは、売り上げ高から売上原価を差し引いたもので、その割合である売上高総利益率は仕入れた商品にどれほどの利益を上乗せしてして売り上げたかを測る指標となる。一般的に売上高総利益率が高い企業は、高付加価値商品を販売しているといえる。

売上高営業利益率 営業活動の効率の良さがわかる。売上高営業比率が低いと、営業費用がかさんでおり効率が悪い。
総資産回転率 総資産回転率=売上高÷総資産

事業に投資した資産がどれだけ効率的に利用されたかを表す指標。売上高利益率に総資産回転率を乗じたものがROEである。

ROE(Return on Equity) ROE=当期純利益÷自己資本

株主資本である資本金を使って、どれだけの利益をあげるのかを示す指標。投資の利回り計算に用いられる。

ROE=EPS(一株当たりの利益)÷BPS(一株当たりの純資産)

一株利益を一株資産で割って、一円の資産あたりでどれだけの収益を上げているかがわかる

ROA(Return on Assets) ROA=純利益÷総資産
ROA=売上高利益率×総資本回転率会社にある総資産を用いて、どれだけの収益をあげることが出来ているかを測る指標。ROEとの違いは、資本金だけでなく銀行からの借り入れや機械設備など会社が保有する資産全てを含んでいる点。経営の効率性を示す。

キャッシュフロー計算書

会社における現金の動きがどのようになっているかを示しており、現金収支を確認するために用います。これによって、企業の資金繰りと成長率が明らかになります。

キャッシュフロー計算書には、3つの企業活動によるキャッシュフローの組み合わせで企業を分析します。

  • 営業キャッシュフロー:営業活動から得た現金の流れ。業績と取引条件に大別される。
  • 投資キャッシュフロー:固定資産の取得や売却による現金の増減の流れ。
  • 財務キャッシュフロー:営業活動や投資活動を行う過程で必要な資金を調達及び返済する現金の流れ

会社四季報

四季報には、証券取引所へ株式上場済みの会社に関する投資に必要なデータが詳細に掲載されています。

EPSの年変化

EPSとは「純資産÷発行済み株式数」で計算される、企業の安定性を測る指標です。例えば、利益が上がると、EPSが増え、その際に株価が変わらなければ、PERの数値が低くなります。

業績欄には、EPSや売上高、経常利益などが掲載されています。過去5年間遡った分とこの先2年分の予想が載っているため大変便利です。

 

ファンダメンタル分析は、主に安定性・成長性・収益性の三点から企業の本質的な価値を分析し、長期的な投資を行う手法です。本来は、財務諸表な会社四季報などから企業の本質的な価値を探ります。これらの判断材料から、企業の真の価値を明確にし、より良い投資を目指しましょう。

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