街中でたまに見かけるものの、多くの人にとっては縁のない存在と思われがちな信託銀行。この銀行、普通の銀行と一体何がどう違うのでしょうか。

信託銀行は信託業務と銀行業務を両方行う金融機関

信託銀行とはその名の通り、信託業務と銀行業務を両方一緒に行う金融機関です。この内銀行業務とは預金、融資、為替など、他の銀行でも行われている業務です。つまり、信託銀行にもお金を預けられますし、逆にお金を借りることもできるのです。

一方、信託業務とは、他人の財産を自分の名義として扱い、自分自身の財産を別々に管理し、運用していく業務のことです。顧客(委託者)は自分の財産を信託銀行(受託者)名義にする必要があるため、両方の信頼関係がなければ成り立たない業務です。信託銀行が預かる財産は金銭のみならず、年金、土地、証券投資などもその対象となっています。

例えば、企業年金は企業がお金を集め、そのお金を委託者として信託銀行に預け、信託銀行はそれを運用して利益を出し、企業に提供するというシステムになっています。企業はその見返りに、信託報酬を支払います。

また、信託銀行は証券会社などが投資家から預かった資金も預かっています。こうすることにより、証券会社の財産と投資家の資産がしっかりと分離されるため、万が一証券会社が倒産しても投資家の資産は保全されます。

信託の歴史

信託というシステムが発見されたのは今よりもずっと前、紀元前1800年頃です。当時の古代エジプト人が残した遺書の中に自身の財産を信託させるという文言が合ったことが歴史研究からわかっています。

中世のイギリス人は高い信仰心を持っており、自信の死後は所有していた土地を協会に寄進するのが一般的でしたが、封建領主は自身の力が及ばない教会が土地を持つことを嫌い、教会への寄進を禁止する法律を作りました。

それを受けて人々は自身の死後に信頼できる人に土地を譲渡し、譲渡を受けた人が土地によって得られる収益を教会に寄進するという間接的な寄進制度が普及しました。

その後信託というシステムは海を渡り米国に輸出され、資本主義の発達とともに信託を会社組織が行うのが一般的になります。1830年にはニューヨークで世界初となる信託会社、ニューヨーク生命保険信託会社が設立されます。

1881年の南北戦争をきっかけに信託会社は鉄道会社や鉱山会社の社債引受を開始、一方で銀行業も営むようになり、信託銀行は世の中に普及していきます。

日本では明治38年に担保附社債信託法が制定され、有力銀行が営業免許を受けて担保付社債信託業務を行うようになりました。その後は信託業務はなければ行えないようになり、政府は免許を与える審査をかなり厳選したため、十分な視力と信頼を持つ一部の企業だけが信託業務を行えるようになりました

。それにともなって信託会社に対する信頼性は徐々に増していき、戦時中は金融機関の統廃合促進の余波で信託会社と銀行の合併が促進されました。

戦後の経済発展とともに海外からの金融市場自由化の要求が高まり、昭和60年には外資系進学銀行の設立が認められます。平成以降は信託子会社(信託銀行)が相次いで設立され、都市銀行や死長期信用銀行なども信託業務に参入できるようになりました。信託というシステムに対する要求は今も増し続けており、金融市場における存在感は右肩上がりで増え続けています。

信託銀行の業務

信託銀行と銀行の一番の違いは、信託業務を行っているかどうか、ということです。信託銀行オリジナルのサービスの中でも特に重要なのが、資産管理業務です。これは年金基金などの機関投資家から預かった資産を安全に管理する業務のことです。具体的には株や債券の配当、売買代金の決済などを行います。

最近は孫への教育資金を贈与するための信託である「教育資金贈与信託」などが人気を集めています。その他、投資信託や遺言信託、不動産管理なども行っています。

一方、信託銀行は銀行でもありますから、普通預金や定期預金、融資などのサービスも行っています。

信託銀行は財産を持つ人にとっては便利

信託銀行は金融資産と不動産を一括で管理することができるのが最大のポイントです。専門性の高いスタッフも多数在籍しており、傷害を通じて付き合いやすいのも特徴と言えます。また、銀行の預金よりも高い金利の定期預金などを扱っている場合も多く、それも大きなメリットと言えます。

一方、デメリットはATMでの決済や金融機関同士の決済などが使いづらいところです。あまり財産を持たず、小口の決済をすることが多い中間層には余り縁のない存在と言えそうです。ただ、信託銀行に口座を作るのは誰でもできますし、作っておいて損があるわけでもありません。

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金融・ 経済関連の記事をメインとしたフリーライターをしています。様々なジャンルの本を読み漁っていますので、 自分の記事が投資家の皆さんの利益となるように情報発信に努めていきます。