介護業界への新規参入を検討しておられる皆様あるいは現在すでに介護事業を営んでおられる経営者の皆様、近年とみに熱い視線が注がれている国内介護市場の市場動向について十分に認識しておられるでしょうか? 今回の記事ではこの国内介護市場の市場動向に関して、さまざまな介護市場調査の統計にもとづいて詳細にご説明いたします。ぜひご一読いただき、事業戦略立案、的確な意思決定など今後の介護事業の経営にお役立てください。

1、介護業界の市場規模ってどのぐらい?

⑴介護の市場規模

介護市場の規模とは、介護保険の給付費(利用者負担額を除き、高額介護サービス費、高額医療合算介護サービス費、)特定入所者介護サービス費を含む)であると定義されています。介護市場の規模は介護保険制度が始まった2000年度には3,6兆円でありましたが、その後年々増加し続け、2016年には10,4兆円になっております。

これからさらに高齢者数が増加していくことが確実視されるなかで、今後も成長していくことが見込まれる産業であると見られています。介護の市場規模は高齢者関連のビジネスのなかでも高齢者の生活に密着しているだけに最も大きく、よりニーズに対応するサービスを提供していくことが求められます。

⑵ 2025年問題ってなに?

2025年問題とは、厚生労働省が指摘している高齢者人口の増加による社会保障費の急増に関する問題のことです。すでに2015年には団塊の(ベビーブーム)世代と言われる人々(1947年~1949年に生まれた人々)が65歳~74歳までの前期高齢者となりました。さらに10.年後の2025には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、わが国の高齢者人口は全人口の約25%の約3,500万人に達するものと予想されています。実に4人に1人が75歳以上という超高齢化社会に突入することになります。2025年問題は高齢者を支える若い世代の負担増や国家財政、税金など金銭的問題であるのみならず、それ以上に高齢者人口が増加することによって医療や介護の必要性も高まり、その利用頻度も高くなることから、これらの分野の体制整備という問題が重要になってきます。また今後の高齢者人口の推移と関連して都市部に高齢者世帯が集中して増加するという問題もあります。認知症をはじめ複数罹病患者の数も増えることや在宅医療・介護システムの構築など、高齢者のライフスタイルやニーズに合った適切な医療・介護サービスを提供できるシステムを社会全体で構築することが必要です。またさらなる生産人口の減少も懸念されています。

⑶高齢者人口の推移

①閣府の調査統計によれば、わが国の高齢者人口は、下図のように推移していくものとされています。少子高齢社会の進展に伴って、2060年には高齢者1人に1に対して1,2人の現役世代が存在するにすぎないという超高齢化社会に突入していくことになると予想されています。

出典:内閣府

②厚生労働省の統計調査によると、2050年には39,9%と65歳以上人口が約25人に1人となる見通しとなっています。

これからアジアで高齢化が進展していくと見込まれています。今後、わが国の65歳以上人口がとくに大規模な都市圏において増加し、一方で人口が5万人未満の小規模な都市においては2020年をピークとして減少にしていくであろうと予測されています。これに対して、2015年には65歳以上人口1人に対して2,1人の現役世代へと急減しています。今後も支え手は減少し続け、2050年には1,2人の現役世代が65歳以上の高齢者を支える見通しとなっています。さらに国際的にみると。どの国においても高齢化が進展しているものの、わが国の高齢化が著しく速いスピードで進展していることが分かります。このように高齢化は世界各国においてもわが国の後を追って直面している共通の問題であり、その先陣を切っているわが国がどのように対応していくかは、グローバル社会がきわめて高い関心を寄せているのです。

2、介護市場の現状

高齢者人口の増加が続いていくため、介護市場の規模は拡大傾向にあり、2014年の8,6兆円から2025年には18,7兆円程度まで拡大するだろうと予測されています。日本政府は財政問題を背景として社会保障費を極力抑制するために、高齢者の負担増や在宅介護サービスの充実などを企図しておりますので、介護事業者は今後の政府の動向について十分に注視しながら戦略を組み立てる必要があります。介護業界は中小規模の企業や社会福祉法人が少数施設を運営しているケースが多く、寡占化がほとんど進んでいない業界なのですが、近年大手企業によるM&Aの事例が増加しており、大資本のもとで安定的な目指す企業が増加している状況にあります。また市場規模の拡大は見込まれるものの、政府の財政問題を背景として1施設当たりの収益は低下する可能性があります。また大資本のもとで、コストの共有化や人材採用の共有化を図り、収益を確保することができる体制を整える動きが今後も加速するものと想定されています。

⑵介護市場の3つの課題。

①人材の確保・育成
少子高齢化社会が進むなかで、介護需要の増大に伴い、人材の確保。育成は避けて通れない必然的な課題です。介護職員の賃金も他業種と比較して相対的に低く、しかも重労働であることが多いため、介護職員の離職率が高くなっています。これらの課題にどのように対応するかについては、育児休業後の転職希望の女性や外国人スタッフの雇用の促進、介護職員の待遇改善などについて検討すべきでしょう。

②介護報酬の改定
介護報酬の1割は原則利用者負担で9割は介護保険料と公費で賄う介護保険から支払われます。原則として3年に1度見直しが行われ、在宅サービス12種施設サービス3種、ケアプランの作成1種の16種について、それぞれ報酬単位が改定されます。介護報酬の改定は今後政府の財政状況から見て、その改定率がマイナスになっていくのではないかと懸念されています。介護事業者は介護報酬改定の内容が直接収益に影響を及ぼすため、その影響を極力減らすべく介護保険外収入の増加や政府の方針に合わせた体制の整備する必要があります。

③介護サービスの提供数
介護サービスの提供数は増加し続けていますが、介護事業者の倒産件数も近年増加しており、地域によっては市場の拡大が見込めないところもあるため、立地や差別化戦略がより重要な局面に入ってきていると言えます。

3、介護市場の今後の動向

⑴介護保険給付の抑制

いわゆる「重点化・効率化)」が強まります。

①介護予防給付の地域支援事業への移行

②介護施設の重点化→在宅への移行→高齢者向け住宅の拡大

③地域一体となった支援・助け合いへの期待

⑵医療・介護の連携・統合の方向性

医療・介護が連携され、サービス統合の方向に進んでいくことが予想されています。

⑶介護ロボットの導入

により介護従事者の負担の軽減を図り、働きやすい職場環境を整備することによって介護従事者の確保に資することを目的として厚生労働省が介護ロボット導入支援事業補助金を支給して介護ロボット導入の促進を図っています。

⑷市場調査会社一覧

①SPEEDA
企業・産業のファンダメンタル分析に必要となるあらゆる情報を網羅的・体系的に整理された情報プラットフォームで、しかもワンパターン・ワンストップで提供するSaaS型のデータベースです。年間利用料94万円。

②矢野経済研究所等マクロ・ミクロの視点から総合的に調査・分析
特定ビジネス分野の市場規模、企業シェフ、将来予測、メジャープレイヤーの動向等マクロ・ミクロの視点から総合的の調査・分析した調査レポート。産業別の専門リサ-チャ-が独自の視点でまとめ、年間2000セグメントに及ぶマーケット・データを提供。年間基本利用料は税別30万円

③クロスマーケティング
顧客を詳しく理解するにはデータを総合的に分析することが必要で、そのための統合基盤を利用すれば。あらゆるデータを同期され。顧客一人一人のニーズに寄り添ったエクスペリエンスを添付します。

設問数 10   サンプル数100 100,000円~

④帝国データバンク
業界のこと、市場のこと、自社のこと、ビジネスの現場で日々顕在化する「知りたい」。帝国データバンクの業界・市場調査はZ日本最大のデータベースと企業調査力を活用して。さまざまな調査手法を組み合わせて情報収集します。

調査対象企業の抽出母体
郵送調査    10,000社強        電話調査 147万社

 

 

⑤マクロミル
マーケティングプロセスごとに代表的なリサーチシーンについて、事業会社のマーケティングプロセスを4つに分類して、マーケティングリサーチをする機会が数多くあります。マクロミルではそれぞれの課題や目的に応じた適切なリサーチメニューを用意しています。リサーチ料金は15問100サンプル回収で60万円から。

5、まとめ

介護市場の規模は今後も拡大が見込まれるものの、介護報酬改定のリスクや人口動態の変化(地域格差)、不祥事によるモチベーションの低下、神座確保・育成等の解決すべき課題が多くありますので、これらの課題に真正面から取り組んでいくことができる介護事業所が今後継続して成長していける業界であると言うことができます。介護はきめの細やかな対応が求められるため。必ずしも大手企業によるものがZ良いとは限らないのですが大企業の進出による産業化が進行しつつあります。

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