「パナマ文書」で、資産隠しや脱税の疑いが掛けられた世界の一流有名企業/著名人、政治家が実際に節税方法としてオフショア地域でペーパーカンパニーを利用していることが国際的に問題となったが、2018年からは低税率の海外都市に会社を設立し、そのタックスメリットを享受し、投資などを行う場合には万全な準備が必要となる。外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)により、簡単には節税できないようになるためだ。

タックスヘイブンと外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)とは?

海外には、外国資本や外貨獲得の為に、意図的に税金を優遇して、企業や富裕層の資産を誘致している国や地域がある。このような国や地域をタックスヘイブン、つまりは「租税回避地」と言う。

領土別タックスヘイブンリスト

領土 場所
アメリカ領 ヴァージン諸島
イギリス領 ヴァージン諸島、アンギラ、ケイマン諸島、ジブラルタル、モントセラト、タークス・カイコス諸島
イギリス王室領 ガーンジー島、ジャージー島、マン島
オランダ領 アルバ、アンティル
ニュージーランド領 クック諸島、ニウエ
その他 アンティグア・バーブーダ、キプロス、サモア、サンマリノ、シンガポール、セーシェル、セントクリストファー・ネイビス、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、セントルシア、ドミニカ、トンガ、バーレーン、パナマ、バハマ、バミューダ諸島、バルバドス、ベリーズ、香港、マーシャル諸島、マルタ、モーリシャス、モナコ、モルティブ、リヒテンシュタイン、リベリア

イギリス領ケイマン諸島、ヴァージン諸島といったカリブ海の島国が代表的である。また、香港は法人税が17.5%と安く、銀行預金の利子や有価証券等のキャピタルゲインについて非課税である。

このような税率の低い国や地域にペーパーカンパニーを設け、利益を移し租税回避に使用する企業も多いようだ。

そのため、タックスヘイブンを利用した企業や富裕層の租税回避に対抗するため主要国各国は、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)を整備している。外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)とは、本国に本社を有する企業が、海外の低税率国でペーパーカンパニーの所得を計上している場合、その所得を本国の親会社の利益に合算して法人税を計算することになる。この制度は、タックスヘイブンを利用した不当な節税回避に対する牽制機能を働かせるのが目的である。

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)にも存在する例外!

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)は海外のペーパーカンパニーを利用した税逃れを防止することが目的であり、会社としての実態があれば同税制は通常は適用除外になる。

そして、下記のとおり①~⑤の適用除外要件がある。外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の適用除外となるためには、製造業・小売業の場合は①、②、③、④、卸売業の場合は①、②、③、⑤を全て満たしていなければならない。

① 事業基準:主たる事業が株式・債権の保有、工業使用権等または著作権の提供、船舶・航空機の貸し付けではないこと。

② 実体基準:対象子会社の本店所在地国に、事業を行うために必要な事務所、店舗、工場など実体があること。

③ 管理支配基準:対象子会社等がその本店所在地国で事業の管理、支配、運営を自ら行っているといえること。

④ 所在地国基準:海外子会社が製造業や小売業の場合、事業を主に本店所在地国で行っていること。

⑤非関連者基準:海外子会社が卸売業、銀行業、信託業、証券業、保険業、水運業または航空運送業の7業種の場合、売上または仕入の50%超が資本関係のない非関連者との取引であること

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の適用除外を主張するために忘れてはいけない必要な手続き!

事業上の必要性があって実体のある海外子会社を設立し、それが海外の低税率国であったとしたら、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の適用除外要件は通常満たすと考えられる。

しかしながら、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の適用除外を主張するためには事前申告を忘れてはいけない。

日本にある親会社が税務申告をする際、対象となる海外の子会社が外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の適用除外に当たる旨の別表を添付して申告をする必要がある。事前に申告していない場合には、たとえ実体のある会社であっても、その所得を日本にある親会社の利益に合算されてしまう。

したがって、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の適用除外を主張する場合には、その旨を確定申告書別表17-3に記載して提出し、関連書類を保管しておくことが必要となる。

また、2018年から正式に発動される「税務における金融口座の自動的情報交換制度」により、日本の国税庁は日本居住者が海外に保有する金融資産の状況を把握することが出来るようになり、海外のペーパーカンパニーを利用した資産隠しや税金逃れは難しくなるであろう。低税率の海外都市において、節税のメリットを享受するためには事前に必要な手続きを行うのを忘れてはいけない。

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