最近よく耳にするクラウドファンディング。クリエイターや起業家が資金調達をする手段として、また新しい投資の選択肢として世界中で注目されているようだ。

これまで、良いアイデアや企画があっても元手となる資金がなく実現できなかったクリエイターや起業家は、クラウドファンディングでその夢を実現出来るかもしれない。また、その夢に共感したならば、誰でも少額の投資で夢の実現を支援することが可能だ。

世界的に市場規模の拡大が見込まれているクラウドファンディングの仕組みや魅力について紹介する。

クラウドファンディングとはそもそも一体何なのか?

クラウドファンディング(CrowdFunding)という言葉は、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、ソーシャルファンディングとも呼ばれる。

クラウドファンディングとは、製品・サービスの開発、もしくはアイデアの実現などの目的を持った事業法人や個人が、専用のインターネットサイトを通じて、その目的に共感した不特定多数の出資者から広く資金提供を募る方法である。

多くの人から寄付や事業資金を募ることは、昔から世界中で行われていた。クラウドファンディングは、プロジェクトの起案者と不特定多数の人を引き合わせる専用のインターネットサイト(プラットフォーム)によって成り立っており、現代ではインターネットを利用することで、情報拡散や情報収集の利便性が高まり、幅広い分野への出資に活用されている。

いまでは世界中に多くのクラウドファンディングサイトがあるが、日本では、2011年の東日本大震災後に被災地復興事業の資金調達が行われたことで、一気に注目されることとなった。

2011年4月にリリースされた「Readyfor」が、日本で最初のクラウドファンディングサービスであり、その2ヶ月後には「CAMPFIRE」がリリースされ、現在日本で最大級となっている。

クラウドファンディングでは、一定期間の間に目的の資金が集まった時点でプロジェクトが成立し、プロジェクトの起案者は、専用サイトのサービス運営者に集まった金額の10%~20%を手数料として支払い、プロジェクトを実行する。資金が集まった時点でプロジェクトを実行するので、資金調達のリスクを低減することが可能である。

出資者は、自分が共感したプロジェクトやサービスに資金を提供し、出資後はプロジェクトの実施状況の報告を受け、見返りとしてサービスや商品を受取ったり、現金配当を得ることができる。

クラウドファンディングを活用することで、事業者は新たな資金調達の可能性と手段を、投資家は新たな資金活用の選択肢を得ることができるのだ。

クラウドファンディングの2015年における国内市場規模は約363億円だが、2016年には31.5%増の約477億円の成長が見込まれており、今後も市場規模は拡大されていくことが予想される。

国内クラウドファンディングの新規プロジェクト支援額(市場規模)推移

国内クラウドファンディングの新規プロジェクト支援額(市場規模)推移

引用:矢野総研 国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2016年)

クラウドファンディングの4つのスキーム

クラウドファンディングは、資金提供者に対するリターン(見返り)の形態によって、主に4つのタイプに分類される。

①寄付型:集めた資金は全額寄付となり、金銭的リターンはなし
②投資型:出資者がプロジェクトの利益から配当という形で金銭的リターンを受け取る
③融資型:出資者が利子という形で一定の金銭的リターンを受け取る(ソーシャルレンディング
④購入型:支援者が権利や物品を購入することで支援を行う

この中でも、日本では金融商品取引法で個人間の投資に規制があるため、金融商品取引法の規制対象とならない「購入型」の規模が最も大きく、「CAMPFIRE」や「Readyfor」も購入型がメインである。世界的には中小企業の資金調達手段として急成長しており、日本の地方自治体においても地元の個人・中小企業の新たな資金調達手段として注目されている。

購入型には、「All or Nothing型」と「実行確約型」の2つのタイプがある。「All or Nothing型」は、目標金額に達した場合のみ起案者が資金を手にすることができ、目標金額に達成しなかった場合はプロジェクト不成立となる。「実行確約型」は、起案時にプロジェクトの実施を確約している場合には、目標金額に達していなくても調達した資金を手にすることができる。

購入型の魅力としては、原則的に金融商品取引法の規制対象ではないため、クラウドファンディングサイト運営者の審査を通れば、個人や団体・企業の規模に関係なく参入でき、支援者も誰でも簡単にインターネットを通じて投資することができるのだ。

一方、投資型は、金融商品取引法の規制対象であり、第2種金融商品取引業の登録が必要となる。寄付型は金融商品取引法の規制は受けないが、税制上で法人については一定金額までしか損金に算入されず、個人については控除が一切受けられない。

資金調達に活用したいクラウドファンディングの魅力!

クラウドファンディングを活用すると、無名のクリエイターや実績のない会社でも、良い企画・アイデアに共感してもらうことで、支援者や資金を集められる。

また、インターネットを利用することで、より不特定多数に情報が拡散・共有される。より多くの人にプロジェクトが知れ渡るので、一気にファンや支援者を獲得し、どのようなアイデアが世の中に共感されるのか知ることができるため、有効なマーケティングツールとなる。さらに、共感してくれた支援者に商品やサービスを使ってもらいアドバイスをもらうことで、さらなる新製品や新サービスの開発やアイデアの発掘にも役立つ。

クラウドファンディングでプロジェクトを成功させることは、起案者と支援者の両方にメリットがある。「支援して良かった」と思われるプロジェクトを手掛ければ、支援者との絆を深められるのだ。

魅力的なプロジェクトに支援!クラウドファンディングの主要サイト!

現在世界No.1のクラウドファンディングサイト

現在世界No.1のクラウドファンディングサイトと言えば「Kickstarter(キックスターター)」である。2009年4月にアメリカの民間企業が立ち上げ、2016年には10万件を超えるプロジェクトが成功し、累計20億ドル以上もの資金が集められた。「Kickstarter」では、自主製作の映画や音楽、コンピュータゲーム、食関連などから、さらにはロケットといった多種多様なプロジェクトが取り扱われている。これまでの資金調達最高額のプロジェクトは、腕時計型ウェアラブルデバイスの「Pebble Time」で、約20万ドル以上もの出資金集めに成功している。
腕時計型ウェアラブルデバイスの「Pebble Time」 Kickstarter(キックスターター)

日本の主要クラウドファンディングサイト

日本でも数多くのクラウドファンディングサイトが開設されているが、主要なサイトは、2011年に開設された「Readyfor(レディーフォー)」、「CAMPFIRE(キャンプファイアー)」、「MotionGallery(モーションギャラリー)」や2013年開設の「Makuake(マクアケ)」というサイトで、累計支援額の半数以上を占めている。

「Readyfor(レディーフォー)」「Readyfor(レディーフォー)」

2016年までの日本国内の資金調達最高額は、「Readyfor(レディーフォー)」で取り扱われたプロジェクトで約6,000万円が集まった。

そのほかにも、日本最大の寄付サイト「JapanGiving(ジャパンギビング)」や、映画、アート、音楽、本などクリエイターの支援を呼びかける「MotionGallery(モーションギャラリー)」、中小企業のものづくりを応援する「zenmono(ゼンモノ)」、地域活性に特化した「FAAVO(ファーボ)」などがある。

さらに、「kibidango(きびだんご)」、「WESYM(ウィシム)」、「GREENFUNDING(グリーンファンディング)」、「COUNTDOWN(カウントダウン)」など100を超えるサイトがあり、魅力的なプロジェクトが次々と提案されている。

国内主要クラウドファンディングの月次支援金額(市場規模)

国内主要クラウドファインディングの月次支援金額(市場規模)

引用:visualizing.info
参考:Kickstarter統計数字
参考:日本の主要クラウドファンディング累計支援額

利用する前に覚えておきたいクラウドファンディングのリスク

これまで良いアイデアがあるのに資金がないために諦めていたクリエイターや起業家が、
クラウドファンディングを利用することで、資金を集めることができるようになり、支援者は、今後成長していく可能性のある製品やサービスに、インターネットで少額から気軽に寄付や出資ができるようになった。

クラウドファンディングは、インターネット上で簡単にできるので初心者でもハードルが低く手を出しやすいが、当然ながらリスクがあることを知っておかなかければならない。

支援者にとってのリスク

資金が集まったもののプロジェクトが上手くいかず、出資したお金が有効に活用されないまま、出資先の企画が失敗する可能性がある。そうなった場合でも、出資した資金は基本的に戻ってこない。また、投資型クラウドファンディングは、投資期間中の売却や解約ができないので注意しなければならない。

投資型や融資型のクラウドファンディングでは、出資者への返済が滞り、貸し倒れや元本割れが起こる可能性があるので、出資を検討する際には、そのプロジェクトにおける保証や担保の有無、サイトの利用規約などをしっかり確認しておくことが重要となる。

さらに、クラウドファンディングを悪用し、集まったお金を持ち逃げする事例もあるので、
出資先が本当に信頼できる相手かどうかきちんと見極めなければならない。

クラウドファンディングにも様々なリスクが存在するが、こういったリスクから支援者を守る制度はまだ整備されておらず、出資する際には、リスクがあることを十分に認識しておく必要がある。

起案者にとってのリスク

クラウドファンディングでは、資金が目標金額に集まるまでに時間がかかり、確実な期間が明らかではないので、資金調達にかかる時間を見込んで計画を立てる必要がある。また、クラウドファンディングで資金調達に成功したとしても、プロジェクトが失敗する可能性があるので、資金調達後のプロジェクト計画も綿密に立てておかなければならない。プロジェクトの責任は、あくまでも起案者にあるのだ。

さらに、クラウドファンディングでは、新しいアイデアや開発途中の企画をインターネット上で公開するため、資金調達前にアイデアが盗用されてしまうリスクがあるので、クラウドファンディングに情報を公開する前に特許を出願しておくなどして、自分のアイデアや企画を守る必要がある。

クラウドファンディングで個人レベルの創業が活性化

支援者も起案者もリスクは当然あるが、双方にとって正しく活用できれば、これほど魅力的な仕組みはない。米国での資金調達規模には、及ばないまでも日本国内でも着実に成長しているクラウドファンディング市場。今後も様々なサービスの登場が期待でき、良いアイディア、製品/サービスがあれば、益々スタートアップの資金調達手段が増え、スタートアップ起業のハードルが下がることで、日本経済が活性化していく一つのきっかけになっていくのではないだろうか。

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