資本主義と対立する概念として一緒くたにして語られる事が多い共産主義と社会主義。ですが両者の考え方は微妙に違っています。今回は共産主義と社会主義の概要、歴史を一緒に見ていきましょう。

資本主義・社会主義・共産主義のあらまし

資本主義とは簡単に言えば、政府は生産、消費、契約などに一々口出しをしないので自由に生産してくださいね、と政府が民間、企業、家計(個人)に任せる制度です。政府は自由な取引を妨げる障壁を取り除くのが主な仕事で、それ以外は基本的にノータッチ、という考え方です。

資本主義制度は18世紀後半にイギリスで発生した産業革命をきっかけに作られたもので、この時代を代表するイギリスの経済学者アダム・スミスは、人々が自由に生産・消費することによって財の価格は全て最適な水準に調整され、資源は最も適切に配分されると、資本主義を擁護しました。

しかし、19世紀後半になると、不況による失業、資本家と労働者の貧富の差の拡大といった資本主義の弊害が明らかになり始めます。社会主義と共産主義は、どちらもこの問題を解決するために生まれた概念です。

共産主義と社会主義

広義の社会主義には「社会民主主義」と「ソ連型社会主義」の2つがあります。社会民主主義を社会主義、ソ連型社会主義を共産主義と呼ぶことが多いため、この記事でもそう呼んでいまます。

まずはわかりやすい共産主義(ソ連型社会主義)の方から説明してきましょう。共産主義は19世紀の経済学者カール・マルクスが有名にした概念で、簡単に言えば資本家が持っている私的な生産手段を社会的な共有資産にするという考え方です。生産手段を独占する人間が居るとその人間だけが富むようになるので、生産手段をみんなで持つようにすればいい、というわけですね。

みんなで生産手段を持つのですから格差は存在せず、したがって争いも起こらないため政府は不要になります。共産主義の行き着くところは無政府主義なのです。

そして、私的手段を共有資産にするための方法は暴力革命です。労働者が蜂起することによって生産手段の収奪を目論むわけです。

一方、社会主義とは革命ではなく、議会制民主主義を通じ、累進課税(所得が高い人ほど税率が高くなる仕組み)や福祉制度の強化によって平等な世界を目指す、という考え方です。あくまでも民主的な手続きを経るため、社会民主主義と呼ばれているのです。また、福祉制度の強化が基本理念であるため、政府は大きくなります。

社会主義と共産主義の実態

このように平等な社会を理想としていた共産主義と社会主義ですが、結果としてその目論見は失敗に終わりました。特に共産主義国家は平等という理想とは裏腹に一党独裁を強固なものにし、政府批判に対する弾圧が頻繁に行われるようになりました。

また、働いても賃金が上がらないため労働者の労働意欲の低下を招き、資本主義国家に経済力で大きく差をつけられることになりました。かつてはソ連や中国、東ドイツなどが共産主義を採用していましたが、どこの国家も共産主義のゴールである無政府状態にはたどり着けませんでした。1970年台には東欧諸国で資本主義化が起こり、ソ連は崩壊。中国も市場開放政策を実行するなど、多くの国が共産主義を放棄しました。

20世紀を代表する社会学者で、社会主義者でもあったミヘルスは、平等を標榜する社会民主党内でも少数の指導者が多数の大衆を指揮している、つまり平等にはなっていないという事実を目の当たりにし、社会主義政党に見切りをつけました。

大規模な組織では必ず少数が多数を支配するというミヘルスの見立てを寡頭制の鉄則と言います。社会主義、共産主義という理想は、無知で強欲な人間という生き物に手が出せるものではなかったようです。

社会主義政党と共産主義政党

とはいえ、社会主義的、あるいは共産主義的な考えがある程度国家の福祉を充実させた一面もあります。現在でも一部の国家には社会主義、あるいは共産主義を主張する政党が幾つか存在しています。一部の社会主義政党、共産主義政党は民主的な選挙で議席を獲得し、場合によっては与党の座についていることもあります。

例えば、ブラジル共産党は下院では15/513、上院では2/81しか無い少数政党ですが、連立政権の一員に加わっています。

日本の共産主義政党には日本共産党、社会主義政党には社民党があります。社民党は前身の社会党時代には長年野党第一党の地位を占めていましたが、近年は急速に支持を失っており、衆議院に2議席、参議院に2議席を持つのみになっています。

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