ここ10年程でFXの日本での認知度もずいぶん拡大しました。
基本的に24時間取引が出来るという事で「会社員が夜の少しの時間で副業としてFXをしたら本業の収入を超えてしまった・・・」「主婦が家事の合間にFXをしたら夫の収入を超えてしまった・・・」など、FXにまつわる夢の様なイメージが一時期世間に蔓延していた事も要因としてあげられるでしょう。
しかし実際は、FXトレードを継続出来ている人は1割にも満たないと言われています。
撤退している人達の多くが、「初めの内は勝てていたのに、ある時から勝てなくなった」と言っています。そうなった原因は、損切りが出来ない、張りが大きすぎる、など上げたらキリがない程考察できますが、その中でも特に日本人のトレーダーに多い失敗傾向があります。
日本人トレーダーが好きな逆張りとその難易度の高さ
相場の取引手法は、大きく分けて順張りと逆張りがあります。順張りは相場のトレンドに沿ってエントリーする、逆張りは相場のトレンドとは逆にエントリーするという手法です。それぞれに利点と難点があり、簡単にまとめると下記のとおりとなります。
メリット | デメリット | |
順張り | 発生しているトレンドに乗るため、利益が出しやすい | トレンドの反転時を見誤る事で、損失を被る可能性がある。 |
逆張り | トレンドの反転を狙うため、取れる利益が大きくなりやすい | トレンドの反転時を見誤る事で、損失を被る可能性がある。 |
デメリットが両方とも同じ文言ですが、その意味は真逆となります。順張りのデメリットはエントリーが遅れた時に起こり得ます。既に出ているトレンドの勢いに乗る事で、無難に利益を獲得できる事が順張りの強みですが、エントリーが遅いとそのトレンドの末期を掴んでしまう事にもなりかねません。そうなった場合、反転により大きな損失を被る事になります。
対して逆張りのデメリットはエントリーが早すぎた時に起こり得ます。
例えば相場が下降してきて、「そろそろ安くなってきたから買おう」と思ってエントリーしたら、まだ反転せず下がっていったというケースです。
そうなると消えていなかったトレンドの勢いに対し、逆にエントリーするという事になるので大きな損失を被る事となります。
どちらも一長一短ですが、結論から言ってしまうと”順張りの方が無難”です。
両方共トレンドの転換点というものがポイントになってくるのですが、順張りは極端に言ってしまえば、トレンド中なら一定以上値幅があればどのポイントでエントリーしても利益を取ることができるのです。
トレーダーの8割が逆張りで9割強が撤退する理由
対して逆張りはエントリーのポイントをシビアに定めなければなりませんので、どうしても難易度が高くなります。しかし、日本では8割のトレーダーが逆張りを多用すると言われています。
これは特に年配の投資家に言える事ですが、日本で証券投資といえば今も昔も個別株式の現物取引が主流です。
現物投資にはFXの様に証拠金維持の概念が無いので、もし自分のエントリーに対し相場が逆に向かって損失を含んでも相場が戻ってくれば利益になるという事になります。いわゆる塩漬けです。
この感覚が日本の特に年配のトレーダーには根付いており、「安い頃だ」という値ごろ感で逆張りトレードをするという事です。
しかしFX(証拠金取引)では、維持率低下による、追証・ロスカットが存在しますので、塩漬けの概念はまかり通りません。これも9割強のFXトレーダーが相場から撤退している大きな理由でしょう。
トレンドの節目を見極めるための手法とは
先述では、順張りトレードにおいてトレンドの末期でエントリーしてしまい損失を被るという難点を挙げました。
回避するためには単純にトレンドがどこまで続くのかを見極める必要があります。しかしそれは逆張りのエントリーポイントを見つける事と同様であり、非常に難解です。ならばせめてある程度の目安を付けたいところですが、相場には節目を判断する概念がいくつも存在するため、どれを自身の指標とするか迷うところです。
そこで概念の一つに、ゾーンというものがあるので紹介します。ゾーントレードは非常に有効、且つ最も基本的な手法です。ゾーンの捉え方もまた人により様々ですが、簡単にチャートで表示すると下記の様になります。
これは、いわゆる直近で相場が反転している部分にラインを引いたものです。
この「ラインが引かれている水準で過去に反転した」という事実は、相場参加者の意識に刷り込まれます。そしてやはり当水準では売り買いが交錯しやすくなります。
しかしこのラインを超えた場合、相場は次のラインに向かって勢いよく進む傾向があります。
このラインとラインの空間をゾーンと呼びます。
この様に、チャートをゾーンで区切って取引する手法をゾーントレードと呼びます。ゾーンで区切る事で、現レートがどの様な水準なのかを判断できる基準が創れます。
これでトレンドの末期で順張りエントリーをしてしまうという事は格段に減らせるはずです。実際のトレードにおいての使い方も人それぞれですが、手堅い手法が一つありますので先ほどのチャートで実践してみたいと思います。
上記のケースでは、相場が下のゾーンからラインを超えて上のゾーンに入ってきた時に順張りで買いのエントリーをします。
ラインを超えればそこはゾーンの中の安い水準となりますし、ライン際で待ち構えていた売り手のストップを巻き込むので上昇がさらに加速します。
先述の順張りの利点を生かして、この勢いに乗ります。そしてゾーンの上限のラインに到達したらそこでエグジットしてしまいます。もちろんそのラインも上抜ける可能性はありますが、基本的にライン際は売り手が待ち構えている事が多いので反落する可能性も充分あります。
それなら今含んでいる利益を確定してしまい、もしその後ラインを上抜けたのなら再度買いでエントリーをした方良いでしょう。スプレッド分は損をしますが、これを繰り返す事で手堅い利益を積み重ねていく事が出来ます。
ゾーンのライン際は逆張りでのエントリーの目安としても使えますが、相場の勢いがもし消えていなかった場合は、逆方向にラインを超えてしまうので勢いよく損失を被ります。それであればラインを超えてきた勢いに乗った順張りの方が手堅いと思われます。
«記事作成ライター:神川 龍人»
大手邦系証券会社にて国際事務部門・FXブローカーにてフロント業務、及びカバーディーリング業務に従事・邦系ファンドにて運用業務に携わる。
現在はプロップハウスにてトレーダーとして従事しながら、マーケットに経済系セミナー等の講師も随時務める。
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