FXではトレードしようとする通貨ペアに明確なトレンドが出ているかどうかを把握することがきわめて重要です。
今回はそんなトレンド把握ツールとして標準偏差の使い方をご説明します。
たとえFXの相場が大きく上下するような市場であっても、トレンドが出ていない状況というのは安易にエントリーしてしまいますと、結局買っても売ってもやられてしまうという非常に厳しい局面に追いやられてしまうことが多くなるものです。
これを防いで確実な取引を実現するためにはなんといってもトレンドが相場に出ているのかどうかをしっかりチェックすることが非常に重要になります。
今回はこうしたトレンドを見極めるために標準偏差を利用してみることを考えてみたいと思います。
標準偏差はあまり利用されないチャートですがほとんどのFX業者のチャートにすでに実装されていますので、使う気になればすぐに利用が可能です。
標準偏差とは
標準偏差はオシレータ系のチャートであることは間違いありませんが、一般的なRSIやRCI、モメンタムといったもののように買われ過ぎ、売られ過ぎといったものを知らせるものではなく、複数の期間の引け値と平均価格との間の差を統計的に測定したものということができます。
この標準偏差は学校の入学試験のための模擬テストなどにも出てくるもので標準偏差が大きくなりますと市場のボラティリティは大きくなるのが一つの傾向です。
細かい式を知っておく必要は全くありませんが、一応理解を促進するために記載しておきますと・・
まず、あらかじめ設定された直近 n 期の中値の平均を計算してみますと以下のような式になります。
MAn = (MP(t) + MP(t-1) + …+ MP(t-n+1) ) / n
ここで、 MP(t) は直近の中値、n は対象となる期の数となります。
これを受けて標準偏差を次のように計算されることになります。
標準偏差= Sqrt( ( (CP(t))^2 + (CP(t-1))^2 + …+ (CP(t-n+1))^2 ) / n )
ここで、CP(t) は直近期の引け値、「Sqrt」は平方根、「^2」は二乗となります。
実際に利用する場合にはチャートを見るだけですからどのように計算しているかを理解している必要は全くありませんが、こんな方程式で計算された値を基にしてチャートが生成されているということは理解していただきたいと思います。
標準偏差の使い方について
実際にこの標準偏差を他のチャートと組み合わせてみますと次のようになります。
※標準偏差利用例
これは一番上の段にボリンジャーバンド、二番目がRSI、そして一番下が標準偏差という構成になります。
同じオシレータ系でもRSIと標準偏差はまったく形が異なっていますが、RSIの場合には上に上がれば買われすぎ、下に下がれば売られ過ぎを示しておりこれをみれば逆張りのエントリーができることになります。
しかし相場の上昇はたまたま起きているだけのことも多く、それがトレンドの出ている状況かどうかはまったく別のものともいうことができます。
そのため、相場の方向に勢いがしっかりとしたトレンドがでているのかを並行して確認するために標準偏差のチャートを確認していくことになります。
まず、チャートの方向性は相場の勢いの強さを示唆するものですから、上昇すれば上方向に上がるとうことではなく、あくまでも強さだけを示しています。
したがってこのチャートが下から上昇し始めるときにトレンドが発生しやすくなり、上まで上昇するとそのトレンドがかなり強くピークを迎えようとしていることが理解できるのです。
相場が上昇しようとしているのか下落しようとしているのかについては元のチャートと見比べて標準偏差が上昇するときに傍が上がる方向にトレンドが出ていると認識すればいいことになります。
もちろんこの標準偏差にもダマシは発生します。チャートが低いところから上昇しようとしても途中で垂れてきてしまいますと相場にはトレンドが発生せずに終わったことが示唆されることになるのです。
オシレーター系チャートとの併用が必須
この標準偏差をうまく使いこなすためには当然ほかのオシレータ系のチャートと並行して見比べてみて相場が上昇、下降しているとオシレータ系のチャートが示している際にそれがトレンドを伴っているのかどうか確認する作業を行ってポジションをつくるのが重要になります。
一般的には日足などでも出ることが多くなり、標準偏差のパラメータは26日(約1か月)に設定するのがもっとも利用しやすいと言われています。
もちろんそれよりも短くや長く設定することも可能ですが、短いとトレンドは騙しになりやすく、逆に長く設定しすぎますとトレンドがなかなか現れないという問題が生じることになりますので、自分でもっとも使いやすいようにパラメータはチューニングしてみることがお勧めとなります。
またいろいろ利用してみますと、1時間足以下の短い時間足でもそれなりに機能することが確認されておりますので、短期のトレードにも利用は可能になります。
日足以上でトレンドがでるのは年間2回ほど
一般的にドル円など主要通貨ペアでも明確な大相場のトレンドが出るのは日足ベースで年間せいぜい2回といわれていますから、あまり長い時間足で標準偏差を利用した順張りのトレンドフォロー型売買をしようとしてもエントリーチャンスはそれほど到来しないことになります。
しかし逆に4時間足、1時間足といった短い時間足や5分足などのチャートを使っても、ごく短時間のトレンドは認識することが可能となりますので、そんな使い方をしてみるのもお勧めになります。
短い時間足チャートも毎回見てチェックしていますとどこがエントリーチャンスなのか自然に確認できるようになってきて、スキャルピングに近いようなトレードであってもその精度はかなり上昇することが期待できます。
※5分足を使った標準偏差チャート組み合わせ
トレンドのない相場状態はランダムな動きになりやすい
標準偏差のチャートがすっかり下のほうに寝てしまい、まったく上昇の動きを見せない段階で、MACDやRSIなどのオシレータ系ツールが大きく上昇している場合は、あきらかに一時的なもので経済指標や要人発言などに振らされていることが考えられ、そのうちに急に相場が反転するリスクも高まりやすくなります。
こうした状況でエントリーしてしまいますと急騰や急落に巻き込まれやすく損失が発生しやすくなりますのでかなり注意が必要になります。
オシレータ系ツールとの相性はどれが良い悪いということはありませんが、使い慣れているものに標準偏差を付け加えるという発想が間違いのない使い方になります。
こうしたツールは単なる請け売りではなく、自分でしっかり使ってみて納得がいかなくては意味はありません。すべての判断はトレーダー自身が行うわけですから、そこでしっかり自己判断できるツール認識できればさっそく使ってみることがお勧めとなりますが、どうもしっくりこないということであれば無理をしてまで利用するという代物ではないことも認識しておきたいところです。
このコラムでもご紹介しておりますとおり、AIを使ったアルゴリズムは長い時間足のチャートから短い時間足のチャートまでくまなくチェックして相場にトレンドがでているかどうかを確認しながら順張りでその相場についていこうとしますので、裁量取引を行う個人投資家も今後は相場にトレンドがでているかどうかを知ることは非常に重要になります。
チャートにトレンドラインを引いてももちろん理解はできますが、その強さとか勢いといったものはこうした標準偏差のお世話になることがより確実な方法ということができます。
是非一度試してみてはいかがでしょうか。
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