「今が住宅ローン金利の底、借り時だ」と言われ続けて数年。その数年前に借りた住宅ローン金利さえ高いと感じる程、低金利の時代になった。その結果、「借り換え」という言葉を様々な場面で耳にする。そもそも「借り換え」とは何か?

【住宅ローンの借り換えとは?】

現在住宅ローンを組んでいる金融機関のローンを全て返済して(完済)他の金融機関の住宅ローンに新たに組み換えることである。(例外として、元の住宅ローンと借り換え後の住宅ローンが同一金融機関の窓口であっても住宅金融支援機構の住宅ローンは同一金融機関の住宅ローンへの借り換え対象となる。)

《借り換えの例》
① A銀行住宅ローン → B銀行住宅ローン ◯
② A銀行窓口の住宅金融支援機構住宅ローン(フラット35含む) → A銀行 または B銀行住宅ローン ◯
③A銀行住宅ローン → A銀行住宅ローン ×
④A銀行住宅ローン → フラット35 ◯
⑤フラット35 → フラット35 ◯ 等

上記③を見るとわかる通り、同一金融機関内での借り換え(自行内借り換え)は基本的には禁止する傾向にあり、借り換え対象にはならない。しかし、例外として住宅金融支援機構のフラット35の商品に関しては民間の銀行住宅ローンと異なり、⑤のようにフラット35からフラット35への借り換えも可能となっている。

【借り換えのメリット】

①現在の住宅ローンをこのまま返済継続するよりも利息が軽減され、総返済額が少なくなる。
②金融機関によって異なる手数料やサービスを見直し、変更出来る。

借り換えすることの最大の利点は、大きな節約が出来る可能性が出てくることだ。
住宅購入時には不動産会社の人が率先して住宅ローンの手続きを進めてくれて気が付いたら住宅ローンの契約というケースも少なくないだろう。借り換えとなると、自分自身で一から手続きを進めなければならない。そんな中、上記に挙げた借り換えのメリットを見て是非住宅ローンを見直しして欲しい。何よりも①について、日々コツコツと節約しているよりも、借り換えという少々手間のかかる手続きを乗り越えることによって何万という金額が節約出来る可能性が出てくるのだ。ただ、現在の住宅ローン借入者が全員借り換えをすることでメリットが出るわけではないので注意して欲しい。
では、どのような人が借り換えをしてメリットが得られるのかみていこう。

【借り換えを検討した方が良い人】

住宅ローンの借り換えは現在の住宅ローン残高が1,000万円以上、残りの返済年数が10年以上、現在の金利と借り換え後の金利の差が1.0%以上開いていれば、諸費用をかけて借り換えをしてもメリットが出るケースが多いと一般的に言われている。勿論、個々の住宅ローンを見てみると、取り分けこの三点全ての条件が当てはまらなくてもメリットが出ることもある。
金融機関では実際に現在の住宅ローンをそのまま最終返済日まで継続した場合と、諸費用(保証会社に支払う保証料、事務手数料、契約印紙代、登記費用(抵当権抹消、設定費用)、現在の住宅ローンを完済する時にかかる完済手数料等)をかけて借り換えをした場合にどのような差が出るのか具体的なシミュレーションを提示、説明してくれるはずだ。借り換えをする際にも住宅購入時の住宅ローンと同じように金融機関への申込、審査、契約、諸費用の支払い、担保物件の登記等の手続きが避けられない。そのため、借り換えが完了するまでに早ければ数週間、遅ければ数ヶ月かかることもある。
金融機関の窓口で相談する以外にも、インターネット環境があれば各金融機関のホームページ上でシミュレーションをすることも可能だ。どちらにしても借り換えシミュレーションを作成する場合には手元に現在の住宅ローン返済明細表(現在借入中の住宅ローンに関する借入金額、金利、返済期間、毎月返済額、ボーナス返済額、現在の残高等が記載してある)を用意しておくと役に立つ。

【借り換えシミュレーション】

では、具体的なシミュレーション例を見てみよう。

《例》
当初借入金額 : 2,500万円
当初借入期間 : 35年
当初金利 : 3.29%(全期間固定金利)
毎月返済額 : 100,302円(ボーナス併用なし)
総返済額 : 約3,250万円

↓8年経過後、下記内容で借り換えした場合

残高(借り換え後借入金額) : 2,152万円
残年数(借り換え後借入期間) : 27年
借り換え後金利 : 1.46%(全期間固定金利)

毎月返済額 : 80,408円(ボーナス併用なし)
総返済額 : 約2,606万円
諸費用 : 約60万円

現在の住宅ローンと比較して

毎月返済額▲19,894円
総返済額▲584万円(諸費用約60万円分差引後)
毎月の返済額は、年間で考えると約23万円の節約、総返済額に至っては約580万円節約という驚きの結果である。

また、現在の住宅ローンと同じぐらいの毎月返済額で借り換え後も返済を希望する場合、返済期間を短縮することも出来る。その場合、

借り換え後借入金額 : 2,152万円
借り換え後借入期間 : 21年(現在より6年短縮)
借り換え後金利 : 1.46%(全期間固定金利)

毎月返済額 : 99,206円(ボーナス併用なし)
総返済額 : 約2,500万円
諸費用 : 約60万円

この場合には、
総返済額▲690万円(諸費用約60万円分差引後)の節約が出来る。
諸費用は各金融機関によって異なるため、仮定であるが、諸費用を仮に100万円としてもメリットは大きい。

【借り換えシミュレーションの罠】

借り換えシミュレーションの中で1番に注目する点は総返済額である。しかし、シミュレーションはあくまで仮の計算であって、選択する金利方式によって異なる。上記の例に挙げたような現在の住宅ローン金利が全期間固定金利、借り換え後の住宅ローン金利も全期間固定金利という金利方式であれば、シミュレーション結果は納得だ。しかし、変動金利方式や固定金利選択方式の場合には注意が必要だ。今後、金利変動リスクがあるからだ。そのため、借り換え後、目先の金利が低い変動金利方式や固定金利選択方式を選択する場合には、シミュレーションはあくまで今後ずっとこの金利で変わらないと仮定した場合の毎月返済額、総返済額等であることを理解しておく必要がある。

借り換え後の金利を選ぶ際の参考に金利方式についてまとめておく。

『金利方式について』

《変動金利方式》
(毎月の返済額や各種手数料を抑えたい人、今後金利は上がらないと考える人、金利動向を小まめにチェック出来る人向け)
年二回、短期プライムレートに連動して変動する金利。金利は年二回見直しが行われるが、返済額は五年に一度変更される。つまり、毎月同じ金額を返済していても、金利が上昇した場合には、利息を多く支払っていることになる。また五年に一度返済額が見直されるが、変更後の返済額は現在の返済額の1.25倍までと上限が設けてある。この1.25倍の上限には目先の返済額が大きく変わらない安心感があるように思われるが、返済額が大きく増えない分、金利が大きく上昇した場合に元金どころか利息のみしか支払っていない状態になることもある。金利が上昇しない場合には低金利で返済出来る。

《固定金利選択方式》
(低い金利で一定期間固定することによって直近数年間の毎月返済額を抑えたい人、金利は今後上がらないと考える人向け)
選択した固定金利期間が終了すると、変動金利方式または再度固定金利選択方式に切り替えをすることになる。後者の場合には金利切り替え手数料がかかる場合も多く、当初借入した時の金利よりも高くなることもある。

《全期間固定金利方式》
(変動金利方式や固定金利選択方式よりも金利は高いが、安定重視の人向け)
当初借入から最終返済日までずっと同じ金利が適用になる。

【借り換え検討の留意点】

シミュレーションの結果、借り換えを希望する場合に留意する点が4点ある。

①借り換えをして金融機関が変わると、団体信用生命保険にもう一度加入申込をする必要がある。住宅購入時には健康で何も告知事項がない人でも、返済中になんらかの病気になって告知事項が「有り」になり、生命保険会社の審査結果、団体信用生命保険に加入出来ないケースもある。その場合には、住宅ローン自体は申込可能であるが、団体信用生命保険に加入出来ない代わりに配偶者等が連帯保証人にならなければいけない等の条件がつくことになりかねない。つまり、団体信用生命保険に加入した場合は本人に万が一のことがあった場合には保険会社の保険金によって住宅ローン残高が0になるが、加入出来なかった場合には連帯保証人(専業主婦であっても)が返済を継続することになる。ちなみにフラット35の場合は、団体信用生命保険加入が任意となっており、加入する際には別途団体信用生命保険料を支払う必要がある。

②借り換え申込時点で、現在の住宅ローンの他に別のローンやキャッシング等をたくさんしている、現在の住宅ローンの返済中に延滞が発生してしまった等の理由により、借り換えの審査が通らない場合があることを認識しておこう。

③借り換えにかかる諸費用に関しては、新しく住宅ローンを組み直す時に、手持ち金で支払う、または住宅ローンに上乗せする方法も選べる。金融機関によって、保証会社に支払う保証料や事務手数料が異なる。都市銀行の保証料は借入金額の0.2%、事務手数料32,400円のところが多く、ネットバンクでは保証料0円のところもあり、金額の設定が金融機関によって大きく異なる。

④借り換え先の金融機関によって繰上返済手数料や金利切り替え手数料等が異なる。

上記内容も含めて、現在の住宅ローンを借り換えした方が良いと思う人は是非一度検討してみることをおすすめする。

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