低金利の今、住宅ローンを新規で借入れしようとしたときに、長期固定金利を選ぶ人は多い。 変動金利が今後もずっと変わらないと仮定して長期固定金利と比較をするとどうしても金利は高くなるが、この先長い借入期間中の金利がずっと変わらないという強い安心感がある。

借入全期間同じ金利がずっと適用になる住宅ローンは大きく分けて2つ、民間金融機関の住宅ローンと住宅金融支援機構のフラット35だ。フラット35の商品が出始めた時、民間金融機関はフラット35のように全期間固定金利の商品はほとんど無かった。しかし、フラット35が導入されるようになり、民間金融機関も続々と全期間固定金利商品を開発、金利推移も低くなった。
では、借入全期間固定金利を希望した場合に民間金融機関の住宅ローンとフラット35、どちらを利用した方が良いのだろうか?両者の商品性を比較しながらみていこう。

《民間金融機関》

現在(2016年12月)長期固定金利推移が低い三菱UFJ信託銀行の住宅ローンを例にする。

借入金額 50万円以上1億円以下(10万円単位)
借入期間 1~35年(1年単位)
金利 変動金利、一定期間固定金利、全期間固定金利
返済方法 元利均等返済、元金均等返済
借入対象住宅 保証会社の担保調査基準による
資金使途 本人または家族が居住するための、土地・住宅の購入資金、建物の新築・増改築資金、借地中の土地(底地)の買上資金
保証人 不要(保証会社保証)
保証料 借入利率+0.2%
事務手数料 32,400円
団体信用生命保険 必須加入、無料
火災保険 長期火災保険に原則加入
繰上げ返済手数料 無料(インターネット利用時、完済時固定金利期間中32,400円)
インターネット利用時、1万円以上から繰上げ返済可能

《フラット35》

借入金額 100万円以上8,000万円以下(1万円単位)
借入期間 15~35年(1年単位)
金利 全期間固定金利。融資率(90%以下か90%超)によって借入金利が異なる
返済方法 元利均等返済、元金均等返済
借入対象住宅 住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合している住宅。住宅の床面積が、一戸建て住宅、連続建て住宅、重ね建て住宅の場合:70m2以上、共同建ての住宅(マンションなど)の場合:30m2以上
資金使途 本人または親族が住むための新築住宅の建設・購入資金または中古住宅購入資金
保証人 不要
保証料 無料
事務手数料 金融機関によって異なる(3~5万の定額や融資額×2.1%等)
団体信用生命保険 任意加入、有料
火災保険 借入期間、借入金額以上の火災保険に必須加入
繰上げ返済手数料 無料、インターネット利用時10万円以上、窓口100万円以上から可能

※フラット35は住宅金融支援機構の商品であるが、住宅金融支援機構の窓口に行ってフラット35の申込みをするわけではない。申込みを希望する場合には、フラット35の取り扱いがある民間金融機関で手続きをする。その際、事務手数料等は各金融機関が独自に設定しており、異なるので注意しなければいけない。

住宅ローンの比較ポイント

1) 資金使途について

民間金融機関はリフォーム費用も対象になるのに対して「フラット35」は対象外となる。また、注文住宅等、土地を先に購入して後から建物を建てる場合、土地資金のみを先にフラット35で借入れすることはできない。その場合には、先行する土地の分だけ先に民間金融機関の住宅ローンか自己資金で賄う必要がある。

2) 期間について

民間金融機関は最低借入年数1年からであるが、フラット35は15年以上なので、返済年数を短く組みたい人は注意が必要だ。返済期間が短い人は一定期間固定金利(3、5、7、10、15年固定)の商品を全期間固定金利に置き換えて考えることも出来るため、比較してほしい。

3) 保証料、事務手数料について

民間金融機関は保証会社の保証となるため、保証会社に保証料を支払う必要がある。その額は借入利率+0.2%、または借入時に一括前払いすることも出来る。フラット35の場合には保証料は無料。民間金融機関の事務手数料は(都市銀行の場合)32,400円のところが多く、フラット35は取り扱い金融機関によって異なり、ネット銀行は融資額×2.1%のところも多い。

4) 団体信用生命保険について

民間金融機関は団体信用生命保険への加入が無料(金融機関負担)で必須加入であるのに対して、フラット35は有料で任意加入である。団体信用生命保険料は住宅金融支援機構ホームページ上の「特約料の年払い額の目安」によると、借入金額1,000万円、年3%の元利均等返済で返済した場合、返済期間35年で総額約75万円。借入金額が2,000万円の場合、特約料は2倍の約150万円。

5) 借入対象住宅について

民間金融機関は担保物件について基本的には保証会社が独自に審査基準を定めて審査する。その内容については各金融機関の住宅ローン商品概要説明書に具体的に明記されていない。しかし、フラット35については、機構が定めた技術基準に適合していなければならない。床面積の最低面積も明示されている。そのため、検査機関が発行する適合証明書を提出しなければ、フラット35を利用することが出来ない。

では、実際に金利、諸費用等を踏まえた上でシミュレーションをしてみよう。

借入金額3,000万円
民間金融機関 対 フラット35
シミュレーション

※借入期間35年、全期間固定金利、元利均等返済で返済した場合とする。(2016年12月現在)

民間金融機関
三菱UFJ信託銀行
フラット35
楽天銀行
全期間固定金利 1.24% 1.10%
(融資割合90%以内)
毎月返済額 88,082円 86,091円
総返済額 36,994,448円 36,157,985円
団体信用
生命保険料
0円 2,041,200円
保証料 618,360円 0円
事務手数料 32,400円 324,000円
(借入金額×1.08%)
総負担額 37,645,208円 38,523,185円

金利だけを比較すると民間金融機関:1.240%、フラット35:1.10%なので、フラット35の方が良いが、細かい諸費用をみていくと、フラット35の方が民間金融機関ローンよりも877,977円負担額が多かった

もちろん、金融機関の商品内容によってシミュレーション内容は変化するが、今回、長期固定金利の金利水準の低い三菱UFJ信託銀行の内容とフラット35の金利水準の低い楽天銀行の内容を比較することによって、目先の金利が低いだけでは必ずしもメリットが出るというわけではないことがわかる。

民間金融機関とフラット35の違いはやはり団体信用生命保険料の支払いの有無が大きく関わっているであろう。考え方によっては、フラット35は団体信用生命保険に任意加入となっているため、必ず加入しなければならないわけではない。例えば、住宅ローンを組む前に住宅ローン返済に十分な保険金額の生命保険に加入している場合には、団体信用生命保険に加入しなくても不安が無いという人がいるはずだ。その場合には、保証料がかからないフラット35を利用する方が得である。

民間金融機関と住宅金融支援機構の審査について

一般的に、民間金融機関の住宅ローンよりも住宅金融支援機構のフラット35の方が審査が通りやすいと言われている。申込みする人が、転職後間もない、今回の住宅ローン借入以外にもその他のローンがたくさんある、キャッシングを利用している、過去に延滞をしたことがある等の理由がある場合にはどちらの金融機関でも慎重に審査をすることになるが、フラット35の方が比較的寛容であるため、民間金融機関のローンが通らなかった場合にはフラット35の審査を試してみても良いだろう。

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