投資信託で買える金融商品をファンドと言います。投資信託で成功するかどうかは、どのファンドをどのような割合で買うかによって決まると言っても過言ではありません。今回は投資信託で買えるファンドの種類と、年齢や年収、リスク許容度など個々の事情に応じた適切なファンドの買い方を紹介していきます。

初心者が押さえておきたい4つのファンド

投資信託の初心者が最初に押さえておきたいファンドは全部で4つ。すなわち「国内債券ファンド」「国外債券ファンド」「国内株式ファンド」「国外株式ファンド」です。この4つの仕組みやリスクとリターンの関係性などを知ることができれば、投資信託初心者は卒業です。

債券ファンドは債券に、株式ファンドは株式に投資するファンドです。そして、国内と名がついているものは国内(日本)を、国外と名がついているものは国外を投資の対象にしたファンドです。つまり、国内債券ファンドとは国内の企業が発行している社債や地方が発行している地方債、国が発行している国債などに投資するファンドで、国外株式ファンドは国外の企業が発行している株式に投資するファンドです。

国内ファンド国外ファンドはどう違う?

国内を投資対象にするファンドと、国外を投資対象にするファンドでは、後者のほうがハイリスクハリイターンな傾向にあります。国外に投資する場合は、為替変動の影響を大きく受けるからです。円安になれば債券や株式の価格が変わらなくても利益が出ますが、逆に円高になると損失が出てしまいます。

また、国外には日本と比べると治安や金融システム、国家財政などが不安定な国もあります(新興国では特にその傾向が顕著です)。そうした国に投資する場合は、突然ファンドが換価できなくなってしまったり、国自体が破綻してしまったりする可能性もあるので注意が必要です。

反面、国外には日本よりも高い経済成長が見込める国もあります。特にいま勢いのある新興国はその傾向が強く、そうした国に投資するのはハイリスクな反面ハイリターンでもあります。ローリスクローリターンを狙うなら国内に、ハイリスクハイリターンを狙うならば国外に投資することをおすすめします。

株式ファンドと債券ファンドはどう違う?

株式は価格変動が大きい、つまりリスクが高い反面、高いリターンも期待できます。一方、債券は価格変動は小さいものの、リターンも小さいです。ローリスクローリターンを狙うなら債券に、ハイリスクハイリターンを狙うならば株式に投資することをおすすめします。

ポートフォリオの組み方

金融資産の組み合わせや配分のことをポートフォリオと言います。基本的に、よほど凝った投資をするのでない限りは、前述の「国内債券ファンド」「国外債券ファンド」「国内株式ファンド」「国外株式ファンド」でポートフォリオを埋めることなります。問題はこの4つのファンドをそれぞれどのような割合で割り振るかです。

投資の世界で安定的に収益を生みやすいとされているポートフォリオは、株式の割合を「100-年齢(%)」にする、と言うものです。例えば、年齢が20歳の場合、株式の割合は100-20=80%にして、残りの20%を債券にする、と言った感じです。40歳の場合は、株式が60%、債券が40%となります。

この方法に沿って投資をした場合、若い内は株式の割合が大きく、年をとるに連れて債券の割合が大きくなっていきます。つまり、若いうちのほうがハイリスクハイリターンな投資をすることになります。これは理にかなっていることです。

短期的に見た場合、損失を出しやすいのは株式ファンドです。一方、長期的に見た場合に高い平均収益率を達成しやすいのも株式ファンドです。つまり、長い時間投資ができる人ほど、株式ファンドが向いているということになります。長時間投資ができる人とは要するに若い人なので、若い人ほど株式ファンド中心に組んだほうがいいというわけです。

一方、ある程度歳を重ねた人はそれ以上資産を大きく増やす必要はないため、より安全性の高い債券ファンドにポートフォリオを組み替えていったほうがいいということになります。

後は自分のリスク許容度に応じて、海外に投資するか国内に投資するかを決めます。

1つですべてが済ませられるバランスファンド

上記の4つのファンドを一々選ぶのが面倒だという方には、バランスファンドがおすすめです。バランスファンドとは、1つのファンドに国内債券、国外債券、国内株式、国外株式の2つ以上が組み込まれているファンドです。大抵の場合は4つすべてが網羅されているため、1つのファンドで手軽にリスク分散ができるのがメリットと言えます。反面、自分がどのような資産を持っているかがわかりづらい、手数料が高いと言ったデメリットもあります。

特殊な株式・債券ファンド

株式ファンドの中でも、大企業の株を中心に買うファンドを大型株ファンドと言います。大企業の定義はファンドによってまちまちなのでなんとも言えませんが、時価総額や資本金などを目安にすることが多いようです。逆に中小企業の株を中心に買うファンドは中小株ファンドと言います。

大型株ファンドの特徴は、リスクが小さいことです。大企業は歴史が長いため信頼性があり、株式発行数も多いため、株価の下落幅は小さくなります。反面、すでにある程度成長した企業がほとんどであるため、ここからの大きな伸びは期待できません。逆に中小株ファンドはリスクが高いものの、成長性には期待できます。

また、外国株式ファンドの中でも、先進国の企業の株を中心に買うファンドを先進国株ファンド、新興国の株を中心に買うファンドを新興国ファンドと言います。先進国は金融システムや政治情勢などが安定しているため比較的低リスクですが、すでに成長しきった国が多いためあまり高い利回りは期待できません。逆に新興国は金融システムや政治情勢などに不安があるものの、高い成長率が期待できます。

債券の中でも、国債や地方債を中心に買うファンドを公共債ファンドと言います。発行元が民間企業ではなく国や地方自治体であるためリスクは非常に小さいですが、その分利回りも低く、大きく資産を増やすのには向いていません。

債券の中でも比較的高利回りな債券に投資するファンドをハイイールド債ファンドと言います。ハイイールド債とは日本語に直すと高利回り債で、明確な定義はありませんが、一般的には格付け機関の格付けが低い債券のことを指すことが多いようです。格付けが低いため債券ファンドとしては比較的ハイリスクですが、その分ハイリターンが期待できます。

現物に投資するファンド

現物の中でも日本や世界の不動産に投資するファンドを不動産ファンドと言います。不動産に直接投資するのと比べて、遥かに小さい金額から投資が始められるのが大きなポイントです。不動産ファンドのリスクとリターンは、株式ファンドと債券ファンドの中間ぐらいです。株式や債券とはまた異なる動きをするため、リスク分散を図る上でも有効です。

石油、貴金属、鉱物などの商品に投資するファンドをコモディティファンドと言います。コモディティ詩情は株式市場と比べると市場規模が小さいので値動きが激しく、総じてハイリスクハイリターンと言えます。株式や債券の価格とは無関係な動きを見せることも多く、リスクヘッジ効果もあります。

インデックスファンドとアクティブファンド

ファンドを投資対象ではなく投資スタイルで分類する場合、インデックスファンド(パッシブファンド)とアクティブファンドに分類することができます。インデックスファンドとは、世の中に存在する様々な指標(日経平均株価、TOPIX、ダウ平均など)連動するように配分されたファンドのことです。

言いかえれば、市場の平均を目指すファンドです。一方、アクティブファンドとは、これらの指標を上回るように工夫するファンドです。

平均を目指すインデックスファンドと平均を上回るように工夫するアクティブファンドならば、後者のほうが有利にも思えますが、一概にそうとも言えません。

まず、アクティブファンドはインデックスファンドと比べて運用にかかるコスト(信託報酬)が高いというデメリットがあります。アクティブファンドは収益が多く上がりそうな銘柄を調査した上で作るもの出るため、どうしてもコストがかかってしまうのです。購入手数料もアクティブファンドのほうが高い傾向にあります。

また、市場の平均を上回るように工夫したからと言って、必ずそれが達成できるというわけでもありません。アクティブファンドを買う上では、そのようなことに十分留意する必要があります。

ファンドを買う際の注意点

さて、このように世の中にはたくさんのファンドがあるわけですが、この中から自分にあったファンドを選ぶためにはどうすればいいのでしょうか。

まず、いきなりファンドを選ぼうとせず、アセットクラス(同じようなリターンやリスクの傾向を持つ投資対象の分類)を決めるといいでしょう。アセットクラスは「国内株式」「国外株式」「国内債券」「国外債券」「国内不動産」「国外不動産」「貴金属」「エネルギー資源」と言った感じで分けることができます。

一般的に、資産運用はどのアセットクラスにどの割合で資産を振り分けるかで収益の8割が決まるとされています。一方、個別銘柄の選択が収益に与える影響は2割程度です。詰まり、正しいアセットクラスが選べれば、どのファンドを選んでも大体大丈夫、というわけです。

投資信託初心者の方は、まずは「国内株式」「国外株式」「国内債券」「国外債券」の4つに投資することを考えたほうがいいでしょう。前述の通り、株式の適切な割合は100-年齢(%)です。

株式や債券と違う動きをするファンドがほしいという場合は、不動産ファンドがおすすめです。不動産は株式ほど値動きが激しいものではないため、急激に下落することはあまりありません。

世界中に投資してリスク分散

投資信託で安定的な利益を上げたいのならば、日本のみならず世界中に投資することをオススメします。同じ株式であっても、日本と外国では値動きが必ずしも連動しません。日本では株価が下がっても海外では上がるということはありえますし、その全く逆もありえます。日本と外国の両方に投資することによって、保有するファンドが一気に下落する可能性を小さくすることができます。

また、外国と一口に言ってもアメリカのような先進国から、中国やロシアのような新興国など、色々あります。経済規模や地域を分散させることによって、よりリスクヘッジが進みます。

インデックスファンドは手数料と運用年数、純資産がポイント

インデックスファンドはどれを選んでも運用成績は似たようなものになりがちです。ある指標に連動するように運用するのですから、当然といえば当然です。

インデックスファンドで個性が出るのは手数料です。インデックスファンドの手数料は買付手数料(ファンドを買う際の手数料)、信託報酬(ファンドを管理してもらうための費用)、信託財産留保額(投資信託を途中で売るときのために投資家から一様に集める手数料)の3つです。

インデックスファンドの場合、販売手数料は無料のものがお多いので、なるべくそちらを選びます(そのようなファンドをノーロードファンドと言います)。信託報酬は0.5%~0.8%程度で、信託財産留保額は0~0.5%程度です。特に大切なのは信託報酬で、これが目安です。

運用年数は長ければ長いほどいいです。1年以下のものはなるべく避け、3年以上のものを選ぶようにしましょう。

純資産残高はファンドの合計価値その物で、通常は増えていきます。半年以上純資産が減っている場合は、たとえ基準価額が上がっていても避けたほうが良いでしょう。目安は30億円程度です。たとえ最初は少額から始まっていても、現時点で30億円を超えていれば問題ありません。

アクティブファンドは基本的にはおすすめできない

アクティブファンドは運用コストがインデックスファンドよりも高い上、運用実績も前述のとおり芳しいものではないため、基本的に選ぶべきではありません。大半のアクティブファンドはインデックスファンドに負けているからです。

それでもアクティブファンドを選びたいという場合は過去の運用実績を参照して決めるのが良いかと思いますが、過去の運用成績が良いからと言って未来の運用成績が良くなる保証はないため、やはり積極的にはおすすめできません。

毎月分配金が出るファンドは絶対に選んではいけない

ファンドの中では、毎月分配金が出るタイプのものがあります。特に高齢者の間で人気が多い商品ですが、絶対に選んではいけません。証券会社で売られてい買えるファンドの中でも、最もデメリットが大きいファンドだからです。

そもそも分配金とは、ファンドの中の分配可能資源と呼ばれる資金の中から支払われるお金です。分配金が増えれば、分配の都度税金がかかります。それよりも分配金を受け取らず、再投資に回されるタイプのファンドのほうが、複利効果で資産が増えていくのでお得です。おまけに毎月分配金が出るファンドは信託報酬が高い傾向もあり、全体的に良いところがありません。

なるべくファンドの取扱数が多い証券会社を選ぼう

さて、ここまでファンドの種類や選び方を色々と開設してきましたが、どんなファンドも買えなければ意味がありません。そして、買えるファンドは証券会社によって異なります。当然、買えるファンドが多い証券会社を選ぶに越したことはありません。

現時点で選べるファンドが多い証券会社は楽天証券とSBI証券です。初心者の方には、この2社をおすすめします。

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金融・ 経済関連の記事をメインとしたフリーライターをしています。様々なジャンルの本を読み漁っていますので、 自分の記事が投資家の皆さんの利益となるように情報発信に努めていきます。