マイホーム購入時に大きな借入れをすることになる住宅ローン。金額が大きいために、少しの工夫で何十万円という金額が節約になるかもしれない。今回は住宅ローン申込時と住宅ローン返済中に検討して欲しい3つのポイントについて考えていく。
1)返済方法について
住宅ローンの返済方法は主に元利均等返済と元金均等返済の2種類がある。
【元利均等返済】
毎月一定金額を返済。表面上は、毎月同じ金額を返済しているが、返済額の内訳は借入当初は利息が多く、元金の返済額が少ない。返済していく毎に元金の返済額が増えていく。
- メリット : 毎月返済額が一定であるため、返済計画を立てやすい。
- デメリット : 返済開始当初は利息ばかり返していて元金がなかなか減らない。
【元金均等返済】
初回返済額が一番多く、返済していく毎に返済額が少なくなる。元金均等返済という名前の通り、元金の部分が均等である返済方法。毎月一定の元金部分に利息を上乗せしたものが返済額となる。初回返済額の利息部分が一番多く、徐々に少なくなっていく。
- メリット : 元利均等返済よりも借入当初からの元金返済額が多く、総返済額が元利均等返済よりも少なくて済む。
- デメリット : 借入当初の返済額が多いため、審査が元利均等返済よりも厳しくなる。
元金均等返済は住宅金融支援機構の商品では以前から利用可能であったが、民間金融機関では最近になって元金均等返済が選択出来るようになった金融機関も少なくない。その名残もあって、民間金融機関では当たり前のように元利均等返済を前提に話が進む。また銀行にとって元利均等返済の方が利息を多く取ることが出来るからであるが、それは必ずしも借入人にとってメリットがあるというわけではない。審査基準ぎりぎりに借りようとしている人が元金均等返済を選択してしまうと、審査基準を超えてしまうことがある。しかし、利用できるようであれば元金均等返済の総返済額が少なくなるため、検討してみてほしい。どのくらいの差が出るのか、実際にシミュレーションを見てみよう。
(例)
借入金額 : 2,000万円
借入期間 : 35年
金利 : 年2.0%
【元利均等返済の場合】
毎月返済額 : 66,252円
年間返済額 : 795,024円
総返済額 : 27,825,861円
【元金均等返済の場合】
毎月返済額 : 80,952円
年間返済額 : 966,184円
総返済額 : 27,016,463円
初回返済額については元金均等返済の方が14,700円多い。そのため、審査が厳しくなるが、総返済額は元金均等返済の方が809,398円少なくなる。同じ金融機関、同じ金利方式を利用しても返済方法が違うだけで約80万円も総返済額に差が出てくるのだ。初回返済額を見て返済額が多いと感じるかもしれないが、元金均等返済の場合、2回目、3回目と返済して行くうちに毎月の返済額が少なくなって行く。
この返済方法は、契約後に変更することが出来ないので、契約前に金融機関で元金均等返済を選択出来るのか確認して欲しい。
2)金利方式について
住宅ローンの金利方式は主に3種類ある。変動リスクが高い順に、変動金利方式→固定金利選択方式→全期間固定金利方式があり、住宅ローンの契約時に希望する金利を選択出来る。
【変動金利方式】
名前の通り、住宅ローンの借入中金利が変動する可能性がある金利方式。年二回見直しが行われ、借入時の金利は固定金利選択方式、全期間固定金利方式よりも低く設定されている。借入期間中に金利が上昇した場合には当初固定金利を選択した時の金利よりも高くなることがある。今後、長い借入期間中の金利が上昇しないだろうと考える人におすすめの金利方式。住宅購入時の不動産会社や金融機関の窓口では変動金利を勧めてくることも多い。住宅ローンの金利一覧の中で一番低い金利であり、金利上昇局面にはその時点で固定金利に切り替えてしまえばリスクが少なくて済むという考え方だ。特に迷ってなかなか金利が決められない人はこの考えに押されてまずは変動金利でと選択してしまう。確かに、借入期間35年の人が変動金利を選択して金利がずっと変わらなかった場合、この金利方式を選択して良かったと心から思うことだろう。しかし、今後長い期間の中で金利がどのように変動するのかは誰にもわからない。年二回変動する可能性があるため、小まめに金利情勢をチェックしていないと気がついたら金利が上がっていたということもあるだろう。
【固定金利選択方式】
固定金利という名前が付くが、実は変動する可能性がある金利方式。当初2年、5年、10年、15年、20年などと固定金利期間を設け、その期間以上に借入期間が残っている場合には、その時点の変動金利方式、または固定金利選択方式を選び、返済額が見直される。この金利方式は、借入期間と全く同じ期間の年数を選ぶことが出来れば、場合によって低い金利で全期間固定出来るかもしれない。例えば、借入期間20年の人が固定金利選択方式の20年を選択した場合だ。この方式は、当初設定した固定金利期間の年数を経過すると金利が変動するため、当初の固定金利期間中に全て返済してしまえば全期間固定金利と同じになるからだ。しかし、借入期間35年の人が目先の金利が低いからと、固定金利選択方式の2年を選択した場合、残りの33年は当初借入から2年経過した後の金利の中から変動金利か固定金利選択方式を選択しなければならない。金利が上昇していなければ良いが、そうとは限らない。
【全期間固定金利方式】
当初借入時から最終返済日まで金利が変わらないため、金利変動リスクは無いが、当初借入時の金利が他の金利方式よりも高いことが多い。今後金利が上昇した場合には低い金利が借入期間中ずっと適用になって良かったと思うが、金利がさらに下がった場合には他の金利方式にすれば良かったと後悔するかもしれない。後者の場合には、借り換えという方法を使って金利を下げることも検討出来る。
3種類の金利方式は、それぞれ一長一短である。借入人のニーズによって選ぶ必要がある。それにも関わらず、金融機関等で今後金利は上がらないと予測されるので変動金利をお勧めしますと言われたら、鵜呑みにせず、自分に合った金利方式を考えて欲しい。繰り返すが、金利が上昇しないということは誰にもわからないことだからだ。変動金利を選択する場合には、金利が上昇してしまうリスクを踏まえて選択するべきで、万が一金利が上昇してしまっても当初勧めてきた金融機関は何もしてくれない。自分自身で納得した上で選んで欲しい。
3)繰上げ返済をして総返済額を減らす
住宅ローンは借りたら借りっぱなしでは無く、借入当初から早い時期であればあるほど、繰上げ返済の効果が表れやすい。何故なら利息部分が多いからだ。しかし生活に必要な資金まで取り崩して無理に繰上げ返済する必要はない。後で資金繰りが悪くなり、キャッシングをして住宅ローンの金利以上に高いローンを借りることになってしまったら元も子もない。具体的に何年後にいくら繰上げ返済をするという目標を立てて日々コツコツと貯金することをお勧めする。なかなか継続できないと思うかもしれないが、繰上げ返済でどのくらいのメリットがあるのか具体的に見てみると考えが変わってくるかもしれない。例えば、借入当初から5年後に繰上げ返済した場合と、10年後に繰上げ返済した場合を比較してみる。
(例)
借入金額 : 2,000万円
借入期間 : 35年
金利 : 年2.0%
返済方法 : 元利均等返済
毎月返済額 : 66,252円
総返済額 : 27,825,861円
借入5年目に約100万円繰上げ返済した場合
【期間短縮】今より返済期間約2年短縮
毎月返済額 66,252円
総返済額 26,993,739円 今より約84万円減額
【返済額減額 】
毎月返済額 62,636円 今より3,616円減額
総返済額 27,484,183円 今より約35万円減額
〔借入10年目に約100万円繰上げ返済した場合〕
【期間短縮】今より返済期間約2年短縮
毎月返済額 66,252円
総返済額 27,176,332円 今より約65万円減額
【返済額減額 】
毎月返済額 62,129円 今より4,123円減額
総返済額 27,543,603円 今より約29万円減額
このように、借入当初から早い段階(10年後よりも5年後の方)に繰上げ返済をした方が総返済額のメリットが大きかった。
一部繰上げ返済をした場合、借入期間を短くするタイプと借入期間は変えずに毎月の返済額を減らすタイプがある。総返済額を比較した場合、期間短縮を選択した方がメリットが大きい。そのため、繰上げ返済の度に期間短縮を選びたいところだが、返済期間10年以上無ければ住宅ローン控除を受けることが出来ないので気を付けて欲しい。住宅ローン控除期間中に繰上げ返済をして借入期間が短くなってきたら10年以上返済期間を残すことを忘れずに。
関連記事:
→海外投資/オフショアファンドの窓口【IFA無料紹介サービス】
→日本と世界の学資保険比較!元本保証140%の海外積立商品
→海外積立投資メイン3社の比較と評判
→ヘッジファンドは投資信託比較で手数料10倍!でもリターンは3倍!?