その国の経済発展の行方を予測する際に、人口ボーナス期であるかどうかも基準の一つです。
人口ボーナスとは、15歳から64歳の生産年齢とされる人口の割合がその国の総人口に対し上昇していく状態。人口ボーナス期にある国は、高度経済成長期に突入するとされており、株価や不動産の有望市場を見極める一つの目安です。

何故、人口ボーナスが高度経済発展に関係があるの?

生産年齢人口が多いということは、働き、納税し市場を活性化させるための人口が多いということ。
働く若い世代は、家庭を持ち子育てをしていく中で、家や土地を購入するので不動産価格が上昇します。また、車や家族の生活必需品を購入し子供の教育に投資をするため消費も活発になる、ということです。

働く人が増え消費も拡大すれば、都市化・工業化が進み更なる経済発展が望めるとして国内外から多くの投資を引き寄せ一定の期間の高度成長が見込めるとされています。
人口ボーナスなどが引き起こす高度経済成長期を経験することで、発展途上国は新興国となり、新興国は先進国へと進んでいく可能性があります。

人口ボーナスの反対は、人口オーナス

オーナスとは「負債」という意味であり、若者が少なく働けない高齢者が多い状態です。
1960年代から1980年代に人口ボーナス期と高度成長期を体験した日本は、人口的には残念ながらオーナス期だとされています。

人口ボーナス期の国は?

世界には人口ボーナス期の国が多く存在します。

現在人口ボーナス期の国:
トルコ・南アフリカ・サウジアラビア・イラクなど

経済発展が著しく、世界中の企業が投資を行っています。
トルコやサウジアラビア、イラクなどの中東イスラム教圏の国は特に安定した人口増加を見せています。「子供はアラーの賜物」という考え方があり、出産率が高いのがイスラム教圏国の特徴で、イスラム主要国の安定した経済発展は、周辺の中東国にも様々な影響を与えるでしょう。

既に人口ボーナス中、もしくはこれから始まる国:
インドネシア・ミャンマー・マレーシア・ベトナムなど

ASEAN地域に多く、道路整備やガス水道などの基本インフラ整備の投資が活発です。これから、様々なビジネス形態の企業が参入していくでしょう。
各国の政府が、どれだけインフラ関連予算を通せるかに注目。

長期の人口ボーナス期が望める国
インド・バングラディシュなど

20年ていどで人口ボーナス期が終わる国は多いですが、インドやバングラディシュなどは広大な大地に膨大な人口と人口ボーナス期が長期になると予測されています。
一過性の経済発展ではなく、世界中の経済を支える可能性がある国。
中国やブラジルなど経済的に停滞を見せたBRICS諸国の中で、インドは特に高度な経済成長率を維持しておりIMRなど世界の国際経済機関が注目。
インドの人口は2020年ごろには中国を抜き、世界一になると予測されています。

すでに人口ボーナス期が終了している国
中国・韓国・タイなど

冷戦後の経済発展の中で、高度経済発展を果たした国。
今後、経済成長後の政治の安定や少子高齢化対策が求められます。一定のインフラ整備は終了し、技術革新などでどれだけ経済を引き上げられるかに注目。
賃金の上昇などで「安い労働力」に頼った経済発展が見込めないため、政治的な調整を行わなければ経済的交代を招いてしまう恐れがあります。

もちろん様々な予測があり、人口ボーナス期のどの位置にあるかは議論になっています。
長期的に人口面での経済発展が望みやすい地域は、中南米やアフリカでしょう。

人口ボーナス・オーナス国も千差万別

高度経済成長の一つの指針である人口ボーナスですが、国や地域、民族、政治形態の状況によって経済発展の度合いに違いが生まれます。
日本では、高度成長期に東京への一極集中が開始されたものの、田中角栄の日本列島改造論などにより地方都市にも多くの投資を行ってきましたし、ヨーロッパやアメリカでも経済成長期の中で各都市の経済を引き上げることに成功。

しかし、多くの冷戦後に人口ボーナスを迎え高度経済成長を成し遂げた、もしくはこれから高度経済成長を行う国は急激な経済成長から地方が置き去りになっている傾向があり、国内外からの膨大な投資は都市部へ集中するため、都市部の人口過多による不動産の高騰を招きより一層投資熱が煽られる結果になります。

不動産の高騰から投資が都市部に増えることは良いのですが、都市部と地方の経済格差は不満を産みやすく、政治的混乱の要因にもなります。
国によっては民族や宗教的摩擦も呼び込む可能性があり、治安面でも不安が広がる可能性がありますが、日本の高度成長期とは違った問題が起こるケースも少なくありません。
バブル状態になっている新興地域への投資は、様々なリスクがあることを認識しましょう。

また、負担とされている人口オーナス国家も様々です。
日本国内でも「少子高齢化で人口が減少すれば経済成長は見込めない」と主張する人々もいますが、世界を見ればドイツなど人口減少しているのに経済成長している国家は珍しくありません。
労働力だけで見れば、産業ロボットやAIなどを活用した産業の効率化、今まで様々な理由で働けていなかった女性や高齢者の活用も可能です。

労働力以外にも、デフレ状態であれば金融緩和するなどの金融政策も効果的です。
冒険することなくリスクの少ない投資を考えている場合は、人口オーナス国であっても政治的に安定しており正しい経済政策を打ち出している先進国も魅力的な投資先の一つでしょう。

≪記事作成ライター:H/s≫
海外の景気動向や時事ニュースをチェックしているフリーライターです。時事問題や不動産に関する記事、宗教対立や民族問題、その背後にある各国の政治的関係性も経済問題として解説した記事を執筆しています。

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