不動産投資における収益物件は、購入時の選び方(月々の家賃収入=インカムゲイン))の大切さもさることながら、それ以上に「いつどのように売却すれば利益(キャピタルゲイン)を最大化することができるか」という出口戦略が重要になります。
今回は不動産投資における出口戦略(売却のタイミングと売り時の判断の考え方)についてご紹介していきたいと思います。

1、「出口」のない投資は完結しない

不動産投資には入口と出口があります。投資物件を購入することが入口、売却することが出口です。マイホームの場合は一生持ち続けて永住することもあるかもしれませんが、投資物件の場合には必ず出口があります。これば最終的に売却しなければ利益(キャピタルゲイン)が確定しないからです。

「高利回りの物件を購入して安定した地代家賃収入(インカムゲイン)を得ているから、不動産投資が成功した」と考える向きもあるかもしれません。もちろん入口として収益性の高い物件を購入することは大切ですし、成功の扉を開く必要条件であると言えます。しかしながら、購入して何年か賃貸経営をしているだけでは本当に成功したとは言えません。

たとえいま高い収益を維持していたとしても、近い将来収支が悪化してキャッシュフローがマイナスにならないとも限りません。金利が上昇し、あるいは老朽化などで空室率が高くなり、はたまた修繕費がかさんで支出が増えるなど、さまざまな損失リスクがあります。

むしろ早いタイミングで売却することによって、結果的にトータルの収支が良くなることもあります。このようにいかに損失を最小限に抑え、収益を最大化することができるかを考えることが出口戦略です。最初から値上がり益を狙って物件を購入することはあまりおすすめすることはできませんが、購入する段階で出口を想定しておくことは大切ですし、購入後も常に、物件の現況やマーケットの動向をにらみつつ、出口を検討することが必要になるのです。

2、売主と買主が共存し、「売り時」かつ「買い時」の珍しいマーケット

2012年までは、不動産投資物件は価格も利回りも大きな変化のない安定したした市場でした。どちらかといえば価格交渉の上で安く買える可能性がある「買手市場」だったのです。
しかしながら、2012年末から2013年にかけて状況が一変しています。いわゆるアベノミクス効果で投資への注目が急激に高まって、一足先に資産インフレの動きが出てきているのです。つまり投資物件が値上がり(利回りが低下)し始めているということです。「今ならいくらで売れるのかを知りたい」「利益が出るのなら売りたい、」という売主が、現在のチャンスを生かそうと売却することを検討し、実際に値上がり益を得ているケースが少なくありません。物件価格が上がっているという点では売り手市場といえるのですが、ただ新規の売り出し物件が徐々に出ていますし、超低金利状態が続いているために、買主にとっても決して不利な状況ではありません。先高感がある一方で、まだ低金利で買いやすい時期なので、買い時と判断している買主が多いのです。いわば「買い手と売り手が共存してているマーケット」であると言えます。すでに物件を保有している人にとっては、もう少し待った方が高く売れるので、まだ売り時ではきないと思うかもしれなません。。しかし価格が上がりすぎると利回りが下がり、買主の購入意欲が減ってしまい、売りにくくなる恐れがあるのです。現在のマーケットは、売主にとっての「売り時」と買主にとっての「買い時」がデリケートなバランスを保っている状況であると言えるでしょう。

3、購入して5年目に最初の出口を検討する時期が来る

マーケットという外的条件に加えて、物的条件によっても出口を検討するタイミングは異なります。購入してから5年目に最初の出口を検討すべきタイミングが訪れます。その理由は次の3点に見いだすことができます。

1)不動産譲渡税(所得税+住民税)の税率の変わり目

1つ目の理由は売却益に対して不動産譲渡税(所得税+住民税)の税率の変わり目に該当します。すなわち不動産の所有期間が5年以内の短期譲渡は39%、5年超の長期譲渡が20%になります。実に2倍近くも違いますので、売却益が出ている場合には影響が大きく、5年を境に出口を検討するのが合理的であると言えるでしょう。

2)住宅ローンの金利切り替えの時期と重なる

2つ目の理由として住宅ローンの金利切り替えの時期と重なるからです。マイホームの場合には30年以上の長期固定金利のローンを組むことも多いのですが、不動産投資の場合においては変動金利or2~3年程度の定期固定金利ローンを組むのが一般的です。金利切り替えのタイミングで、リファイナンス(借り換え)するかそれとも売却するのかを検討することになります。

3)木造アパート特有の理由

3つ目は、木造アパート特有の理由です。出口戦略においては、買主が購入しやすい条件で売却することがポイントになりますが、その一つに「ローンの借りやすさがあります。」

金融機関では一般的に融資期間の上下設定を「残存耐用年数=耐用年数-築年数」の算式で計算します。この残存耐用年数が20年を切るとローンが借りにくくなる傾向があります。
残存耐用年数が短くなることは、返済期間が短くなる、つまり手取り収入の現象を意味し、ローン審査における収支の点で借りにくさにつながります(担保の審査もあります。木造住宅の耐用年数22年ですから、築3年を過ぎると残存耐用年数が20年を切ります。ただ1~2年ではローンの元金返済がそれほど進んでいませんので、前の2つの理由と併せて考えると5年目あたりで売却を検討するするのが最も合理的で望ましいタイミングであると言えます。また鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造の場合には、築年数が進んでも融資期間を長く組むことができますが、やはりこの場合も不動産譲渡益に対する所得税・住民税の税率が変わるタイミングで売却した場合を検証してみるのが望ましいでしょう。

考えるべきことは税率だけではありません。建物は年月とともに劣化していきますので、築15年から20年程度になるとさ大規模修繕を検討するべき時期が訪れます。
大きな費用が必要になりますので、大規模修繕を実施して保有を継続するか、一部の修繕を実施するか、それとも修繕未実施で売却するか等の経営判断を迫られることになります。
また築年数が15~20年を超えると、ローンの金利部分の減少や減価償却期間の満了などで、所得税の計算上経費となる金額が少なくなり、その結果譲渡所得金額が上がって手取り収入が減り、収支が悪化する可能性があり、ここでも売却することを確認するタイミングとなります。

4、物件によっては、早急な「脱出戦略」が必要な場合もある

物件の状況は築年数やその構造のみならず、管理状況によっても変わってきます。大規模修繕の時期と、経費が減少して収支が悪化する時期が重なるなどして、早急に出口戦略を考える必要が出てくることもあります。
またこのような時期的なタイミング以外にも、たとえば人口が減少して賃貸マーケットが縮小しているようなエリアにある賃貸住宅で、空室率が高く収益性が低い場合においては、なるべく早い時期に売却を検討する方が良いのです。

現在不動産投資のマーケットが上り調子になっているとしても、あくまでも大都市圏の立地のよいエリアが中心で、地方都市や郊外など必ずしも値上がりしていないエリアも少なくありません。郊外でもアウトレットモールなど大型商業施設や物流施設の開発に適したエリアに値上がりする可能性がありますが、このような好条件にない場合は、売却時期が遅れるほど値下がりが進んでしまうおそれがあるのです。換言すれば投資物件が活発に動いているいまのような時期が数少ない売却のグッドタイミングであると言えます。物件の状況とマーケットの動向の双方を視野に入れながら。適切な出口戦略を立てていくことが肝要であります。

- スポンサーリンク -
- スポンサーリンク -
- スポンサーリンク -

関連記事:

海外投資/オフショアファンドの窓口【IFA無料紹介サービス】
日本と世界の学資保険比較!元本保証140%の海外積立商品
海外積立投資メイン3社の比較と評判
ヘッジファンドは投資信託比較で手数料10倍!でもリターンは3倍!?

 

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。